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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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126/158

第126話 鍔迫り合い

 GV3X(サンダーバード)と第3戦団のGV4は、鍔迫り合いを繰り広げていた。御堂としては、一旦距離を取って仕切り直ししたかったがGV4のパイロットはそれをさせないつもりのようである。


「ちぃ!」


 出力を上げて押し返せば、軸を外されて側面を取られる可能性がある。逆に引けば、先に仕切り直した敵機の斬撃を浴びる可能性……。

 互いの剣を鍔元で重ねたままの時間が経過する。



「全く……何故、彼女に限っては皆が寄って集って甘やかすんですかね」


 射流鹿の、月夜見に向けた皮肉が11番機のSユニットに届いた。「彼女」とは、当然ながら御堂のことである。


「……」


 分が悪いと思ったのか、月夜見は返事をしない。

 11番機の前方に布陣しているのは、戦艦『朱雀』の新藤中尉の098(GV4)機である。

 新藤《098》機は、ロケット砲を構えながら、GV3X(サンダーバード)とGV4の鍔迫り合いを見守っている。

 手が出せないのではない。御堂に手柄を上げさせるために、敢えて見守っているのだ。

 東側幹線道路に陣取った第3戦団の分隊3機は、既に2機のB級機体の連携により壊滅している。西側幹線道路から襲撃した分隊3機も、撃破するだけなら当に終わっていたはずだ。

 11番機が、新藤《098》機のバックパックに右腕を接触し、通信回線を開いた。


「撃墜したガルーダ部隊の空中移送機エアブースターから航行記録を記録したユニットの回収をお願いします。第四陣の到着と入れ替わりで、新藤《098》機とGV3X(サンダーバード)は『朱雀』へ戻ってバッテリー換装をして下さい」


 南部方面軍の第三陣到着までに、第2戦団の第二陣到着組を入れ替える。現実に、この戦闘でGV3X(サンダーバード)のバッテリー残量は50パーセントを下回っているはずだった。


「了解しました」


 新藤中尉は短く返事をすると、ロケット砲をその場に置いて空中移送機エアブースターの墜落地点に向かって移動した。

 11番機は、新藤《098》機の定位置だった場所に移動してロケット砲を構えた。GV3X(サンダーバード)と鍔元で剣を重ねたままのGV4に標準を合わせる。


GV3X(サンダーバード)ごと撃つのは止めておけ」


 射流鹿の性格をよく知る月夜見が、警告を入れた。


「奇跡的に残っていた13番機の実験機だ。それに囮のような戦い方をさせては、託してくれたラインゴルド傭兵機団に申し訳が立たない」


「……」


 思惑を見透かされて、射流鹿の方が今度は黙ってしまう。

 東側幹線道路の3機を撃破した2機のB級に対して戦闘モードを解除する旨の信号弾を打ち上げて、2番機と共にGV3X(サンダーバード)の戦闘に注目することにする。


「わかりました。彼女が自分で何とかするのを待ちますよ」


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