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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第129話 南部方面軍の第三陣

 ナーガオウ州の報道機関が流すニュース映像を、第3戦団南部方面軍を統括する黒田くろだ准将は、本隊駐屯地の作戦会議ブリーフィング室で視聴していた。第一陣の5機と第二陣の6機の重甲機兵が、第2戦団の前に為す術なく撃破される映像は衝撃的であった。

 南部方面軍は、混乱していた。黒田准将の罵声が作戦会議ブリーフィング室に響き渡った。


「重甲機兵がないとはどう言うことだ。あと9機は動かせるはずではなかったか?」


「それが……機体の整備が追い付かず、稼働できません。更に、格納庫で火災を起こったために格納中の数機が失われてしまいました」


「……」


 副官の報告の意味は、黒田准将も理解している。

 整備が追い付かず……は、パイロットが怖じ気付いた際の出撃拒否の口実である。そして『格納庫の火災』は、機体やパーツの横流しよって「帳簿上存在するだけで、実態が存在しない機体」のことだ。

 ナーガオウ州軍司令官ダイ・アグナー将軍へ連絡を取ることを考えたが、直ぐに止める。アグナー将軍は、既に日和っているだろう。南部方面軍の戦力が尽きたことを悟られれば、即座に掌を返すに違いない。


「ガルーダ部隊の藤崎ふじさき准将を呼び出せ!」


「は?」


「ガルーダ部隊だ、急げ!」


「は………はい」



 混乱しているのはガルーダ部隊も同様だった。いや、ガルーダ部隊の方が遙かに内部の意見は割れていると言えた。

 ガルーダ部隊司令官・藤崎ふじさき准将の計画は破綻している。

 ルージュピークを放棄した日嗣皇子ひつぎのみこは『南部方面軍本隊の駐屯地を目指す』と予測していた。従ってルージュピークと本隊駐屯地を結ぶ線上で第2戦団と接触するための進路を選択していた。

 しかし、第2戦団は『南部方面軍を誘き出す』作戦を取り州都を包囲する。

 急遽、援軍を装って州都を包囲する部隊と合流を謀るも、即座に見破られて2機の空中移送機エアブースターと重甲機兵を失ってしまう。空中移送機エアブースターを撃墜されてしまったことで、ガルーダ部隊は重甲機兵を送り出す術を失ってしまう。



 そんなときに、南部方面軍の黒田准将からの極秘回線での通信が届く。



 南部方面軍は、ガルーダ部隊に空中移送機エアブースターの貸与を申し出てきた。交換条件は、二つだった

 一つは、ガルーダ部隊の重甲機兵を『南部方面軍の所属章』で参戦させること。そして、もう一つ……日嗣皇子ひつぎのみこの命。

 既に、第2戦団に対して叛逆行為を取っているガルーダ部隊には応じない選択肢はなかった。


「ナーガオウ州市民の平和にとって、最大の障壁は日嗣皇子ひつぎのみこの存在である!」


 藤崎准将は、ガルーダ部隊幹部の前で高らかに宣言した。

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