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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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141/158

第141話 ナーガオウ州軍司令部

 ラレイン型A級重甲機兵が、11番機によって「容易く撃破されてしまう」映像はニュースとしてナーガオウ州全域に流れた。

 ナーガオウ州軍司令官ダイ・アグナー将軍は、自らの判断ミスを呪った。

『南部方面軍とガルーダ部隊、それにナーガオウ州軍の40機の重甲機兵をもって、第2戦団と有利な条件で和睦する』

 その目論見は、ラレインの敗北によって潰えた気がした。



 ナーガオウ州は、帝国との契約により外郭都市となっている。帝国、と言うよりも帝が所有する機甲路アイアンロードを活用できることで他の都市国家との交易により発展してきた。

 しかし、決して帝国や帝に対する忠誠心があるわけではい。あくまで同盟関係は「契約」であり、過度に依存しない距離感が必要だった。

 ジークフリード型重甲機兵に関しては、帝国は最大のノウハウを蓄積している。州軍がジークフリード型重甲機兵を採用する限り、帝国の影響を受けざるを得ない。何よりも、ジークフリード型重甲機兵を正規軍が採用することで「帝国に従属する」心証を州市民に与える。

 ラレイン型A級重甲機兵は、地表勢力にとって中立的な宇宙圏勢力によって開発されたものであった。

『ナーガオウ州軍の、帝国からの自立』

 ラレイン型A級重甲機兵を州軍の旗機とすることは、それを象徴するものとなるはずだった。



 しかし、帝国のジークフリード型重甲機兵は、圧倒的に強力だった。

 為す術なく、紙細工のように潰されるラレイン型重甲機兵は、州市民に「帝国への恐怖心」を増大させたはずだ。

 現に、ラレイン型を支援するために派遣した2機のGV4は、ラレイン撃破を眼前に見るや戦意を失って逃亡を図った。


「州都へ誘き出された時点で、既に第2戦団の策に嵌まっていたのだ」


 南部方面軍を統括する黒田くろだ准将は「20機の重甲機兵」を用意できると言った。だが、州都へ重甲機兵を移送する空中移送機エアブースターは6機しかなく、逐次投入するしかなかった第一陣5機と第二陣6機は、その度に第2戦団に各個撃破されてしまう。

 今現在、第三陣の6機も苦戦を強いられている。

 アグナー将軍の唯一の希望は『第3戦団中央本部から派遣されたガルーダ部隊』だけである。


「第3戦団中央本部の部隊なら、第2戦団と交渉できるかも知れない」


 アグナー将軍には、ガルーダ部隊の重甲機兵が「南部方面軍の所属章」に偽装して第三陣として参戦していることは知らされていなかった。

 そして「20機の重甲機兵」を用意するはずの南部方面軍の格納庫が火災に見舞われて、実働する機体がもう存在しないことも。

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