第144話 決闘
GV3Xが対峙していたGV4は、投降の信号弾を撃ち上げパイロットは機体を降りた。GV4のコクピットを破壊して、御堂は第3戦団が布陣する西側公園に視線を移した。
A級0067機の盾となっていたGV4は、2番機に蹂躙されていた。コクピットは抉られ、パイロットの生存は絶望的だ。2番機は、最初からパイロットを生かしておくつもりはないらしい。
B級で唯一残ったGV3もボロボロだった。脚部の推進機関は破壊されて黒煙を上げている。A級0067機の前に立つだけしかできない。
A級0067機のSVである山根大佐は、戦っている相手を見誤っていたことを痛感する。
「降伏の勧告が一切無しとはな」
圧倒的に優位にあるなら降伏を求めてくると思っていた。貴重なA級機体は、できるだけ消耗させたくない。逆に、投降させれば無傷でA級機体を鹵獲できるはずなのに。
「降伏の条件を交渉するフリで、時間を稼げると思ったんだがな。アルカナ・ナンバーにとっては、通常のA級機体なんてザコらしい」
目論見が外れたことを愚痴る山根大佐の言に、CRの藤堂中佐も尻馬に乗る。
「ふん。日嗣皇子ってだけでアルカナ・ナンバーか。全く高貴な生まれは羨ましいぜ」
2番機は、第2戦団のエース機である。腕には覚えのある藤堂も、2番機の竜崎中尉には勝てるとは思っていない。しかし、今日が初陣の日嗣皇子相手に遅れを取るはずはないと考えていた。
A級0067機を必死に庇っていたGV3は、ついに倒れた。仰向けに倒れ込んだ胸部には、コクピットを串刺しにするように2番機の打刀が突き立てられている。
「畜生め!」
藤堂中佐が悪態をつく。何故、2番機を抑えられなかったのか?
2番機が単身で第3戦団の布陣に飛び込んで来た時は「しめた!」と思ったではないか。
だが、多勢を活かして死角へ入り込もうとするB級は、ロケット砲の巧みな狙撃を受けた。牽制され、態勢を崩した機体が狙いすまして屠られる。
2番機は、B級とほとんど剣を交えていない。ロケット砲の狙撃で態勢を崩したところにトドメを刺すだけだ。
GV3を屠った2番機は、機械眼球をA級0067機に向けた。
「クソォ!」
藤堂中佐は、Cユニットで絶叫した。ラレインを倒した11番機の方向にA級0067機の右手が伸びる。
打刀の切っ先が、11番機に向いた!
『日嗣皇子に、決闘を申し入れる!』
スピーカーの音量を最大にして、Cユニットのマイクに向かって叫ぶ。
少し遅れて、「決闘」を申し入れる信号弾がA級0067機のバックパックから撃ち上げられた。




