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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第157話 未来ある才能

 周防崎すおうざき大将の指示を受けた神津こうず中将は、藤崎ふじさき准将解放の交渉を短時間でまとめた。その日のうちに身代金は支払われ、その身柄も直ぐに解放された。

 藤崎准将は、翌々日には第3戦団中央本部に送り届けられた。



 かつてその美貌が評判になった彼女の風貌は、憔悴しきって見る影もなくなっていた。

 それに同情しつつも、正確な状況を確認しなければならない周防崎大将は、尋問を始めた。


「まず、正直に話して欲しい。南部方面軍とどのようなやり取りがあったのだ?」


「はい」


 しかし、藤崎准将は証言は、周防崎大将にとっては微妙なものだった。


「我がガルーダ部隊は、第2戦団と共闘すべくナーガオウ州都へ重甲機兵を派遣しました。しかし、あろうことか第2戦団は我が部隊の機体を攻撃してきたのです。その後の州都市民への無差別的な攻撃は、見るに耐えないものでした」


 ここまでの話で、神津中将は藤崎准将から視線を逸らす。そして、周防崎大将に目配せを送る。


「州都市民を武力の脅威から解放すべし……との思いは、南部方面軍も同じでありました。それ故、州都の解放に関してのみ(・・)南部方面軍とガルーダ部隊は共闘を約束しました」


「ありがとう。よくわかった」


 周防崎大将は小さく頷いた。


「君の証言は貴重だ。皇城府との交渉においてもまた確認することになるだろう。今夜はゆっくり休み給え」


「はい。ありがとうございます」


 敬礼し、部屋を出る藤崎准将の背中を見送った神津中将はため息を漏らす。



 周防崎大将と神津中将の間には、暫しの時間沈黙が続く。意を決した神津中将が沈黙を破る。


「皇城府は、あの証言に納得しないでしょう。第3戦団の立場は更に悪くなります。戦団内の軍法会議で、偽証の処分を下してから皇城府に彼女の身柄を引き渡すべきと思います」


 ガルーダ部隊から離脱した戦艦『蒼天』の搭乗員は、既に皇城府へ出頭している。藤崎准将が、最初から南部方面軍と交戦する意思がなかったのは、皇城府に知られてしまっている。


「同胞を切り捨てて、我が身の保身を図るのは近衛軍の軍人としての矜持に反するのではないか?」


 神津中将の主張は、正しい判断ではある。だが、周防崎大将は、第3戦団の兵員を守る責任もあると考えている。


「藤崎准将は優秀な将官だ。ただ一度の失敗をもって、その才能を失うのは第3戦団にとっても損失だ」


 この2日で、状況は少し変化を見せている。第2戦団で、月夜見が統括司令官の職を更迭されたと言うのだ。

 おそらく第2戦団は混乱している。このタイミングで第3戦団自ら弱みを見せるのは愚策である。

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