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【32】遙の流れ星

互いに最も惹かれながら、すれ違いも多い明義と遙。珍しく二人で一日を過ごし、改めて遙が一番だと思う明義。そんな日常の中で非日常が動き出し、遙を中心とした魔法少女たちは再び宇宙へ出撃した。

巨大彗星が昼間から輝いていたが、今更焦っても仕方がない。魔法少女たちは彗星の分裂から地球を救う準備を整えつつあった。だから今はこの美しくも不吉な天体ショーを眺めよう。出撃する時までは、少しばかり日にちはある。

遙がこの日は俺の部屋をウロウロしていた。しかもTシャツとパンツ姿だったので気になって仕方がない。なので彼女のお尻を叩いて何か上に穿くよう注意をした。性欲が勉強の支障になるからだ。

「サービスなのに酷い」

遙が口答えしたが、なんとか穿かせたホットパンツだ。脱がす訳にはいかない。

何周か自分の部屋とここをぐるぐるした後で、彼女は去ってしまった。何か言いたいことがあったのかも知れないと、去ってしまった後で後悔した。


数時間勉強した後、彼女の部屋を含め家の中を探したが遙の姿はなかった。

「たぶん試験前だから街の図書館だと思うよ。行く?」

春香がそう言ったので二人で街に行くことにした。

図書館を覗くと遙と真琴がいた。真琴は俊のお陰もあってそれなりの成績になったが、遙は底辺を彷徨っている。俺の責任でもあるので二人に勉強を教えてあげた。

「家で言ってくれたらすぐに教えるから、頼ってくれていいぞ」

そういうと少し首を傾げながら、そうすると遙は言ってくれた。


「パンツで釣らないと勉強を教えないと思ったのか?そりゃ見れた方が嬉しいが」

「明義は自分のことで忙しいでしょう?だから言おうか迷ってた」

気を遣い過ぎる遙に、もっと自由に何でも言えるようにしてあげたかった。

だが、これまで何度も意見の相違があった俺たちは、まだ慎重であるべきだった。


「勉強見てくれてありがとね、明義。疲れたから昼寝をしよう」

遙に強引にベッドに引っ張り込まれ、俺も寝ることになった。

久しぶりでもないのに懐かしい気がした。本当は毎日でも一緒に寝たかったが、それは平等主義の遙が許すはずはなかった。そう思うのは、俺の勘違いなんだろうか?俺の横で寝ている遙の考えていることが、実際の距離より遠く感じていた。


「遙、今日はもう勉強やめてこれで遊ぼう」

トマトとカトラを部屋に連れて来て、膝に乗せたりして遊んだ。

楽しそうに遊ぶ彼女は可愛いので、ペットをそっちのけで観察した。遙はただ明るいだけに見える少女だが、魔法少女たちのリーダーで最強だった。色々なことにギャップがあって、そこがまた魅力的だった。

「オレンジジュース持ってきた。ペットたちは牛乳だ」

一階から戻ると遙はカトラを胸に入れていた。頭から噴き出す溶岩で乳房が焼けないか心配だったが、流石に魔法少女の彼女はシールドを張っていた。


「カトラは温かくていいんだよ、明義も入れる?」

ただの人間の俺は火傷するから遠慮すると答えた。

「そっか、遙は特別なんだね」

「そうだぞ、遙は美しくて強くてちょっとへんてこな魔法少女なんだ」

ややディスりが入っていたが、褒められて嬉しそうに笑った。

夜にまた会うことを確認してから、俺はまた受験勉強に戻った。遙は図書館で教えてあげたことを、自力で解けるよう勉強をした。


何度衝突しても遙が一番だった。最初に出会ったのが彼女だったことはあまり関係ない。彼女の笑顔、たぶんそれが全てだった。ハイパーシスコンを卒業できたのも、彼女の曇りのない笑顔を見たかったからだ。

「一緒にお風呂入るかい?明義」

気持ちよくはいと答えた。


クウォーター円の風呂場はかなり広かったので、家族全員で入ることも可能だ。だが男一人、女三人になってしまうので、羞恥を覚えて最近はそうしていない。

「なにか考え事してる?」

急に遙の顔が目の前に現れて動揺してしまった。

当然顔の下には小さな乳房がふたつあり、沸騰するヤカンのようにアレがそそり立ってしまった。我慢する必要は何も無いのだが、触れることで遙を穢すんじゃないかと目を逸らした。もう既に穢しているのに...


「最近エッチなこと避けてる?遙のせい?」

「避けてるけどお前のせいじゃない。自制しないと四人で生活はできないからだ。だけど今は二人きりだからやっぱり触る」


回りくどいことを言いつつ、遙の小さな乳房をそっと揉んだ。

お互いが気持ちよかったので、長い時間摩ったり揉んだり突っついて遊んだ。


世界平均で伴侶又は恋人がいる場合のSEX回数は、年間120回を超えている。我が国の50回は異様に少ない方だった。三人の恋人がいる俺は、年に六日しか休むことができない。が、そんなことは不可能で、実は日本人平均に落ち着くと考えている。ヤり過ぎはたぶん良いことではない。

「遙、今夜行くから」

遙は笑顔で頷いてくれた。


「お兄ちゃん、数が増えて来たよ。あの動く魔の木」

「地球に最大打撃を与えるならあと五日だけど、止められる前に動く気か」

魔法少女たち全員に召集命令を出し、魔の木狩りを行った。

木の数は予想以上に多く100を超える勢いだった。そして遂に空に飛び出して行く木も現れ出したその時、轟音とともに次々に敵は倒れていった。魔界樹が動いたのだ。根が繋がってる時に毒を流し込む判断を彼はしたのだ。


「逃がしたのは恐らく10匹未満だよ。みんな彗星につく前にやっつけよう」

リーダーの遙が一番乗りで出撃した。

コスモコスチュームで統一された魔法少女たちは、再び宇宙へ飛び立った。

だが、散り散りに飛び去ったスペース魔の木は手ごわかった。一網打尽にしたかった彼らだったが、それぞれまず一体づつ倒す作戦に変えた。

『コスモ・ソード!』そう叫んだコスモ・ブルーが一体を潰した。


コスモ・レールガンを放ったイエローがまた一体、レッドとパープルも二体つづ倒した。しかし彗星はもう目の前に迫り、ピンクが一体倒したところで、二匹の魔の木が彗星の核に到達した。

「このままじゃ彗星が!」

パープルが悲鳴を上げると同時にレッドは動いた。

『レッド・ウィング炎!』

遙が繰り出した魔法は炎だった。

それは真っ直ぐに彗星の核に向かい、やがて覆い込み魔の木ごと焼き去った。しかし僅かに早く敵は彗星の一部を破壊した。


「落ちたのは四分の一くらいかな。イエローやって」

「レッドに言われなくてもやるわよ。『コスモ・レールガン!』」

イエロー・コスモが放った電撃で彗星の核から壊された岩石や氷が無数に砕け散った。だがまだ大きすぎる。

『リアルラヴ ディヴァイド!』

パープルの新技は光を拡散させ岩石に迫り、塊から粒に変えていった。

「行きます、『ミリオンカッター!』」

百万の小刀が岩を石に変えてゆく。三連発でこれを繰り出しブルーは尽きた。

「馬鹿たれ。やり過ぎなのよあんたは」

ブルーを抱えつつ、的確に小刀で岩を切り裂いているピンクだった。


「だいぶ減ったねえ、じゃあ仕上げしてくるから」

コスモ・レッドは地球に向けて戻った。

「お母さんありがとう、後は任せてね」

レッドはそういうと魔女と別れ自力で技を繰り出した。

『ガイア・ガード!』

両手を地球の表面に当て、赤い光の膜が地球の表面に張り付き、落ちて来る隕石を次々と燃やしていった。


「まだ大きいのあるね。これ借りるよ」

ピンクはそう言うとブルーから大剣を奪い特攻した。

突くのではなく、彼女は大きく振りかぶって大きな岩石を砕き割った。

「やったことないことしたら、剣に魔力持っていかれたよ~」

地球の引力圏に真っ逆さまに落ちてゆくピンク、しかし遙の作ったガード寸前で、起き上がったブルーが捕らえ大惨事を免れた。

「あなたも無茶しすぎでは?ピンク」

ピンクは笑っていた。泣きながら笑ったのだ。


「レールガンでガードに穴を開けるから、そこからみんな帰るのよ」

イエローは渾身のコスモ・レールガンを放った。


そして魔法少女たちは仕事を完遂し、地上に戻った。


「この数の流れ星を見ることは二度とないな」

我が家の庭に来ていた俊が言った。

百万の流れ星が宙を掛け、そして散っていった。

魔法少女たちも彗星が残して行った無数のメテオラを眺めた。壮観で壮大で爽快観がある景色だった。自分たちの仕事の報酬はとにかく眩かった。


魔界民たちも人間界の者も、朝までそのシューティング・スター・ショウを眺めた。有史以来最大の天体ショーだった。


遙は疲れで翌日はずっと寝ていた。

その横で偉大な魔法少女を一日ずっと眺めようと、彼女の椅子を借りてベッドの横で見つめていた。口を開けて寝る様が子供っぽかった。

「喉渇いた!」

寝ぼけながらそういう遙のためにオレンジジュースを持ってきた。

ストローを近づけるとジュースは勝手になくなっていった。


遙は半日寝た後でむっくり起きてきて言った。

「明義はこの生活嫌い?遙だけのが良かった?」

この質問は卑怯だ。複数彼女を俺に推奨した彼女が言ってはいけない。

「今となっては大満足で、誰か一人でも欠けるのは嫌だ。だけど遙は違うだろう?俺と二人きりの方が良かったはずだ。流石にもう分かる」

照れ臭そうに遙は頷いた。


遙はこの家族構成を望んでいたのではなく、春香の兄を想う気持ちが放っておけなかったからだ。有希の時も彼女が拒んだら彼女にはしなかった。それも有希の気持ちを自分のことの様に感じてしまう、遙の感受性からで望んではいなかったのだ。


「お前は不器用にも程があるぞ。だから頼み事はすぐ言ってくれ。嫌なことは嫌だと断れる遙になってくれ。それがこれから我が家に必要になる」

はいと小さく返事をして、彼女はまた横になった。


「ごめんね啓子ちゃん、俺付き合ってる子いるから」

意外なことに誠二は啓子を振った。彼女がいたなんて最近は聞いたことないぞ。

誠二に告白を断った理由を聞くと、自分の胸に聞けと言われた。

彼には見抜かれていたんだ。啓子が妥協で誠二を選んだことを。プライドが高い彼はそれを許さなず、俺を睨みながら彼は去って行った。


「私だけフラれっぱなしなの納得がいかない。みんなずるいよ」

「更に妥協したら見つかるんじゃないか」

俺の鬼畜発言にキレて啓子は通話を切った。


本当は上手く行かない方が圧倒的に多いんだよ。奇跡のような我が家を羨まないでくれ。その我が家だっていつまた綻ぶかわからない、リスクは常にあるんだ。



















彗星問題は成功に終わった。遙と明義はようやく本音をぶつけ合える関係になっていった。そんなある日、誠二に告白した啓子がフラれてしまう。原因はやはり明義にあった。

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