第120話 戦死?それとも処刑?
GV3Xの一対の機械眼球が捉えた映像が、Cユニットの主モニターに映し出されている。御堂は、ついさっき自らが戦った西側公園を視ていた。
公園の芝生や樹木は、機体を浮かせる推進機構が発生させた数千度の高熱で焼き尽くされてハゲ山のようだった。この公園を再生させるためには、かなり大規模な土の入れ替えが必要になるはずだ。
この時代の地表は荒廃している。前時代の都市群を埋める砂や塵によって、大部分が不毛な砂漠や荒野と成り果てている。重甲機兵は、本来そのような荒野や砂漠での戦闘を前提に設計されている。
地表にかろうじて残った水源と沃土の場所に、小規模な都市国家を築くのが地表に生きる人間の営みであり、重甲機兵はそれを守るための機械のはずだった。
州議事堂の東側には高層オフィスビルが立ち並んでいたが、第3戦団の重甲機兵が放った粒子ビームの流れ弾を浴びて、あちらこちらから炎と黒煙を上げている。
11番機と2番機は、粒子ビームの標的とされても御堂のように街を気遣うことはしなかった。
「青柳少尉。さっきさ、あたしを排除しようとしなかった?」
「はい。Cユニットを機体制御から切り離すつもりでした」
「……」
理由は聞くまでもない。指揮権の有するSユニットの命令に反して、敢えて粒子ビームの的になっていたからだ。第2戦団のジークフリードが駆け付けてくれたことで何とか事なきを得た。
「次の命令違反には警告はしません。即時、対処します」
「いや。でも……できれば街への被害って、小さくしたい……よね?」
「問題ありません」
「あたしは厭なの!」
数秒の沈黙。
「警告なしのCユニット排除を撤回します」
ホッとする御堂。ありがとう……と言うとしたところを青柳の言葉が続く。
「警告なしのCユニット爆破に変更します」
「なんで!!」
「説明の必要はありません。以降、Cユニットからの音声は切断します。命令違反と判断すれば即時Cユニットは爆破します」
「ちょっとぉぉぉ!」
それきり、青柳が御堂に返答を返すことはなかった。
CユニットにはZCF機構の重苦しいノイズが響いている。その中で、御堂は背筋が凍るような悪寒を感じていた。
普段のふにゃふにゃした様子から、青柳を完全に見損なっていた。
……麗仙石州の騎行戦を指揮したSV
都市の半分が焦土化する作戦を指揮したSVが「街への被害を小さくする」配慮など同意するはずがない。
(最悪、あたしもここで戦死?)
(いや、命令違反の叛逆罪で処刑か・・・)




