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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第131話 御堂のいない戦場

「月夜見様のダイパー(おむつ)は、大丈夫ですか?」


「ああ、私はいい」


 月夜見が若干引き気味であるのは、竜崎りゅうざき中尉は気付いてない。四角い壁にした布を折りたたんで、その間に取り外したダイパー(おむつ)を挟み込むと、そこである面倒なことに気付いたようだ。


「ああ、ここではゴミを持ち帰らないといけないんですよね」


 荒野であれば、赤い砂に穴を掘って埋めてしまえば良かったが……ここは市街地で公共施設の敷地だった。



 自分のダイパー(おむつ)の処理に逡巡しゅんじゅんしている竜崎中尉を醒めた目で見ながら、有本ありもと大尉は再び射流鹿と月夜見の側へ歩いて来た。


「ああ言う性格なので……申し訳ありません」


「いや、いい」


 竜崎中尉の不躾さを謝罪する有本大尉だが、現実のところ2番機のパイロットの人選に関しては月夜見の責任が一番大きい。


「第3戦団南部方面軍へ打撃を与える、との当初の目的は果たした。このまま兵を退き、戦力の大部分を失った南部方面軍本隊を強襲したいところだが……」


 月夜見の希望に対して、有本大尉が懸念を口にする。


「ナーガオウ州軍とガルーダ部隊が、穏やかに退かせてくれるかどうか、ですね」


 6機の重甲機兵を、2機の空中移送機エアブースターで撤退させるのは3回の移送が必要になる。そして友軍機の撤退に従い、4機、2機と少ない機体で敵と対峙しないとならなくなる。



「ナーガオウ州軍あるいはガルーダ部隊の姿が確認された場合、高高度用の信号弾を打ち上げて下さい」


 改めて、射流鹿の口から命令が出された。裏切り行為が確認された場合は即座に報復行動に出ると言うことだ。

 高高度用信号弾を確認した『朱雀』と『胡蝶』は、都市焼夷のミサイルを州都の上空へ向かって発射する。ミサイル一基は、およそ上空10キロメートルの高度で5つの弾頭に分裂して地上へ降り注ぐ。分裂後に地上到達までの時間は約40秒と言われる。


「彼らが本気で州都を守るつもりなら、落ちてくる弾頭を必死に狙撃するでしょうから、我々は『空を狙って動かない重甲機兵』をロケット砲で攻撃します。これで、かなりの敵の機体はかなり減らせるでしょう」


「ナーガオウ州軍が州都を守らず、我が軍との交戦を優先した場合は、どうする?」


 月夜見は、ナーガオウ州軍や第3戦団が州都や市民を本気で守るとは思っていない。現に今も州議事堂の周辺地区は報道機関を自由に行動させるために、市民の行動を制限していない。


「降り注ぐ弾頭を避けながら戦うだけですね」


 練度の高い第2戦団には、有利な戦いである。そして、こんな時に命令違反を犯しかねない御堂はいない。


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