第152話 三度、白い天井
既に戦局は決まった。第2戦団は、1機も損傷させることなく、第3戦団の19機を撃破した。その中にはA級機体3機を含む。更にナーガオウ州軍のラレイン型を含む4機も撃破している。圧倒的な勝利である。
14:50
機体回収の空中移送機が到着した。
これでGV3Xを帰艦させ、15:20頃の最後の移送で2番機と11番機が撤退すればこの戦闘は終了する。
「嫌です。最後まで残ります!」
例の如く、御堂は根拠もなく駄々をこねる。
「あのぅ、GV3Xが残っても戦術的に意味がないですよぉ」
青柳も御堂の説得に回る。しかし。
「戦術も戦略もどうでもいいの! 自分が関わった戦場なのよ、せめて最後まで付き合いたいの!」
ほんの一瞬、11番機が小さく震えるのを月夜見は感じた。
「射流鹿、待て……」
だが、月夜見の静止は間に合わなかった。
ドォーーーーン
爆音が響き、僅かに遅れてGV3Xの背中から火柱が上がる。そして、10メートル近い距離を吹き飛んだ。
GV3Xは、バックパックをロケット砲で近距離から狙撃されたのだ。撃ったのは11番機である。
「これでGV3Xは戦闘不能です。回収して下さい」
バックパックは、ロケット弾の炸裂で完全に破壊されている。パイロットも意識を失い、機体は突っ伏したまま動かない。
御堂の意識はここで途切れてしまい、次に意識を戻すのは前哨基地へ戻ってからだった。
前哨基地の個室病棟。その白い天井を見ながら、御堂はボォとしていた。
「何度目なのよ。この展開……」
州議事堂包囲戦が、最終的にどう言う決着をつけたか御堂は知らされていない。
戦艦『朱雀』と『胡蝶』は、まだ前哨基地には戻っていない。御堂と青柳の二人だけが、意識不明状態で前哨基地に軍用ヘリで移送されたと言う。
「最初は、事情聴取。二度目は、安全保障局に監禁。3度目の今回は命令違反の処分待ちかぁ」
しかし、考えてしまう。あの戦いで、自分は投降させた機体も含めれば9機を撃破してる。それでも処分されなければならないのだろうか?
(ああ、一樹教官が言ってたっけ)
結果オーライで、今回のような命令違反や判断ミスを容認してしまったら、軍としての規律や統制が取れなくなってしまうだろう?
(そっか。結果で過程を正当化しちゃいけないんだ)
手柄のために勝手な判断をしたり、命令違反したり……法律や規則を無視して暴力に訴える者も出るよ。
(それが第3戦団だよね)
結果がどうであれ、不正や違反があれば、それを処分できないと組織はダメになっちゃうんだ。
(あたし、また同じ失敗繰り返したんだ)




