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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第150話 愚者の増長

 放棄されたナーガオウ州軍GV4から、ロングソードを取ったA級0067(ジークフリード)機は、振り返ってGV3X(サンダーバード)を正面に見据えた。



 藤堂中佐の見つめる主モニターの中央では、GV3X(サンダーバード)が打刀を右脇に回しながら腰を沈める姿勢を取る。


「ちっ!」


 隙のない構えに見えた。既に、藤堂中佐は怖気づいている。山根大佐は、Sユニットのサブモニターで後方の様子を伺う。

 サブモニターには11番機が映っていた。11番機の頭部が右方向へ動く。


「今だ。11番機は、こっちを見てない!」


 山根大佐の指示がCユニットに届く。


「うおぉぉぉぉー」


 絶叫と共に、藤堂中佐は振り返り様に11番機に向かってロングソードを振るう!



 最初、A級0067(ジークフリード)機は、GV3X(サンダーバード)を正面に見据えてロングソードを構えていた。

 脚部と腰部の推進機関スラスターが発光、その刹那、180度方向を変えて11番機に向かって一直線に突っ込んで行く。

 頭上から、大きく弧を描いて振り下ろされるロングソードは、11番機の右肩を狙っていた。



 山根大佐は、11番機とラレインの戦いで気付いていた。ラレインの細剣フルーレが、11番機の左腕を貫いた際に、11番機の左手の指が動かなくなっていたのを!


「左手が利かないなら、剣を抜いても両手で持てないよな。片手だけで、このロングソードを受けられるかよ!」


 しかし。

 それも射流鹿と月夜見には予測されていた。11番機は、剣を抜かずに鞘ごと右腕に握って持ち上げる。そして、太刀の反りを利用してロングソードの斬撃を受け流した。

 渾身の斬撃を逸らされたA級0067(ジークフリード)機は、またも前のめりにバランスを崩す。射流鹿は、先程の御堂と同様にA級0067(ジークフリード)機の背中に足蹴りを入れて転ばせた。


「愚者に温情をかけるとどうなるか(・・・・・)?の見本の如き行動だな」


 ナーガオウ州軍の機体から剣を取った時点で、それが「11番機に近づく」策だと予測はつく。


「賢者は温情を受ければ、謙虚になり、罪を省みます。しかし、愚者は『罪が許された』ことだけを学習し更に罪を重ねる……愚者への温情は増長と慢心、そして罪の連鎖しか生みません」


 地表に突っ伏す格好になったA級0067(ジークフリード)機。藤堂中佐は、主モニターとサブモニターをフル稼働して第2戦団の隙を伺った。2機のB級は、こちらにロケット砲を向けている。


「もう、投降するしかねえ」


「そうだな」


 山根大佐の提案に同意するも、状況は悪い。突っ伏した態勢では信号弾を上に打上げられず、胸部装甲を開けないのでコクピットから出られない。

 何とか上体を起こさなければならない。

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