第118話 愚直で結構です!
ゴオォォォーン
GV4の上半身が、公園の芝生の丘に転がり落ちた。重甲機兵の胸部にコクピットがあるが、10メートル程度の高さから落下した以上、パイロットは無事ではないだろう。
胸部装甲が開く気配のないことに、御堂の胸に切ない罪悪感が過る。
「8時方向のGV4、粒子ビーム砲を向けています」
青柳の声が、御堂を現実に引き戻した。V字型陣形の右最後尾のGV4へ、GV3Xが向き直る。
「9時方向GV4の武装は、打刀です。そちらの排除を優先することを推奨します」
第3戦団のV字型陣形は、A級0061機を頂点にして二列目に剣装備の機体、三列目に粒子ビーム砲装備の機体を配置していた。
対重甲機兵戦で、粒子ビームやレーザーのような光学兵器は効果が薄い。対重甲機兵用の遠距離攻撃ならば、第2戦団がロケット砲を装備してきたように実弾兵器を用いるのが定石である。
何故、第3戦団が粒子ビーム砲を装備して来たのか?
GV3Xとの戦闘で、その理由が判明する。
御堂は、青柳の指示を実行できずにいた。
粒子ビーム砲を乱射するGV4の前で、敢えて的になりながら、もう一機のGV4の剣の打ち込みに晒されていた。
「打刀装備のGV4との戦闘に集中して下さい」
「できるわけないでしょうが!!」
もう一機のGV4は、粒子ビーム砲を乱射しているのだ。GV3Xが敢えて的にならなければ、周囲の建築物が流れ弾で被弾してしまう。市民の避難が行われていないオフィス街の建築物が、粒子ビームの直撃を受ければ瞬間的に数十人の命が失われてしまうだろう。
「敵の目論見です。みすみす策に乗るのは愚直すぎます」
「愚直で結構です!」
青柳の口元が歪み、その双眸が冷たく光る。
「では、Cユニットを排……」
青柳の発言を遮るように、第2戦団のもう一機の空中移送機が州議事堂の敷地に着陸した。空中移送機から降りたB級ジークフリードが、打刀装備のGV4を牽制してくれたおかげで、GV3Xはようやく体勢を立て直せた。
GV3Xと1対1の戦いを余儀なくされると、粒子ビーム砲を乱射していたGV4も剣に装備を持ち替える。しかし、御堂の敵ではなかった。機体の感覚機構の情報伝達が集中する喉元を抉られてしまう。
「……三つ」
崩れ落ちるGV4の胸部装甲が開くのが見えた。そこから脱出するパイロットを確認した御堂は少しホッとする。
第3戦団の残る一機も、後から到着し支援に入ったB級ジークフリードにより撃破される。これで第3戦団第一陣の5機の重甲機兵は全て撃破された。




