第104話 御堂の贖罪
ルージュピークで第3戦団の戦力を削ぐことに失敗した時、射流鹿は即座に11番機を稼動する決断をした。
日嗣皇子専用機なら、第3戦団を挑発し、かつ囮の役を果たせる。
「州議事堂包囲に際して、この『朱雀』はN16中継基地に駐艦します。GV3Xは、万一に備えて『朱雀』に待機するのが任務です。よろしいですか?」
月夜見の後を任された八須賀大佐が、青柳を第2戦団本隊から呼び寄せたおかげでGV3Xも戦線に残せた。 脚を故障した御堂でも、留守番役なら十分だろう。
しかし、御堂の眸はその役目に納得していない。
「汚名挽回のチャンスを下さい」
御堂の言葉に、刀自古が双眸を細める。しかし、そこに浮かぶのは憐憫の色。
「汚名は返上するもので、挽回するのは名誉ですよ?」
「どっちでもいいです!」
州議事堂のある州都の市街地が戦場になる……一般市民が巻き添えになると思うと辛い。そして、それを招いたのが御堂自身の行動に起因するのが許せなかった。
(死者が出る前なら、話し合いできると思っていた)
……帝の命令なく軍事行動を起こした第3戦団。
……第3戦団にも相応の理由があるはず。
……同じ近衛軍なら話し合いできる。
(何で忘れてたんだろう)
……玲が殺されそうになったこと。
……あたしも殺されそうになったこと。
(話し合うって意味を考え違いしてた)
3軍合同演習での不法な襲撃、それを隠蔽するための第3戦団の不法な軍事行動……第3戦団は「不法行為を見逃せ」と言ってるのだ。
法治国家は、不法行為を許さない。帝国が法治国家である限り、そんな話し合いが成立してはならない。
「罪を犯したのはイルドラ軍とナーガオウ州軍、そして第3戦団です。その罪は、必ず償わせます。でも、州都の市民に罪はありません。州都の市街地へ被害を出さずに済む方法を教えて下さい」
御堂が、刀自古に向かって頭を下げる。
入鹿がいれば、入鹿に従っただろう。だが、いま入鹿はいない。自分の頭では、良い考えも思いつかない。目の前の刀自古に頭を下げるしかなかった。
刀自古はしばらくの間、御堂の後頭部を眺めていた。
「第3戦団を叩きなさい」
刀自古は、小さく息を吐き出してから、ゆっくりとそしてキッパリ断言した。
「第3戦団の重甲機兵を撃破すれば、第2戦団は市街地を離れます。できるだけ短時間で戦闘を終わらせれば、市街地を無傷で……とはいかないでしょうが、被害を最小に留めることは可能です」
「はい」
「本当に、できますか?」
「はい、やります!」




