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【23】有希の活火山

平和な一日。有希と一緒に魔界とデートした。

遙と一緒に魔界樹に向かっていた。この樹は明らかに我々の味方だった。彼女はここでいつも特訓をしていた。結界を破るのが今回の目標だ。

赤い肩出しドレスはとても良く似合っていた。休憩中に有希が作ったサンドイッチを食べる姿がたまらなく愛おしかった。レタスをほっぺに付けながら食べている姿をずっと眺めていたら遙が言った。

「有希ちゃんをもっと大事にしなきゃダメだぞ」

言われなくても大事にしてるから心配するなと俺は答えた。


遙は特訓に戻り、魔界樹の結界に挑んで行った。一番愛してると言った後も遙は変わらない。常に三人一緒と言って特別扱いされることを拒んだ。

『紅い翼!』ますます力が増していた遙の攻撃に、魔界樹の結界にヒビが入った。遙はもう疲れ切っていたので今日の特訓をやめるように言った。

「あら、遙も来てたのね」

真琴も最近はここに特訓に来ていた。ヒールを覚えたいらしく疲れ切った遙に試していたが、電撃だったので遙は伸びてしまった。

「すまんな、真琴はまだ未熟なので許してくれ」一緒に来た俊が言った。


遙が起きるのを待って俺は言った。

「遙、週末の休み一緒にどこか行かないか?どこでもいいぞ」

「う~ん、明義が暇な日は少ないから有希ちゃんとでも出掛けなよ」

最近は遙をデートに誘っても断られ続けていた。


結局、週末は有希と山に行くことにした。

「ここは魔界の本に書いてあった山で活火山なんだ。気を付けて眺めよう」

天邪鬼な有希は変身して火山の麓まで行ってしまった。

火の粉を浴びてもその程度では魔法少女たちはびくともしない。諦めて有希が飽きるまで遊ばせて置くことにした。

「魔物が居ましたよ。山と形が同じなので子供かも知れないですね」

そう言って活火山を模した感じの魔物の赤ちゃんを拾ってきた。これを持って帰って飼いたいというので即座に却下した。

「その魔物の親が活火山なら、子供を奪われて襲ってくるかもしれない。危険なことになるかも知れないので残念ながら諦めよう」

そう説得すると有希は渋々諦めてくれた。


帰りに湖畔の素敵なレストランを見掛けたのでそこで食事をした。魔物のステーキ、魔物のサラダ、魔物の血から作ってジュースを飲んだが、この程度は我が家の食卓でも既に出ているので、ちょっと身体が痺れるだけで済む。それとは別に驚いたのは店主が人間だったことだ。

「我々以外に住んでる人間が居るとは思いませんでした。いつからこちらにいらっしゃるんですか?そもそもどうやって入って来たんです?」

「10年前に会社を定年になってからここにきたんだ。ここに来るのは都内の地下駐車場と繋がっているんで割と簡単だぞ」

魔界と人間界はわりと近かった。


「お店で買ってきたこのジュースは、身体に良さそうなので毎日飲みましょう」

身体が痺れるジュースを有希はそう言った。


夕食のあと有希が風呂に入ったので脱衣場に潜入した。下着の色は今日は黄色だった。わりと頻繁に下着ドロをしていたが黄色は初めてだった。

「黄色がお好きですか」

気配を感じた有希が全裸で風呂場のドアを開けて質問してきたが、コソ泥なので急いでその場を後にした(青系が君には似合うよと心の中で呟いた)


その日も夜食を有希は持って来てくれたが、きちんとラッピングした下着セットをプレゼントしてくれた。そして彼女は遙、遙、有希と書いてある引き出しに迷わず入れた。

その後はいつものように絨毯の上で読書していた有希に、都内デートを提案した。

「もちろん行きます。明日、静学館の前で待ってますね」

相変わらず窓際にうちの生徒が群がったが、優越感を持って授業を受けたいた。


「浅草の花やしきに行こう。有希に合ってる気がする」

ローラーコースター、メリーゴーランドに二人で乗った後は、彼女はパンダカーにずっと乗っていた。似合い過ぎてて見てて嬉しかった。

「楽しんだしそろそろ帰ろうか」

そういうとパンダカーから降りて有希は腕を組んで来た。

「子供っぽい場所でしたね」

(似合ってたからいいんだよ)という言葉を飲み込んでそうかもねと言った。


二人で半月暮らした洋館、未練があったので家に帰る前に二人で寄った。

「お風呂湧きましたよ。一緒に入りましょう」

まだ夕飯前なので何故...しかし誘惑に負け一緒に入った。

有希が戦闘スーツを着てくれて助かった。なんとか理性を保てる。

「明義さんが春香と禁断の行為をして裸を嫌がってるのは分かっていますから」

禁断言ってくれるな。恋人だから理性はちゃんとした上でしたんだ。

風呂を出ると有希がこの家の荷物の整理をしていた。だが、二人の生活が気に入っていた俺はまだ残して置いていいと言った。遙に事実上振られたと思っている俺は、有希との未来も考えていた。


「ん、おかしいね。どこかで大きな山が大きな噴火してる」

敵対反応か大きな異常があった時に、魔法少女たちは察知し警戒態勢を取る。

遙の言葉で俺と有希は昨日行った魔物活火山を真っ先に思い浮かべた。そしてすぐにみんなと急行したのだが、確かに暴れ狂ってるように見えた。

「理由を聞いてきますのでみなさんは下がっててください」

いつの間にか有希は魔物の言葉をわかるようになっていたようだった。


「子供が魔の樹に攫われたようです。助けに行きましょう」

有希の言葉にみんなで急行したが、適性反応がない魔物を探すのは至難だった。

しかし遙の魔眼がそれを見つけた。すぐに春香と有希は急行し魔の樹の行く手を遮った。攻撃をすると赤ちゃん魔物活火山も危ない。そこで有希は話し合いに持ち込むことにした。

「今すぐその子を返せば見逃してあげます。交渉決裂の場合あなたは死にます」

魔物活火山を置いて魔の樹は逃げていった。助かった魔物の赤ちゃんを親の元に連れ帰ると、「私は動くことができないからこれからも子供が危険な目に遭う。どうかその子が大きくなるまで預かってくれないか」

そう言われ、即座に有希はその話に乗った。後から聞かされた俺は、山を飼うことが可能なんだろうかと考えたが、有希が抱きしめてあやしているのを見て許可した。母性溢れる顔に、いい母親になるに違いないと感じた。


トマトは火を噴きだす頭に最初は怯えていたが、トマトも魔物なので火を浴びてもその程度はまったく問題なかったのですぐに二匹は仲良くなった。

「ごはんですよ、トマトちゃん火山ちゃん」

春香が餌を持ってくると二匹とも喜んで食べた。

火山ちゃんと呼ぶのもなアレなので、活火山のことはカトラと名付けた。


「良かったな有希、期間限定とは言えカトラが来て、可愛がってやってくれ」

そういうと彼女は大きく頷き、子供を取るまで頑張ると言った。

親の魔物活火山ほどの大きさに育つとしたら、ここにずっと置いておくことはできない。どこか場所を探してあげないといけないがそれは後でいいやと思った。


「遙、二人の部屋を繋げないか」

この提案に遙は最初意図がわからないと言う顔をしたが、長く一緒に居たいからと説明したら納得してくれた。プライベートな時間を保つため、二つの通路のどちらかをを通らないと行き来できないようにした。

「明義、勉強進んでる?」

遙が通路を通って深夜やってきた。ベットに座る彼女は美しかった。せっかく来てくれた彼女に簡単に帰って欲しくなかったので、電気ケトルでお湯を沸かしココアを与えた。その後有希と春香が遊びに来て、三人でパズルをしていた。

遊んでいる三人共に好きだった。でも最初に出会った遙が一番大切だった。このことを遙も知っている。だが三人の均衡を保とうと必死だった。

今はそれでいい。やがてみんなの関係性が変化した時、その時には俺が決断する。遙の変化が一番知りたかった。


















有希は活火山魔物カトラを手に入れた。デートも重ね順調な二人だったが、明義はやはり遙のことが一番気になっていた。

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