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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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第114話 議事堂包囲

 2機の空中移送機エアブースターがナーガオウ州の空域に入ると、スクランブルがかかって州軍の戦闘機が現れた。しかし、重甲機兵のZCF(ズィーフ)機構の影響でレーダーも無線も使えない戦闘機は、目視した状況を報告するために直ぐに帰還するしかなかった。

 2機の空中移送機エアブースターは、妨害を受けることなく州都議事堂へ到着する。



 ナーガオウ州の州議事堂は、州都中央に広大な敷地を有して建築されている。東西を長手方向にして、南に面して正面玄関、北に面して施設管理用出入口があり、それぞれの出入口の前には南側庭園と北側庭園が広がっている。

 正面玄関前の南側庭園には2番機を乗せた空中移送機エアブースターが、北側庭園に11番機を乗せた空中移送機エアブースターが着陸した。

 2機の空中移送機エアブースターから降りた白兵戦部隊は、正面玄関と管理用出入口から議事堂へ突入した。議事堂の内部に銃声が響き渡たり、突入を阻止しようとした警備官は容易に排除されてしまう。

 ナーガオウ州議員71人が出席していた衆議院議会が制圧されるまで10分を要しなかった。

 第2戦団ルージュピーク遠征部隊から交渉役を任ぜられたのは、戦艦『朱雀』に所属する新藤しんどう少佐だった。ルージュピーク工廠施設で責任者を務めた将校である。



 10分後。

 管理用出入口から一人の兵士が、北側庭園の11番機に向かって走ってくる。伝令役の腕章をしているから交渉役の新藤少佐の使者だろう。

 伝令兵は、重甲機兵の脚部にある接触通信の接触板に通信機を接続させて有線通信を開いた。


「州議事堂の制圧を完了しました。衆議院議会に議員71人を拘束しています」


 兵士の報告が、コクピットに届く。


「議会の反応は?」


 Sユニットの月夜見が、兵士に問いかけた。


「議会へ『3軍合同演習に関与した者の引き渡し』を要求していますが、まだ回答はありません」


「だろうな」


「議会からは『議論のための時間が欲しい』と言ってますが?」


 ここで月夜見は黙する。射流鹿が、回答を引き継いだ。


「返事をする必要はありません。要求だけを繰り返して下さい」


 射流鹿の目的は、交渉ではない。第3戦団南部方面軍を州都へ誘き出すことだけだ。臨機応変に対応を変えるために、時間を約束するつもりはない。


「了解しました。新藤少佐の元へ戻ります」


 接触通信回線を閉じて、伝令兵は管理用出入口から州議事堂へ戻った。



 州議事堂の広大な敷地上空には、ナーガオウ州軍の軍用ヘリが展開している。しかし、2機のA級重甲級兵には対抗する術はない。

 また敷地外周の道路には報道機関が集まりカメラを回しているようだ。


「市民の避難誘導をしていませんね」

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