第139話 乱戦・射流鹿機
州議事堂敷地に立つ第2戦団のB級、その脚下に閃光が走った。
粒子ビームによる狙撃である。レーザーやビームは、重甲機兵には効果は薄いため、 それ自体は脅威ではない。しかし、どこから狙撃されたのが特定できないない。
「10時の方向、上空だ!」
月夜見の直感で割り出した方角の画像をAI解析にかける。
「ラレイン型のA級だ!」
ラレイン型A級重甲機兵。宇宙コロニーを生活圏とする勢力が開発したもので、人型形態から飛行形態に変型できる可変型重甲機兵である。
野球のホームベースのような五角形の飛行形態は、音速は出ないまでも高い機動性を有する。飛行したまま粒子ビーム砲を撃てるため、重甲機兵を運ぶ空中移送機にとっては天敵と言えた。
飛行形態のラレインは、GV3Xに向かって真っ直ぐに突っ込んできた。
「わぁ!」
慌てて腰を沈めてギリギリで躱す……追いかけるように剣を振るっても間に合わない。
「何なのよ、あれ?」
「宇宙圏で開発されたラレイン型重甲機兵ですぅ」
「ラレイン?」
再びラレインは、飛行形態でGV3Xに迫る!
(ギリギリまで引きつけてやる!)
しかし、引きつけたつもりでも回避しながらの斬撃は、高速移動してるラレインには届かない。そうしているうちに、幹線道路にはナーガオウ州軍の軍用輸送車両が更に2両到着した。
11番機のバックパックから信号弾が上がり、2機のB級機体に新たな指示が飛ぶ。再び「2番機の援護に回れ」の指示だった。
「仕方ない。僕がGV3Xを支援します」
上空から飛行形態で迫るラレインに気を取られていた御堂に、11番機からの接触通信が入った。いつの間にか11番機は、GV3Xの後ろに立っている。
「ラレインは僕が落とします。貴女はGV4に集中して下さい」
それだけを伝えると、11番機はラレインの方へ歩を進める。
(日嗣皇子《《も》》「ぼくちゃん」なの?)
一人称が「僕」であった同期生のことが脳裏を過るが、今は考えるのを止めた。御堂は、背中を11番機に預けてナーガオウ州軍のGV4と向かい合う。その後方には今到着した2機のGV4も見えた。
「あと15分程度で、回収用の空中移送機が到着する。その前に、沈められるか?」
「大丈夫でしょう」
11番機を認識したラレインは、粒子ビーム砲を連射しつつ一直線に突っ込んでくる。射流鹿は、ロケット砲のカートリッジを凧型盾から排出してそのまま動かない。
ラレインが迫る!
11番機は動かない。
我慢しきれずに、先に軌道を逸らしたのはラレインだった。だが、ラレインの逃げた方向に11番機が飛翔した。




