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序章
ああ、まただ。
また、あの“目”を向けられている。
十歳の、あの日。種族検査の結果をみて俺は自分の“色”を知った。
開いた紙に記されていた色は”赤”。
誰よりも濃く、誰よりも“危険”な色。
そして、赤色の紙にただ一文字”鬼”
――俺は、鬼だった。
その日から俺の日常は一変した。
種族検査の結果を知った周りの人間は俺を恐れ、遠ざけ、決めつけ、時に責める。
種族として妖怪と結果がでたやつらも同じだった。
「俺はやってない」
誰に言っても信じてもらえなかった。
『妖怪の困りごとを瞬く間に解決してくれる探偵事務所がある。』
そんな話をネットか噂で耳にしたことがある。
正直眉唾ものだと思う気持ちはある。今までのやつらと同じだと。
だが、ここなら、この場所ならもしかしたら俺のことを信じてくれるかもしれない。
そんな気持ちを抱えて俺は古びたカフェの2階、その扉を叩いた。




