第146話 デタラメな決闘
『デタラメ言ってんじゃないわよ。ビーム砲を乱射して街をブッ壊したのは、アンタら第3戦団でしょうが!』
御堂の声が、GV3Xのスピーカーを通して州都に響く。
『単機で駆けつけたって?』
GV3Xの左腕を伸ばして、A級0067級の脚元を指差す。
『アンタの周りでスクラップになってるB級は何なのよ。集団で現れたくせに、2番機が怖くてずっとB級の後ろに隠れてたじゃないの。臆病者は《《どっち》》よ!』
A級0067級のCユニットで、藤堂中佐は「しめた」と思った。
『我が2番機を恐れたなど笑止千万、侮辱も甚だしい。我を侮辱した貴公に問おう。その言質に責任を負う覚悟があるか?』
『覚悟も何も、事実でしょうが!』
『ならば、どちらが臆病者か決しようではないか。貴公の覚悟が口先だけでないならばな』
『おうよ、やってやろうじゃない!』
これに、月夜見は本気で頭を抱えた。これでは「決闘の申出を受諾した」と受け取られるではないか。
「射流鹿よ、どうする?」
「さて、どうしましょうか」
射流鹿の声が落ち着いていることに、月夜見は少し驚く。御堂の勝手な行動に、業を煮やしていると思ったからだ。
11番機が、GV3Xの肩に右手をかけて接触通信を開いた。
「所属と官姓名を名乗るのが、決闘の流儀ですよ」
11番機の日嗣皇子の指摘を受けて、御堂は名乗りをあげる。
『あたしは、第2戦団仮配属中の士官候補生・御堂咲耶准尉!』
GV3Xの名乗りを受けたA級0067機は、暫し沈黙した。射流鹿は、その挙動を観察していた。
「さて、あのA級は所属を名乗れますかね」
「名乗れないだろうな」
射流鹿と月夜見の予想通り、A級0067機は沈黙する。
『どうしたのよ、アンタの所属は?』
A級0067機の所属は明らかにできない。しかし、藤堂中佐は一気に畳み掛けることにする。
『その意気や良し!』
士官候補生と言うなら経験は浅い。決闘の厳粛な手続きも解ってはいないと判断した。
『我と貴公の決闘を以て、この不毛な戦いに決着を付けよう。どちらが勝っても、一切の遺恨を残さぬこと、異存なし!』
名乗りを待っている御堂に委細構わず、A級0067機は打刀を抜いて斬りかかった。卑怯だろうと何だろうと「決闘に勝った」と言う体裁さえデッチ上げればいいのだ。
ナーガオウ州は、第3戦団に味方するはずだ。報道機関のカメラが撮った映像も、都合よく編集して証拠にしてくれる。藤堂中佐と山根大佐は、それを疑わなかった。
『異存は大有りだよ!』
だが……そのB級は想像を超えて強かった。




