第127話 GV4とは違うのだよ、GV4とは!
第3戦団のGV4は、やや腰を落とした体勢だった。それはGV3Xも同じで、2機ともに鳩尾の高さで互いの剣の鍔元を重ねている。
GV3Xの装甲の隙間から光粒子が流れ出だす。まるで光粒子に圧されるかのように、GV4はわずかに後ずさりしていた。
「なるほどね!」
仮配属期間中に、GV4からGS4へ、そしてGV3Xと乗り継いでいた御堂だから気付いたことかも知れない。
(今のGV4は、最初に突進してきた時のGV4じゃない!)
GV4型機には廃熱のためのギミックがない。そのため機体に熱がこもりやすく、高稼動時には運動性の低下が大きい。
鍔迫り合いの体勢で睨み合う、この数分間。
推進機関で移動していれば大気中に放熱できる。しかし、鍔迫り合いのまま睨み合って動かなければ、GV4は高稼動を維持しながらも廃熱の術がないことになる。対して、GV3Xは発生する熱を光に変換して放出するため、機体の蓄熱による機能低下はない。
GV3Xが膝を微かに曲げて弾機を溜める。刹那、脚部の推進装置を全開にして、一気に後方へジャンプした。
着地と同時に、打刀を脇から後方へ引いて水平に構える。
GV4は、GV3Xが後退したのに合わせて打刀を握り直す。大きく後方にジャンプしたGV3Xよりもずっと小さな挙動で仕切り直しを行い、その左肩口へ向かって上段から真向斬り下げる。
GV4の打刀は、一瞬だけ早くGV3Xの左肩へは届いた。しかし。御堂は、GV4の間合いを紙一重の差で外すことができていた。剣先の芯を外した位置に肩部装甲をぶつけた。打刀の切っ先が、折れて弾け飛んでしまう。
一方、GV3Xの打刀は、車輪のように旋回する。横一文字の斬撃が、GV4の腹部を斬り裂いていた。
「六つ!」
もしも御堂が駆る機体が、同じGV4型機であったなら……せっかちな性格が禍して、敗北していたのは御堂だったかも知れない。少なくとも、蓄熱による機体の機能低下も対等ならば、御堂が優位を取れた要素はなかった。
……カン……カン
機体のZCF機構が強制的に停止させられると、胸部装甲を開いてパイロットが脱出するのが見えた。パイロットが恨めしそうな視線をGV3Xに向けていた。
(GV4とは違うんだよ、GV4とは!)
西側幹線道路に、御堂が倒した3機の機体が横たわっている。州議事堂の関連施設である図書館がビームの直撃を受けて黒煙を上げていた。
東側幹線道路の向こう側のビルは、未だに炎と黒煙を上げている。




