第126話 鍔迫り合い
GV3Xと第3戦団のGV4は、鍔迫り合いを繰り広げていた。御堂としては、一旦距離を取って仕切り直ししたかったがGV4のパイロットはそれをさせないつもりのようである。
「ちぃ!」
出力を上げて押し返せば、軸を外されて側面を取られる可能性がある。逆に引けば、先に仕切り直した敵機の斬撃を浴びる可能性……。
互いの剣を鍔元で重ねたままの時間が経過する。
「全く……何故、彼女に限っては皆が寄って集って甘やかすんですかね」
射流鹿の、月夜見に向けた皮肉が11番機のSユニットに届いた。「彼女」とは、当然ながら御堂のことである。
「……」
分が悪いと思ったのか、月夜見は返事をしない。
11番機の前方に布陣しているのは、戦艦『朱雀』の新藤中尉の098機である。
新藤《098》機は、ロケット砲を構えながら、GV3XとGV4の鍔迫り合いを見守っている。
手が出せないのではない。御堂に手柄を上げさせるために、敢えて見守っているのだ。
東側幹線道路に陣取った第3戦団の分隊3機は、既に2機のB級機体の連携により壊滅している。西側幹線道路から襲撃した分隊3機も、撃破するだけなら当に終わっていたはずだ。
11番機が、新藤《098》機のバックパックに右腕を接触し、通信回線を開いた。
「撃墜したガルーダ部隊の空中移送機から航行記録を記録したユニットの回収をお願いします。第四陣の到着と入れ替わりで、新藤《098》機とGV3Xは『朱雀』へ戻ってバッテリー換装をして下さい」
南部方面軍の第三陣到着までに、第2戦団の第二陣到着組を入れ替える。現実に、この戦闘でGV3Xのバッテリー残量は50パーセントを下回っているはずだった。
「了解しました」
新藤中尉は短く返事をすると、ロケット砲をその場に置いて空中移送機の墜落地点に向かって移動した。
11番機は、新藤《098》機の定位置だった場所に移動してロケット砲を構えた。GV3Xと鍔元で剣を重ねたままのGV4に標準を合わせる。
「GV3Xごと撃つのは止めておけ」
射流鹿の性格をよく知る月夜見が、警告を入れた。
「奇跡的に残っていた13番機の実験機だ。それに囮のような戦い方をさせては、託してくれたラインゴルド傭兵機団に申し訳が立たない」
「……」
思惑を見透かされて、射流鹿の方が今度は黙ってしまう。
東側幹線道路の3機を撃破した2機のB級に対して戦闘モードを解除する旨の信号弾を打ち上げて、2番機と共にGV3Xの戦闘に注目することにする。
「わかりました。彼女が自分で何とかするのを待ちますよ」




