第136話 叛逆
第2戦団の5機の重甲機兵の中で、最強はエース機である2番機に間違いない。そして、それに次ぐ戦闘力の機体は……悔しいが、御堂の駆るGV3Xとせざるを得ないだろう。
ハードウエアとしてのGV3Xは、B級とは言えA級に肉薄する機動性を実現している。そして操縦技術は、射流鹿よりも御堂の方が高い。
「GV3Xを計算できる戦力とする方が、この集団戦では有利です。ただし、パイロットは厳罰に処します」
「……そうだな」
短い言葉で同意した月夜見だが、相当に頭が痛い問題を抱え込んだのを覚悟する。何より、射流鹿の怒りが根深い。
第3戦団の6機の重甲機兵は、地表に降りると第一陣と同じ西側幹線道を挟んだ公園に布陣した。逆三角形の陣形で、一番奥にA級を配置、その直前に2機のB級、そして最前列が3機のB級である。
「戦力を分散させないのは、ちゃんと学習しているようだ」
第二陣の6機は、挟撃を画策し東西3機づつに分散した結果、各個撃破されたのである。
「射流鹿。確認しろ」
月夜見から送られたのは、一番奥に配置されたA級機体のデータだった。
『ジークフリード型A級重甲機兵機』
『GV2A型式識別番号0067』
天然ゼナ・クリスタルの素材に合わせたオーダーメイドのA級は、機体ごとの差違が生じる。ZCF機構の駆動音によっても固有の機体を識別できてしまう。
「A級ジークフリードの0067機体ですか?」
「南部方面軍の所属章を付けているが・・・あのA級は第3戦団の中央本部が保有している機体だ」
先に撃破した0066機と0067機がガルーダ部隊に配備されたのを、月夜見は出撃前に確認している。
南部方面軍殲滅のために派遣された部隊が、南部方面軍の所属として第2戦団の前に現れた。
「全機に情報共有しておきます。これで第3戦団の叛逆は確定しました」
11番機から2番機へ、そして前後のB級機体と接触回線で情報が伝えられる。
第2戦団の陣営から最初に飛び出したのは2番機だった。脚部と腰部の推進機関で機体をホバリングさせ、背面推進機関を全開状態で一気に敵陣へ突進した。
最前列3機のうちの2機が、間隔を狭めて2番機の突進を阻んだ。その後ろの2機も間隔を狭めて、2番機に対しての壁の役割をしようとしている。
「A級が、B級に護られるなんてみっともないですよ!」
竜崎中尉が、Cユニットで笑いながら敵のA級0067機を嘲る。
竜崎中尉には直感でわかる。「A級0067機は、2番機の敵ではない」と。




