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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第159話 後進の成長

 帝国の首都・不死鳥京、皇城府の北にある太后おおきさきの庭園。仮面を外した月夜見の前には、太后の手料理が並んでいる。


「もう。突然現れて『何か食べさせろ』は、止めて下さいっていいましたよね?」


 露骨に不満を露わにする太后だが、月夜見の方にも疑問がある。


「魚の煮物と一緒に、なぜポタージュスープが並んでいるんだ?」


「ただの嫌がらせです」


 そのポタージュスープは、警務官の振袖を着た女性の手で運ばれてきた。器は、木製の汁椀が使われている。



 ポタージュスープ以外の食事を平らげた月夜見は本題を持ち出す。


「戦艦『胡蝶』を搭乗員ごと第4戦団に貰い受けたい。第4戦団の旗艦にするつもりだ」


 戦艦『胡蝶』は、第2戦団のルージュピーク遠征部隊に参加していたが、本来の所属は第1戦団である。射流鹿と月夜見が、ラインゴルド領を訪問する際に日嗣皇子専用機である11番機の搭載艦として改修されている。

 日嗣皇子を統括司令とする第4戦団の旗艦に相応しい。新たな戦艦を、旗艦として改修するよりも確実だろう。

 太后としても反対する気はないが、第4戦団しか頭にない月夜見に呆れる。


「いくら射流鹿が可愛いからと言っても、自分勝手に第4戦団に移籍してしまわれて……残される第2戦団の心配はないんですか?」


「第2戦団には何の心配もない」


 太后の言を軽く受け流すように、さらりと答える。


「ルージュピーク遠征において、私は途中から11番機のSVとなるために『朱雀』を離れた。だが、その『朱雀』は八須賀大佐により適切に運用され、州議事堂包囲戦で射流鹿をバックアップできたではないか」


 少し困惑気味の太后の顔を見た月夜見は、ニヤリと笑う。何かを自慢したげな顔である。


「もっと言えば、ルージュピーク遠征に出た私の留守を、東方域の敵対勢力はつけ込むことができたか?」


 第2戦団は、東方域で敵対勢力の侵攻を許さず、帝国の勢力圏を確実に維持している。


「第2戦団は、私なしで東方域を防衛する責務を完璧にこなせるし、それを指揮する若手将校も成長している。私が気にかける必要はない」


 月夜見が自慢したいのは後進の成長(・・・・・)だと、太后は理解した。

 月夜見は、かつてラインゴルト傭兵機団でも要職にあった。それを離れて帝国へ来る際にも、同じことを言っていた気がする。


「心配はしないが、感謝はしている。そう言う部下に恵まれたからこそ、私は好き勝手ができるのだからな」


 太后は、ふと思った。それなら成長した射流鹿を黙って送り出してくれればいいのに、と。

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