第110話 ガルーダ作戦
第3戦団本部から派遣された部隊は、指揮艦の名称を取って『ガルーダ作戦』部隊と呼称される。
戦艦『ガルーダ』の主艦橋に集まったガルーダ作戦の幹部たちは、藤崎准将の意向を聞き皆言葉を失ってしまう。
「それでは南部方面軍とは交戦しない、と言うことですか?」
「第3戦団の身内同士で戦うようなマネはしない。我々は、どの勢力とも戦わない」
幹部たちは顔を顰めた。身内同士の戦闘を回避することで、兵の士気は上がると思っていた藤崎には意外だった。
「南部方面軍に加担した場合、我々が叛逆者となるのではありませんか?」
「その時には、私を告発して構わない。貴官らは、私の命令に従っただけだ。全ての責任は私が負う」
顔を見合わせながら安堵する幹部たちを見て、藤崎は失望した。同胞である南部方面軍2万人を切り捨てて、我が身だけの保身を図ろうとしたのか?
「貴官らに再確認して貰いたいことがある。現在、第2戦団の軍事的圧力によってナーガオウ州市民の生活と自治が脅かされている。それを正すために立ち上がった南部方面軍が見捨てられるようなことは絶対にあってはならない」
やはり、顔を見合わせながら渋々と頷く幹部たち。
「お待ち下さい」
2連型戦艦『蒼天』艦長・城肇大佐が声をあげた。
「3軍合同演習でのイルドラ軍の奇襲攻撃が発端と聞いております。そして、ナーガオウ州軍はそれに加担していた、と」
「訂正せよ。イルドラ軍ではない、イルドラ軍に所属していた1兵士の暴走である。そして、ナーガオウ州軍が加担した証拠はない」
「いえ。フラッグ戦でのイルドラ軍重甲機兵は2機ともに実剣を装備していました。第2戦団のGV4を狙撃したロケット砲は1兵士の独断で持ち出せるものとは思えません。また、ルージュピーク演習場全域の空撮する予定だった撮影用ドローンが、その戦闘領域のみ映像が残っていないのは加担を疑うに足る状況証拠と思います」
「イルドラ軍およびナーガオウ州軍の公式見解である。皇城府にも届いているものを、貴官は否定するのか?」
「届いているだけで、帝は否定されたはずです」
「……」
一瞬、藤崎は言葉に詰まった。城大佐は更に疑問を投げかける。
「帝が否定した見解を根拠として、軍事行動を起した南部方面軍に正義はあるのでしょうか?」
「今現在、第2戦団によってナーガオウ州市民の生活と自治が脅かされているのだ。帝国の市民を守るべき責任を果たそうとは思わないのか?」
城大佐は、小さくため息をついた。そして。
「我が『蒼天』は、本作戦より離脱を宣言します」




