調査-17
紫藤の問いかけに朱音は当日のことを思い出そうと考え込む。
階下から聞こえてきた声は、今思うと片方は春日井のものだった。
詳しい内容までは聞こえなかったが、声を荒げて相手を責め立てている様子だった。
朱音の胸ぐらを掴んできた時の声と同じだった。
そして、とぎれとぎれ聞こえてきた怒声に「この野郎」という言葉も聞こえてきたことを思いだす。
「春日井さんが声を荒げていたのは覚えているんですけど、相手の声までは......はっきりとは。ただ、とぎれとぎれ聞こえてきた春日井さんの声に”この野郎”と相手に言っていたので、恐らくは相手は男じゃないかと。」
「僕としては、形代さんが少し気になりますね。春日井さんと形代さんは大学からのご友人なんですか?」
「僕が知っていることは、春日井君と形代君、黒藤さんが高校と部活が三人一緒だったらしいってことかな。バスケ部で、黒藤さんはマネージャーをしていたと聞いているよ。大学で三澄さんとも仲良くなって、春日井君と三澄さんがお付き合いを始めたと。春日井君はとても明るくて、お調子者な性格ですね。色々な人に囲まれているところもよく見ます。形代君自身は、穏やかでどちらかというと表に積極的に出るのではなく、サポートに徹するタイプですね。」
「成程、ありがとうございます。できれば形代さんにもお話を聞きたい所ですね。春日井さんの交友関係や周防さん以外で揉め事がなかったのか。」




