第123話 孤独感
A級0066機を撃破した2番機が、戻って来る。空中移送機狙撃から5分取らずの戦闘だった。
「2番機の装備復元を補助して下さい」
青柳の指示がCユニット入力届いた。
「了解」
投げ捨てられたロケット砲を、GV3Xが拾い上げて2番機に手渡した。続いて2番機が差し出した左腕アタッチメントに、と凧型盾を装着させる。
「ありがとう」
接触通信で、竜崎中尉の声が御堂に届く。
「肩部装甲はいいんですか?」
左肩部装甲を破棄した2番機の左肩は、素体構造が露出したままである。
重甲機兵の一部の装甲板は、予め排除できるように接合部に爆発剤が仕込まれている。過度の衝撃を爆発で相殺したり、排除することで衝撃を素体構造へ伝わらないようにするためだ。
「問題ありません」
竜崎中尉は、気にしている様子はない。
「あの!」
2番機が接触通信を切ろうとした時、御堂は思い切って切り出した。青柳にも通信を拒絶されている御堂には、問いかけられる相手は竜崎しかいなかった。
「あれは、合流を求めた友軍機ではなかったんですか?」
「あのB級は、戦闘モードだったのを気付きませんでしたか?」
「え?」
主部隊の機体が待機モードであれば、後から合流する機体も待機モードとするのが原則である。まして、第3戦団の機体が戦闘モードで接近してくれば、迎撃するのは当然の対応と言えた。
「でも……本部から派遣された部隊です。南部方面軍を制止しようとしていたのかも知れませんよね?」
竜崎からの返事が途切れる。「また、何か言ってはいけない発言をした?」のかと御堂は戸惑う。
「第3戦団が原則に反して接近してきたんです。かも知れない……そんな憶測で、味方の兵を危険に晒すのは正しいのでしょうか」
「……」
「私くらい歳を取ると、戦場で親しかった戦友との死に別れを幾度も経験するんですよ。性格も捻くれてしまいますし、我が身が第一になります」
笑いながら竜崎中尉は、接触通信を切断した。
竜崎中尉の年齢は知らなかったが、30歳前後だろうと御堂は思っている。帝から第2戦団に下賜されたアルカナ・ナンバーの一機である2番機、その機体を託された第2戦団のエースである。
「定位置に戻って下さい」
青柳の一方的な指示がCユニットに届いた。指示に従ってH字型陣形の右前衛の位置に機体を戻す。CユニットからSユニットへの音声はオフのままだ。青柳は本当に、御堂からの声を一切聞くつもりはないようだった。
「青柳中尉! 青柳中尉!」
返事がないのは承知の上で、マイクに向かって叫んでみた。




