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赤塵のサンダーバード -機兵戦記-  作者: 星羽昴
第七章

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111/158

第111話 包囲戦始まる

 各都市国家間を連絡する機甲路。『朱雀』と『胡蝶』は、ナーガオウ州都に近いN16中継基地に入港していた。

 戦艦『胡蝶』では、射流鹿と月夜見は11番機のコクピットで待機していた。



 第一陣は2機の空中移送機エアブースターで『朱雀』の2番機、『胡蝶』の11番機を州議事堂へ移送する。空中移送機エアブースターには白兵戦部隊も搭乗させ、2番機と11番機が州議事堂を包囲するのに合わせて議会を占拠する。


「州議事堂では衆議院議会が、10分前に開場した。我が軍の動きは察知されてはいないな」


 機甲路へ入った部隊の動きは、皇城府にしか把握できない。もし、機甲路上空を偵察すれば敵対行為と見なされる。


「敵対関係にあるナーガオウ州なら、偵察してくるかと思いましたが……表だって皇城府に叛逆する覚悟はないようですね」


 射流鹿としては、いささか拍子抜けである。明確な敵対行為をしてくれれば、即座に騎行戦に切り替えて州都を焦土化するつもりでいた。


「第3戦団の南部方面軍が後ろ盾についているのだ。安心しているんだろう」


 N16中継基地に入港してから、2艦は帝国のネットワークインフラに接続して皇城府からの情報を受け取っている。

 同盟議会・元議長だった錦城きんじょうジンが、太后おおきさきへ命乞いをしたこと。

 第3戦団本部が、南部方面軍殲滅(殲滅)のためにガルーダ作戦部隊を派遣したこと。

 そして、そのガルーダ作戦部隊から第2戦団ルージュピーク遠征部隊に宛てたメッセージも送信されていた。しかし、射流鹿はそのメッセージを開封せずに無視するよう指示した。


「メッセージを開封すれば、こちらが帝国のインフラへ接続できる場所にいることを()に知らせることになります」


 この射流鹿の判断により、ガルーダ作戦部隊の藤崎ふじさき准将の思惑は最初から崩壊していた。



 2機のA級機体による州議事堂包囲と白兵戦部隊による議会の占拠、州議会には『3軍合同演習に関与した者の引き渡し』を要求する。

 当然、議会は応じず時間稼ぎをするだろう。そして第3戦団南部方面軍が駆けつける。

 南部方面軍本隊の駐屯地から州都までは約80キロメートル。空中移送機エアブースターであれば往復で60分から80分だろう。

 皇城府の情報によれば南部方面軍が保有する空中移送機エアブースターは6機。18機の重甲機兵を輸送するには180分は必要となる。

 対して、第2戦団は空中移送機エアブースターこそ2機だけだが、往復30分の地点に待機できている。

 南部方面軍が第一陣の6機を移送する間に、第2戦団は2回の往復で4機を移送できる。4対6、第2戦団の熟練度なら数の不利は問題ではない。

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