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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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135/158

第135話 格闘戦、再び

 2機のB級機体が空中移送機エアブースターで母艦へ向かった後、御堂は自分の定位置と考える2番機の前方に立つ。



 2機のA級、その後方にB級2機……そしてGV3X(サンダーバード)の5機が、州議事堂の敷地へ陣取る形になっていた。


「あと2回の移送で、ここを放棄するはずだったが……3回の移送が必要になったな」


 ここから母艦まで、空中移送機エアブースターの往復に要する時間は30分から40分。


「14:30程度に撤退を完了できると思ったが……15:00以降になりそうだ」


「……」


 射流鹿の返事が返ってこない。射流鹿は不機嫌になると喋らなくなるのを、月夜見はよく知っていた。


「これだけお前の神経を逆撫でできるのは、ある種の『才能』かも知れないな」


 決してよい意味(・・・・)ではないが、月夜見が御堂を見直したのは事実である。射流鹿はやはり喋らない。



 11番機の音響センサーが空中移送機エアブースターのエンジン音を拾う。南部方面分が第一陣と第二陣に使用していた機体のエンジン音だ。


「敵の第三陣、来たぞ」


 11番機のサブカメラをフル稼動で画像を収集し、AI分析にかける。


「A級機体が1機、B級が5機だ。高高度信号弾……」


「待って下さい!」


 月夜見の報告に被さるように、射流鹿の声が響いた。何時になく焦った大声に、月夜見も驚いてしまった。


「どうした?」


「高高度信号弾の打上げを中止します!」


 11番機のバックパックから通常の信号弾が上がって、各機に「高高度信号弾の打上げ中止」の指示が飛ぶ。


「いいのか?」


 10キロメートル上空に撃ち上げる高高度信号弾は、およそ40キロメートル離れる『朱雀』や『胡蝶』からも確認できる。

 そして、それを確認した『朱雀』と『胡蝶』は、焼夷弾を搭載したミサイルを州都へ向けて発射する。ミサイル一基は、5つの弾頭に分裂して地上へ降り注ぐ。

 市街の防衛と市民の生命を口実で出撃する南部方面軍には、大きな足枷になるはずだった。落ちてくる弾頭を狙撃しようとするなら『上空を狙う無防備な重甲機兵』を、第2戦団はロケット砲で狙うだけだ。

 降り注ぐ弾頭の中で格闘戦になっても、着弾点を予測できる第2戦団は優位に運べるはずだった。


GV3X(サンダーバード)が……御堂准尉が何をするか予測できません」


「!」


 御堂であれば、率先して市街に降り注ぐ弾頭を狙撃するだろう。最悪、それを邪魔するであろう味方の重甲機兵を攻撃するかも知れない。


「仕方ありません。各機、個別に敵重甲機兵を撃破して下さい」


 州都を戦場にする、5対6の重甲機兵による格闘戦が再び始まった。

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