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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第144話 決闘

 GV3X(サンダーバード)が対峙していたGV4は、投降の信号弾を撃ち上げパイロットは機体を降りた。GV4のコクピットを破壊して、御堂は第3戦団が布陣する西側公園に視線を移した。



 A級0067(ジークフリード)機の盾となっていたGV4は、2番機に蹂躙されていた。コクピットは抉られ、パイロットの生存は絶望的だ。2番機は、最初からパイロットを生かしておくつもりはないらしい。

 B級で唯一残ったGV3もボロボロだった。脚部の推進機関スラスターは破壊されて黒煙を上げている。A級0067(ジークフリード)機の前に立つだけしかできない。



 A級0067(ジークフリード)機のSVである山根やまね大佐は、戦っている相手を見誤っていたことを痛感する。


「降伏の勧告が一切無しとはな」


 圧倒的に優位にあるなら降伏を求めてくると思っていた。貴重なA級機体は、できるだけ消耗させたくない。逆に、投降させれば無傷でA級機体を鹵獲できるはずなのに。


「降伏の条件を交渉するフリで、時間を稼げると思ったんだがな。アルカナ・ナンバーにとっては、通常のA級機体なんてザコらしい」


 目論見が外れたことを愚痴る山根大佐の言に、CRの藤堂とうどう中佐も尻馬に乗る。


「ふん。日嗣皇子ってだけでアルカナ・ナンバーか。全く高貴な生まれは羨ましいぜ」


 2番機は、第2戦団のエース機である。腕には覚えのある藤堂も、2番機の竜崎中尉には勝てるとは思っていない。しかし、今日が初陣の日嗣皇子相手に遅れを取るはずはないと考えていた。



 A級0067(ジークフリード)機を必死に庇っていたGV3は、ついに倒れた。仰向けに倒れ込んだ胸部には、コクピットを串刺しにするように2番機の打刀が突き立てられている。


「畜生め!」


 藤堂中佐が悪態をつく。何故、2番機を抑えられなかったのか?

 2番機が単身で第3戦団の布陣に飛び込んで来た時は「しめた!」と思ったではないか。

 だが、多勢を活かして死角へ入り込もうとするB級は、ロケット砲の巧みな狙撃を受けた。牽制され、態勢を崩した機体が狙いすまして屠られる。

 2番機は、B級とほとんど剣を交えていない。ロケット砲の狙撃で態勢を崩したところにトドメを刺すだけだ。

 GV3を屠った2番機は、機械眼球をA級0067(ジークフリード)機に向けた。


「クソォ!」


 藤堂中佐は、Cユニットで絶叫した。ラレインを倒した11番機の方向にA級0067(ジークフリード)機の右手が伸びる。

 打刀の切っ先が、11番機に向いた!


『日嗣皇子に、決闘を申し入れる!』


 スピーカーの音量を最大にして、Cユニットのマイクに向かって叫ぶ。

 少し遅れて、「決闘」を申し入れる信号弾がA級0067(ジークフリード)機のバックパックから撃ち上げられた。

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