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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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138/157

第138話 乱戦・御堂機

 11番機の機械眼球が、GV3X(サンダーバード)を見た。コクピットの主モニター越しに、射流鹿と御堂の視線が交錯する。

 11番機の左腕が伸びて、ナーガオウ州軍の重甲機兵を指差した。


「了解!」


 GV3X(サンダーバード)の脚部と腰部が発光し、僅かに遅れて背面の主推進機関(バーニア)ほのおを上げる。



 南方向の幹線道路からナーガオウ州軍の軍用輸送車両(クローラー)は次々と到着する。


「ジークフリード型B級GV4、3機ですぅ」


「余裕!」


 ドゴォォーーン

 3機のGV4がV字型の陣形を取ろうと展開する直前、GV4の脚元にロケット弾が炸裂した。直撃はしなかったが、ホバリングするタイミングを失した機体は腰を沈めて態勢を整えようとする。そこにGV3X(サンダーバード)が足蹴りが喰らわせる。

 尻餅をつく格好で低層ビルに倒れ込んでしまったGV4は、背中の主推進機関(バーニア)が点火できずに狼狽した。


「まず、一つ!」


 御堂は、GV4の腹部にロケット砲を向けて引金を引く。閃光と共に金属片が砕け散り、黒煙の奥に煤けた骨格フレーム構造が覗いた。頭部の機械眼球が輝きを失い、抉られた腹部から火花だけがバチバチと音を立てていた。

 GV3X(サンダーバード)は、次の標的を捜して右の機械眼球を光らせる。



 第2戦団のB級2機は、GV3X(サンダーバード)の援護に回っていた。GV3X(サンダーバード)の死角へ回り込もうとする州軍のGV4をロケット砲の狙撃で牽制する。

 ロケット砲を投げ捨てたGV3X(サンダーバード)は、打刀を抜いて右前方のGV4を標的に定めた。

(B級2機の援護は当てにできる!)

 御堂は、残る一機のGV4を考えるのを止める。友軍機が確実に「足を止めてくれる」と確信できたからだ。



 実は、御堂にとって本格的な集団戦(・・・)は初めての体験だった。士官候補生として第2戦団に仮配属されてから、当初は後方支援、それから入鹿准尉との新型機の慣熟を行う特別任務。ルージュピーク制圧戦も、対ゲリラ戦が主であった。



 6本車線の幹線道路上で、中央分離帯を挟んで州軍GV4とGV3X(サンダーバード)は対峙する。踏み込むのに、中央分離帯の段差が気になった。


「段差のホバリング制御、任せて下さぁい」


 御堂の心を読んだような青柳の言。もう一機の動きも気にしないでいい。

(背中を預けるって、こう言うことかな)

 脚部と腰部の推進機関スラスターの発光と共に、打刀を水平に構えて後ろに引いた。段差を超えるために僅かに高度を上げてホバリングする。

 主推進機関(バーニア)全開に合わせて、右脚が段差を超えて踏み込む。右旋回する打刀の切っ先がGV4の腰を横一文字に引き裂く。

 腰部骨格(フレーム)を砕かれたGV4が膝をつく。


「2つ目!」


 青柳の推進機関スラスター制御は、足場の悪さを全く感じさせない。

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