表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/160

第149話 愚者への温情

 A級0067(ジークフリード)機の振舞いに、射流鹿は絶望に近い印象を抱いていた。


「噂は聞いていましたが……まさか、これ程とは思っていませんでしたね」


 A級機体は、部隊を象徴する存在である。それを預かるパイロットにも、それなりの品格が求められる。

 少なくとも第2戦団と第1戦団では、B級相手に本気で決闘をするパイロットはいない。不意打ちなど尚更だ。


「さっきも言っただろう。こんなものだ、と」


 月夜見はまたクスクスと笑う。


「しかし、御堂准尉もなかなかだったな。青柳の指示だろうが上出来だ」


 ナーガオウ州の内部にも安全保障局の工作員はいる。彼らによって、皇城府に情報は送られたはずだ。


「命令違反の処分は下します」


「それは、好きにしろ」


 射流鹿は法律にも律法にも厳格だ。射流鹿を相手に「穏便に」等と説得するのは、無駄な時間である。



 星間協定で、紛争解決の手段と定める決闘には厳粛な様式がある。

 決闘の結果として定まる約定には、国家間条約と等しい拘束力があリ、当然ながら、しかるべき権限を有する者の採決がなければ決闘は成立しない。勝敗を見届ける立ち合いも必要である。

 A級0067(ジークフリード)機とGV3X(サンダーバード)の戦いは、その要件を満たさない。

 兵士個人の名誉回復の決闘にも当たらない。所属すら明らかにせず、戦闘開始の合図を待たずに不意打ちをかけるのは「決闘を騙る卑劣な戦闘行為」を問われることもある。



 しかし、藤堂中佐と山根大佐には引け目も罪悪感も一切無い。

 決闘の名目で、相手を討ち倒し一方的な要求を押し付ける……帝国の近衛軍でA機体を託された者に与えれる当然の役得だと思っていた。


「畜生、あれは絶対に士官候補生なんかじゃねえ!」


「第2戦団め、汚え罠を仕掛けやがって」


 藤堂中佐は、主モニターとサブモニターで撃破されたB級をサーチした。西側公園の辺りには共に出陣してきたガルーダ部隊のB級の機体がある。だが、そこには2番機がいる。

 そして、ナーガオウ州軍の撃破されたB級の近くには11番機がいる。


「よし、行くぞ」


 藤堂中佐と山根大佐は、11番機に近いGV4を選ぶ。

 御堂が投降させたGV4は、コクピットを潰されて片膝をついた姿勢で停止している。剣を右手で握ったままだ。

 A級0067(ジークフリード)機は、その機体に近づき、右手から剣を取った。


「あら? ナーガオウ州軍の機体から剣を取るんですねぇ」


 竜崎中尉は怪訝に思う。ナーガオウ州軍機の装備は、打刀ではなくてロングソードだ。ついさっきまで、打刀を振るっていた者がロングソードに持ち替えようとしている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ