第113話 サンダーバード覚醒
白兵戦部隊と2番機を移送する空中移送機が、戦艦『朱雀』の左舷デッキを飛び立った。同時に『胡蝶』からも11番機を移送する空中移送機が飛び立っている。
戦艦『朱雀』中央デッキ、GV3Xのコクピット。
御堂はCユニットの操縦席に身体を沈めた。青柳から指示があるまで、御堂にはやることはない。
コクピットを保護する装甲板が閉鎖され、計器やモニターの設置された操縦盤が定位置まで迫ってくる。計器に灯の入らないコクピットの閉塞感、その暗闇の中で待つ時間は異様に長く感じる。
「Sユニット同調完了。Cユニット、接続して下さい」
青柳の声がCユニットへ響いた。いつもの語尾が間延びする、ちょっと間の抜けた口調ではなかった。声は確かに青柳のものだが、抑揚のない機械音声のように聞こえる口調だった。
操縦席からのびるアタッチメントを、パイロットスーツの腋下部へ接続する。接続完了のグリーンランプを確認し、青柳に応答を返す。
「Cユニット接続OK」
「了解。機体の運動制御をCユニットへ委譲します」
青柳の声と共に、Cユニットの計器に一斉に灯が入り、周囲が明るくなる。
ブーン⋯⋯
脳が軽く揺さぶられるような疑似的な音が響いた後、まるで身体が二重にかさなるような感覚。
この、もう一つの身体が重甲機兵のそれである。
重甲機兵の右腕を顔の前に持ち上げる。正面の主モニターにGV3Xの右腕が持ち上がるのが見える。
右拳を開いて閉じる。GV3Xの右の拳が開いて閉じた。
「神経同調、OK!」
御堂の神経とGV3Xは同調している。
「ZCF機構の臨界確認。各部アクチュエータへの電流増加」
「面頬、下げます」
重甲機兵の頭部を保護する兜から、顔正面を保護する装甲を引き下げた。重甲機兵の素顔が鉄の仮面に覆われる。
ゴオォォォォォォ
重苦しい轟音と共に、デッキ天蓋が後方へスライドしてゆく。天蓋がなくなり、GV3Xは蒼天の下に晒された。
直射日光を吸収してZCF機構が出力を上げる。GV3Xがゆっくりと台座から立ち上がった。
「GV3X、覚醒します!」
白い装甲板の隙間から、光粒子が流れ出て光の帯となる。面頬の奥の右の人工眼球が輝いた。
「左腕アタッチメントに凧型盾を装着して下さい。ただし、この装備は防御を目的にするより、ロケット砲のカートリッジを格納するのが主目的です。防御力は当てにしないで下さい」
機械音声のような青柳の声で、説明がなされた。
「わかってますって!」
GV3Xは、左腕に凧型盾を、右手にロケット砲を持って中央デッキに立つ。




