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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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115/159

第115話 サンダーバード出撃

 第2戦団の州都議事堂制圧の報を受けた州軍司令ダイ・アグナー将軍は、極秘回線で南部方面軍の黒田くろだ鴨居かもい准将へ支援を要請した。その際に、民間の報道機関に情報を流し「民間の報道を視た南部方面軍が、支援に駆け付けた」との体裁を整えようと画策する。

 ナーガオウ州軍と南部方面軍が、繋がっていることは知られないようにするためであった。

 民間の報道機関を自由に行動させる都合上、敢えて議事堂周辺の一般市民の避難を指示しなかったのである。



 南部方面軍は、稼動できる重甲機兵を直ちに州都へ向かせることにする。

 午前10:45。

 5機の空中移送機エアブースターで、4機のB級ジークフリードと1機のA級ジークフリードを、本隊の駐屯地から発進させた。同時に、駐屯地の全重甲機兵のZCF(ズィーフ)機構を暖気運転に入らせる。

 第2戦団に先手を取られたことを憂慮しつつも、南部方面軍司令官である黒田准将は、これを好機と考えていた。

 日嗣皇子ひつぎのみことの対立は、近衛軍として由々しき事態である。しかい、これで「ナーガオウ州都の一般市民を守る」との大義名分を掲げることができる。

 1時間後には、更に15機の重甲機兵を投入できる。不利な要素はないと考えていた。



 午前11:00。

 戦艦『朱雀』中央デッキに、第一陣を州都議事堂へ降ろした空中移送機エアブースターが戻ってくる。


「第一陣で出撃したかったのになあ」


 第二陣として出撃するため、空中移送機エアブースターの背にGV3X(サンダーバード)を進ませながら第一陣に選ばれなかったことをボヤく御堂。


「無意味です。予測される南部方面軍の到着は、最速でも11:10ですので、戦闘モードで30分以上待機することになります。バッテリー残量により『継続できる戦闘時間』を制限されるB級機体を第一陣とする合理的な理由はありません」


「いや、ほら。その……意気込みとかモチベーションとかの意味でさ」


「常に最適なモチベーションを発揮できるよう、メンタルトレーニングをすることを推奨します」


「……」


 いつも自分の後ろ隠れてオドオドしている青柳とのギャップに、御堂は困惑していた。


「あのさ、ホントに青柳少尉……だよね」


「はい。第2戦団煉獄(れんごく)峡要塞付属研究所よりルージュピーク遠征部隊に派遣された青柳礼子です」


「いや、雰囲気が違いすぎって言うか……」


「作戦行動に支障がある、と判断されましたか?」


「いや、それは……」


「では、お気にならず作戦行動に集中して下さい」


「……はい」


 午前11:05。GV3X(サンダーバード)を乗せた空中移送機エアブースターは、に『朱雀』を飛び立った。

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