第115話 サンダーバード出撃
第2戦団の州都議事堂制圧の報を受けた州軍司令ダイ・アグナー将軍は、極秘回線で南部方面軍の黒田鴨居准将へ支援を要請した。その際に、民間の報道機関に情報を流し「民間の報道を視た南部方面軍が、支援に駆け付けた」との体裁を整えようと画策する。
ナーガオウ州軍と南部方面軍が、繋がっていることは知られないようにするためであった。
民間の報道機関を自由に行動させる都合上、敢えて議事堂周辺の一般市民の避難を指示しなかったのである。
南部方面軍は、稼動できる重甲機兵を直ちに州都へ向かせることにする。
午前10:45。
5機の空中移送機で、4機のB級ジークフリードと1機のA級ジークフリードを、本隊の駐屯地から発進させた。同時に、駐屯地の全重甲機兵のZCF機構を暖気運転に入らせる。
第2戦団に先手を取られたことを憂慮しつつも、南部方面軍司令官である黒田准将は、これを好機と考えていた。
日嗣皇子との対立は、近衛軍として由々しき事態である。しかい、これで「ナーガオウ州都の一般市民を守る」との大義名分を掲げることができる。
1時間後には、更に15機の重甲機兵を投入できる。不利な要素はないと考えていた。
午前11:00。
戦艦『朱雀』中央デッキに、第一陣を州都議事堂へ降ろした空中移送機が戻ってくる。
「第一陣で出撃したかったのになあ」
第二陣として出撃するため、空中移送機の背にGV3Xを進ませながら第一陣に選ばれなかったことをボヤく御堂。
「無意味です。予測される南部方面軍の到着は、最速でも11:10ですので、戦闘モードで30分以上待機することになります。バッテリー残量により『継続できる戦闘時間』を制限されるB級機体を第一陣とする合理的な理由はありません」
「いや、ほら。その……意気込みとかモチベーションとかの意味でさ」
「常に最適なモチベーションを発揮できるよう、メンタルトレーニングをすることを推奨します」
「……」
いつも自分の後ろ隠れてオドオドしている青柳とのギャップに、御堂は困惑していた。
「あのさ、ホントに青柳少尉……だよね」
「はい。第2戦団煉獄峡要塞付属研究所よりルージュピーク遠征部隊に派遣された青柳礼子です」
「いや、雰囲気が違いすぎって言うか……」
「作戦行動に支障がある、と判断されましたか?」
「いや、それは……」
「では、お気にならず作戦行動に集中して下さい」
「……はい」
午前11:05。GV3Xを乗せた空中移送機は、に『朱雀』を飛び立った。




