第148話 御堂の主張?
A級0067機に背後から足蹴りを食らわせた時、その気であれば剣を突き立てることもできた。しかし、それを敢えてしなかったのは御堂には、言うべきことが残っていたからだ。
『第3戦団中央本部から派遣されたガルーダ部隊の山根大佐と藤堂中佐。間違いないよね?』
A級0067機の機体が、一瞬だけ不規則に震える。ちょうど機体とパイロットが、同調不良を起こした時のような震え方だった。
『第3戦団には、帝から「南部方面軍殲滅の詔」が出たんだよね。それでガルーダ部隊は機甲路の移動許可がおりてこちらへ来たんでしょう。それがどうして南部方面軍の所属章つけて、南部方面軍と戦ってる第2戦団の前に現れたのかしら?』
A級0067機の返事はない。もとより、御堂も返事は待ってない。
『3軍合同演習でのナーガオウ州軍の裏切り行為まで遡って、しっかり追求させて貰うわよ。どっちが勝ってもね』
A級0067機の全身から光粒子が噴き出す。そして推進機関全開で一気に、GV3Xとの距離を詰めてきた。
突進してくるA級0067機が、Cユニットの主モニターに映っていたが御堂は落ち着いていた。
「あれで良かったの?」
「はい、概ねOKですぅ」
ガルーダ部隊の、南部方面軍への寝返りに関して、情報を持っているのは州議事堂に居るこの5機の重甲機兵だけである。
5機いずれかの機体が母艦へ帰艦しなければ、皇城府へも報告できない。回収のための空中移送機が到着するにはもう少し時間がかかる。
戦闘をリアルタイムで中継しているカメラを利用して、既知の情報を流すことを青柳は考えた。そのためのシナリオを用意して御堂に喋らせたのである。
第3戦団に対して「何をどこまで知っているか」の手の内を晒す事になるが、5分でも10分でも早く、情報が皇城府に伝わる方が有利と判断した。
後は、逆上するであろうA級0067機を、GV3Xが撃破するだけである。
上段から力任せに振り下ろされるA級0067機の斬撃を、先程と同じように刃の棟で弾く。
小さな挙動で打刀を振り上げたGV3Xは、A級0067機が握る剣の柄の部分に刃を振り下ろす。
……ガラン
打刀の刀身部分が、音を立てて大地に落ちる。
A級0067機の打刀は、柄の部分から先が切り落とされていた。
「!」
A級0067機の機械眼球が、GV3Xを視る。主モニターの中で、そのB級は、藤堂中佐を見下ろしているように感じられた。
『そこらのスクラップになってるB級から、剣を拾っていいよ』
打刀を右脇に回しながら、御堂はA級0067機の出方を待つ。




