第158話 告発者たち
帝国の首都・不死鳥京では、ガルーダ部隊の藤崎准将を告発した戦艦『蒼天』の幹部13名が皇城府に保護されていた。
ガルーダ部隊から離脱した『蒼天』艦長の城大佐は、皇城府が第3戦団に「帝の敵」を宣言した直後、皇城府に出向いて藤崎准将の告発を行った。その際に幹部たちの12名が城大佐に従っている。
13人の告発者は、皇城府から指定されたビジネス・ホテルに当面の間は宿泊することになっている。ホテルの貸会議室に集まった告発者たちは、皇城府から送られた連絡を確認して思わず笑い出してしまう。
「藤崎准将が捕囚から解放されて、本部へ戻ったそうだ」
「高い身代金を払ったんだろうな。傭兵部隊にとっては、やっと元が取れたと喜んでるところだろう」
傭兵は報酬を得て戦力を動かす。しかし、今回の場合は第1戦団や第2戦団と「契約した」と言っても形ばかりの契約で報酬はないだろう。あったとしても微々たるもので、傭兵たちの利益は「第3戦団から略奪」した装備や捕虜である。有力な要人を捕囚してその身代金と交換するのも、傭兵にとっては有用な収入である。
「それで、城大佐が、第3戦団の軍法会議にて誣告で処分が確定したってさ」
「そうなんですか……今更って感じですが?」
告発者たちの視線が、城大佐に集まる。誣告とは「事実と異なる虚偽の告訴あるいは告発を行う」ことである。第3戦団は、城大佐を処分することで「藤崎准将は任務を忠実に遂行した」ことにするつもりらしい。
「最初から予想はしてたことだ。処分の対象が俺だけで、他のみんなが問題になってないのは、まあ……統括司令官の温情じゃないかな?」
「微妙な温情ですね」
城大佐は、命令違反を覚悟の上でガルーダ部隊を離脱した。それは、正義感でもないし、ましてや帝に対する忠誠心でもない。
第2戦団を相手にして交渉は成り立たないと思ったからだ。
もしも戦闘になれば「帝への叛逆」は確定してしまう。自分の部下に、そんなリスクは負わせられないと判断した。部下だけではない、その家族のこともある。
告発者たちは、第3戦団本部のある輝平京に家族を残してきている。その家族が、第3戦団から白い目を向けられているのは予想できるが……「帝の敵」とはならなかったことで、最低限の身の安全は保障されていると思う。
「第3戦団も輝平京も、大変なことになる気がする。皇城府には、俺たちの家族をこっちに呼んで貰えるようにお願いしてみるさ」
城大佐は、自分についてきてくれた部下たちにそれを約束した。




