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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第137話 乱戦・竜崎機

 A級である2番機が突進を仕掛けた。それを、ハードウェアとして劣るB級機体が壁を作ってさえぎる。


「狙いは11番機ですね。じゃあ、私を退かしてごらんなさいな」


 ケラケラと笑いながら、竜崎中尉は2番機に取り付こうとするB級を翻弄する。

 A級0067(ジークフリード)機の狙いは、射流鹿の11番機……だから2番機との格闘を避け、消耗を抑えようとしている。

 2番機が主推進(バーニア)機関を全開にして、最前列で壁になろうとしたうちの1機に体当りした。体当りを受けたのは、最前列中央にいたGV3型機で、大きく態勢を崩す。

 左端のGV4が、GV3を庇おうとした。2番機の左から背後に回ろうとするGV4……それを見た御堂がGV3X(サンダーバード)で飛び出そうとした。


「ひぃ!」


 味方の撃ったロケット弾がGV3X(サンダーバード)を掠めて、GV4の左脚で炸裂する。


「……ヤバかった」


 不用意に飛び出していたら、味方のロケット弾の被弾していた。

 第3戦団に撃ち込まれるロケット弾は、2番機の横や背後に回り込もうとする敵機を、的確に牽制している。



 11番機の右手がGV3X(サンダーバード)の左肩を掴んで接触通信を開いた。


「第2戦団の4機は、予め連携を定めています。GV3X(サンダーバード)は、その位置でナーガオウ州軍の襲撃に備えて待機して下さい」


「でも、トイレ掃除が!」


「邪魔するなら撃ちます!」


 意味不明な言い訳に、射流鹿が大声を出してしまう。生身で対峙していたら、射流鹿はこの場で御堂を斬り捨てていたかも知れない剣幕だった。

 11番機の怒りが尋常ではないことは、さすがに伝わった。やっと御堂もおとなしくなる。



 強引に2番機の背後を取ろうとしたGV4が、左脚部から黒煙を上げてしゃがみ込んだ。素体足根骨の関節が砕けている。

 11番機が前進して、蹲るGV4の胸部にロケット砲を向けた。ほぼゼロ距離の射撃で胸部装甲ごとコクピットを爆裂粉砕してしまう。


「あと5機です」


 11番機が、2番機に続いて飛び込んできたことに、第3戦団の重甲機兵は露骨に反応を示す。

 だが、それは逆に2番機に付け入る隙を与えただけだ。右端に位置していたGV4は、11番機に剣を向けようと2番機から視線を外す……次の瞬間には、コクピットに2番機の打刀が突き立てられていた。ケラケラと笑う竜崎中尉。


「私の相手をするなら、余所見をしちゃ駄目ですよ」


 あと4機、既に第3戦団の数の優位は失われた。しかし。


「来たぞ。ナーガオウ州軍の重甲機兵だ」


 幹線道路に軍用の輸送車両クローラーが乗り付けられて、その荷台からナーガオウ州軍の所属章を付けたジークフリード型重甲機兵が立ち上がる。


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