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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第147話 特別なB級機体

 A級0067(ジークフリード)機が、不意討ちの如く打ち込んだ斬撃だったが、御堂は刃の棟で軽く捌いた。

 更に勢いで前のめりになるA級を、背後から足蹴りして転ばせてしまう。


「何だぁ?」


「気を付けろ。普通のB級機体じゃない!」


 SVの山根やまね大佐は、ここでようやく管制AIに検索をかけた。50年前に組み上げられた実験機体……この情報を得て、パイロットも特別に選定されいる可能性も考慮する。


「冗談じゃねえぞ。ここで貧乏くじを引かされちまったのか?」


 CRの藤堂とうどう中佐は思惑が外れたかも知れないことに奥歯を噛み締めた。

 2番機には勝ち目がないと、初陣の日嗣皇子を挑発して決闘に持ち込もうとした。挑発に乗ったのは士官候補生が乗るB級だった。

 B級に一騎打ちで勝利して、都合の良い要求を押し付けるのは「赤子の手をひねる」ようなことだと考えていた。


「パイロット情報は非公開だとよ。畜生、本当に士官候補生かどうかも怪しいぞ」


 山根大佐が検索した情報を確認しながら、藤堂中佐はA級0067(ジークフリード)機を立ち上がらせる。


「まさか、逆に罠に嵌められたのか?」


 A級機体がB級に屠られるなど、A級に乗るパイロットとしては恥である。ハードウェアの絶対性能も違うし、何より選ばれたパイロットがA級機体を与えられているはずなのだ。

【第3戦団のA級は、第2戦団のB級に劣る】

 それを見せつける「噛ませ犬」とされた可能性を藤堂は疑う。



 2番機は、A級0067(ジークフリード)機とGV3X(サンダーバード)の戦いを傍観していた。

 両者の戦いを「決闘」と認めたわけではない。自らの所属すら明かさないで不意打ちを仕掛けるなど、決闘を騙る《《卑劣な戦闘行為》》である。


「あのA級の腕では、GV3X(サンダーバード)の相手にならないでしょうね」


「SVの腕も最低レベルだな。今になって『特別な実験機体』だったことに気付いて慌ててるのが見え見えだ」


 戦闘突入前に、敵機の情報を可能な範囲で調べるのは当たり前のことだ。あのA級のSVは、それを怠った。SVの方も青柳には及ばない。

 しかし、有本大尉にも懸念はあった。


「御堂准尉は、汚い戦いには慣れてない。もっと竜崎中尉との模擬戦をこなしておくべきだった」


「あらあら、まるで私の戦い方が汚い見本みたいに聞こえるじゃないですか?」


「型に縛られない戦い方だ。褒めてるんだよ」


「そうでしたか。ありがとうございます」


 Cユニットで、竜崎中尉はニッコリと微笑んだ。褒めてる……と言われて、機嫌を良くしたらしい。彼女には皮肉も冗談も通じない。


「A級に怪しい動きがあったら、飛び出すぞ」


「はい、承知しました」


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