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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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128/160

第128話 サンダーバード帰艦

「一体……何なのですか、この脆さは?」


 GV3X(サンダーバード)がGV4を撃破するのを確認して、射流鹿も一応は安堵する。同時に、あまりに不甲斐ない南部方面軍に対しての憤りが漏れた。

 州議事堂へ陣取った第2戦団の重甲機兵6機。それを『東西方向から挟撃する』ために布陣したはずの第3戦団の重甲機兵6機は、これで全機が撃破されたことになる。

 対する第2戦団の損害はゼロどころか、戦力低下を招くような損壊すら受けていない。



「こんなものだろうよ。むしろ、よくやっている方だ」


 月夜見はクスクスと笑いながら、射流鹿の憤りを揶揄からかう。


「第一陣で5機。第二陣で6機の重甲機兵を送り込んできたんだぞ。我が第2戦団相手に、雑兵レベルの兵士がよく逃げずにいたものだと感心しているよ」


 月夜見の、暗に含ませた意図は射流鹿に伝わった。上層部の意図はともかく、現場の兵が怖じ気づいて逃亡を企てる頃合いと言うことだ。


「では、我が軍も撤退の用意を進めます」


「そうだな」



 12:45。

 第2戦団の『朱雀』と『胡蝶』から第四陣の重甲機兵2機が到着した。


「やだ、戻らない!あと二機、撃破しないとトイレ掃除がぁぁぁぁ!!」


 第二陣で到着した新藤《098》機とGV3X(サンダーバード)に、帰還する空中移送機エアブースターで『朱雀』へ帰艦するよう指示を出すと御堂が唐突に騒ぎ出した。

 既にGV3X(サンダーバード)のバッテリー残量は、40パーセントを下回っている。今のGV3X(サンダーバード)には、先ほどと同じ戦闘を繰り返す継戦能力はない。一度、母艦に帰艦してバッテリーを換装するべきなのは明白だが、御堂には論理的な説得は通用しない。


「トイレ掃除とは、何なのですか?」


「知らん!」


 射流鹿だけでなく月夜見もさじを投げる。最早、青柳にCユニットの神経接続を切断させるしかないと判断したところで、新藤中尉が御堂の説得に割って入った。


「戻るぞ、御堂准尉」


「厭です! もう一戦やります!」


「南部方面軍の主力は潰した。次は、ガルーダ部隊の所在を探して叩きに行く」


「え?」


 第3戦団本部から『南部方面軍殲滅』のために派遣されたはずのガルーダ部隊。そのガルーダ部隊から発進した2機の空中移送機エアブースターを、第2戦団は撃墜した。


「ガルーダ部隊との戦闘に備えなければならないのだ。状況を理解したまえ」


「……はい」


 渋々ながら、御堂はGV3X(サンダーバード)空中移送機エアブースターの背に搭乗させる。次いで、墜落機から航行記録を回収した新藤《098》機も、もう一機の空中移送機エアブースターに搭乗する。

 2機の重甲機兵を乗せた空中移送機エアブースターは、州議事堂を飛び立って『朱雀』へ帰艦する。

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