第122話 竜崎葉月
午前12:15。
11番機のSユニットで、音響センサーが拾った周辺の音の中から「ある種の爆音」に月夜見は気付いた。音の方向にサブカメラを向け、カメラが捉えた画像をAI解析にかける。
「近衛軍の空中移送機が接近してる。2機だ」
「2機ですか?」
応じる射流鹿。11番機の頭部がその方向へ向き、機械眼球が2機の空中移送機を捉える。
最初に3条の色煙、次いで2条の色煙が、空中移送機の上に搭乗していた重甲機兵から打ち上げられた。
「第3戦団本部より派遣された部隊が、援軍として合流したいらしいな」
主モニターの映像を拡大しなくとも、機体を確認できる程度の距離に空中移送機は接近してきた。
「A級0066機とB級GV4……GV4は既に戦闘モードを起動しているな」
「そう言うことですか」
11番機が、ロケット砲で空中移送機を狙撃する。バッテリー節約のために待機モードに入っているB級は追従できなかったが、2番機も11番機に続いて空中移送機を狙撃する。
11番機の初弾こそ躱したが、その後の11番機と2番機の連射で空中移送機は2機とも撃ち落とされてしまう。
そのまま墜落するかに見えた重甲機兵だが、A級0066機は推進機関で体勢を立て直して着地体勢を取った。ビル街の高層建物を上から下へ突き抜けながら破壊しながら着地に成功する。
機体を立て直せなかったB級GV4は、地表に叩き付けられ動かない。
「さすがにA級のパイロットは反応が早いですね」
11番機が2番機を向いて、A級0066機を指差した。
2番機Cユニットの竜崎葉月中尉は、11番機の指示を受けるやロケット砲と凧型盾を投げ捨てた。
ZCF機構が十分なエネルギーを供給するA級機体は、B級機体のように待機モードでエネルギー消費を抑える必要はない。常に戦闘モードである。
Sユニットから、周辺ビル街に関する情報をザブニターへ流れてくる。その情報を確認しながら、A級0066機の着地点へ突進した。
ビルの瓦礫の中から立ち上がったA級0066機は、接近する2番機を確認するや腰の打刀を引き抜く。
対して2番機は、右腕を左肩部装甲へ伸ばし、ナイフを取り出してから左肩部装甲を爆破・排除する。幹線道路から奥へ入ったオフィス街の路は狭い。肩部装甲が大きく張り出すジークフリード型機体では身動きが取れない。
「推進機関制御は上手だったから、良い腕かと思ったのに……そうでもなかったのね」
隣接するビルに邪魔されて剣を振るえないA級0066機は、喉元にナイフを突き立てられて機能を停止した。




