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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第146話 デタラメな決闘

『デタラメ言ってんじゃないわよ。ビーム砲を乱射して街をブッ壊したのは、アンタら第3戦団でしょうが!』


 御堂の声が、GV3X(サンダーバード)のスピーカーを通して州都に響く。


『単機で駆けつけたって?』


 GV3X(サンダーバード)の左腕を伸ばして、A級0067(ジークフリード)級の脚元を指差す。


『アンタの周りでスクラップになってるB級は何なのよ。集団で現れたくせに、2番機が怖くてずっとB級の後ろに隠れてたじゃないの。臆病者は《《どっち》》よ!』


 A級0067(ジークフリード)級のCユニットで、藤堂とうどう中佐は「しめた」と思った。


『我が2番機を恐れたなど笑止千万、侮辱も甚だしい。我を侮辱した貴公に問おう。その言質に責任を負う覚悟があるか?』


『覚悟も何も、事実でしょうが!』


『ならば、どちらが臆病者か決しようではないか。貴公の覚悟が口先だけでないならばな』


『おうよ、やってやろうじゃない!』


 これに、月夜見は本気で頭を抱えた。これでは「決闘の申出を受諾した」と受け取られるではないか。


「射流鹿よ、どうする?」


「さて、どうしましょうか」


 射流鹿の声が落ち着いていることに、月夜見は少し驚く。御堂の勝手な行動に、業を煮やしていると思ったからだ。

 11番機が、GV3X(サンダーバード)の肩に右手をかけて接触通信を開いた。


「所属と官姓名を名乗るのが、決闘の流儀ですよ」


 11番機の日嗣皇子の指摘を受けて、御堂は名乗りをあげる。


『あたしは、第2戦団仮配属中の士官候補生・御堂咲耶准尉!』


 GV3X(サンダーバード)の名乗りを受けたA級0067(ジークフリード)機は、暫し沈黙した。射流鹿は、その挙動を観察していた。


「さて、あのA級は所属を名乗れますかね」


「名乗れないだろうな」


 射流鹿と月夜見の予想通り、A級0067(ジークフリード)機は沈黙する。


『どうしたのよ、アンタの所属は?』


 A級0067(ジークフリード)機の所属は明らかにできない。しかし、藤堂中佐は一気に畳み掛けることにする。


『その意気や良し!』


 士官候補生と言うなら経験は浅い。決闘の厳粛な手続きも解ってはいないと判断した。


『我と貴公の決闘を以て、この不毛な戦いに決着を付けよう。どちらが勝っても、一切の遺恨を残さぬこと、異存なし!』


 名乗りを待っている御堂に委細構わず、A級0067(ジークフリード)機は打刀を抜いて斬りかかった。卑怯だろうと何だろうと「決闘に勝った」と言う体裁さえデッチ上げればいいのだ。

 ナーガオウ州は、第3戦団に味方するはずだ。報道機関のカメラが撮った映像も、都合よく編集して証拠にしてくれる。藤堂中佐と山根大佐は、それを疑わなかった。


『異存は大有りだよ!』


 だが……そのB級は想像を超えて強かった。

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