⑳魔界探検
仲直りした三人は元の生活を取り戻した。だが我が家の傍に現れた魔物他問題は山積だった。だが明義はある解決策を考えていた。
魔法少女たちが駆け付けた時、既に巨大な魔物が立ち塞がっていた。
真っ黒な姿、無表情な顔。シーツを被せた白熊のように感じた。先制のレールガンをポルックス・イエローが叩き込んだがまったく無傷だった。頭にペット魔物を乗せた遙は様子を見ていた。巨大故に闇雲に攻撃していい敵ではないことに彼女は気が付いた。
ブルー・オリオンとピンク・プレアデスは、頭部に攻撃をしたがダメージを与えることは出来なかった。パープル・スターとイエローと自身の火力は取って置きたいのでぐるぐる回りながら様子を見続けた。
「何か被ってるよ本当にこいつ」
実際にケリを入れたピンクが言った。それを聞きブルー・オリオンは蒼き炎を纏い魔物に火を点けた。秘密を暴かれたくない魔物は信じられないの速度で動き、手の爪で攻撃をしてきた。あっという間に5人みんなが傷を負った。特に近くにいたピンクは酷かったので退避させた。火は周りやがて魔物が正体を現した。
「真ん中が急所だ。そうと分れば行くよ!」
敵は丸い円形が三つ重なっていた。明らかに的のような印があるのでそれを狙う作戦だ。フェイクだったら三つ丸ごと破壊すればいい。
その瞬間円形が三つにわかれた。防御に徹しつつ最大火力の遙を三人は守った。
『紅い羽!』遙の攻撃は的を貫き敵は大きなダメージを負ったがまだ死んではいなかった、「ぐらついたからフェイクじゃないよ他の二つにも攻撃しよう」
遙の指示に従い、パープル・スターがリアルラヴを、ポルックス・イエローがレールガンをそれぞれ急所を貫き、魔物は爆散した。
「啓子ちゃん怪我したのがおっぱいじゃなくて良かったねえ」
ヒールを掛けていた遙に言われ、そこだったら首を吊ると答えた。
無事敵は排除したが、魔界の我が家の傍で発生したことは問題だった。ずっと遙の頭の上にいたペット魔物は身振り手振りで戦いの様子を伝えようとしていたが、さっぱり理解できなかった。
「こちらに戻って正解でした。あれは私一人では倒せない」
有希はそう言って春香に頭を下げた。
「そのことはもういいよ。それより魔界は危険だよ」
「遙たち学校やめようか」
春香の言葉に遙は究極の提案をしてきた。
「馬鹿なこと言わないで。墨田女子を簡単にやめていい訳ないじゃない」
「なんで?この子はここでしか生きれないかも知れないよ」
そう言って頭の上のペット魔物を指さした。遙に取ってはもう家族なのだ。
「こんなこと初めてだし、結果的には退治できたんだから後で考えよう」
そう提案した。
魔界に来てからそれほど時間は経っていないが、わりとここでの生活は気に入っていた。悔しいのは普通の人間の俺が常に足を引っ張ってることだ。魔男、魔法少年とかになれないものだろうか。
「俺個人が狙われた訳じゃないのでいいんじゃないか」
「いえ、危険なことには変わりはありません」
有希が冷静に俺をたしなめた。
「それはそうだが、四人で街で暮すのは容易じゃない。仕送りが多くなったとは言え借りる部屋も大きくなる。そっちも現実的じゃないんだよ」
有希がすぐに親に連絡を取ろうとしたのでそれは止めた。いくらなんで資金援助まではしてもらえない。我が家にも春香以外に二人と住んでるから、より大きい部屋へ移りたいとは言えない。
「早速養えなくなってるじゃないか」
学校で俊に相談したら一刀両断された。
「うるさいな。〇ルカリにでも就職したら三人を養うことは可能だ」
「大学出るまではどうする?あと五年以上あるんだぞ」
無理過ぎて頭がおかしくなった。どうしたらいいんだ。
「という訳でここは出て行けません。以上です」
有希が援交すると言ったので両頬をおもいっきり引っ張った。三人に身体を売らせるくらいなら俺が尻の穴を掘らせる。
そもそも魔界は必要なのだろうかと考えた。ここから魔物が産まれるなら閉じてしまった方が平和だ。しかし魔界にはそこで暮らす者たちの生活もあった。魔界樹が何か知ってそうだが、木なので喋ってくれないだろう。
いつまでも考えてても仕方がないので、三人を連れて家に帰ることにした。
もう秋なのに魔界の気温は30℃もあった。遙はタンクトップとミニスカート、有希がTシャツとホットパンツ、春香がキャミソールにミニスカートで家の中をうろうろしていた。
なので三階の自室に籠って勉強したがまったく身に入らない。だからここを離れたんだよ...
「春香、流石にキャミは目に毒だ。着替えてくれないか」
そう言うとその場で着替え始めた。確実に遙と有希の影響を春香が受けていた。
「お兄ちゃんのタンクトップ借りるね」
そう言って着替えるとだぶだぶなので下着が脇から良く見えた。もう下半身が持ちそうもないので一旦庭に出た。
この辺りは森を切り開いた土地だった。周りにはたくさんの木が生い茂っていた。その中で登れそうな木を選び、上から見下ろした。表通りは害のない魔物や動く人形が行き来して、買い物をしていた。表の世界が安全になるからとここを潰していいのか真剣に考えた。それにここを潰せば魔法少女も消える。それは寂しかった。
「けっこう遠いけど池に遊びに行こう」
三人に変身してもらって、俺は有希の上に乗った。
生きる希望を両手に貰って俺は元気いっぱいだったが、有希は妙に疲れていた。釣り竿はその辺の木で、糸と針は持参していた。
「なんか引いてるよ!」
春香が釣ったのは魔物的な魚だった。焼けば大丈夫と有希が言うのでバケツに入れた。
遙はザリガニのようななにかを釣り上げた。
有希は七輪を持って来ており焼く準備をしていた。
それなりに連れたのでバーベキューを始めた。有希が下ごしらえをし、俺が焼いた。二人のハルカは見ているだけだった。
「ちょっと痺れるけど美味しいねこの魚」
「ザリガニもいけるよ」
焼けば行けると言った有希と春香は食べなかったので、泡を吹いて倒れた二人を看病していた。
「ヒールってこうかな」
「それはリアルラヴです。遙はともかく明義さんは確実に死にます」
二人が起きるまで二人とも待っていた。
「二人が起きるのを待ってる間に洞窟を見つけました。行きましょう」
有希が提案したので、ポカリスエットを飲みながら了解した。
明かりは有希の拳だった。蒼い焔が怖さを増したが、魔界の謎に迫るためみんなで進んだ。コウモリ風魔物、猪のような何か、地上のそれとは違ったが恐怖は感じなかった。相当に進んだところで湖を見つけた。地底湖のようだったので手を入れるとかなり冷たかった。
「変身すれば我々なら入れます。行きましょう」
有希の提案でみんな変身して入って、潜って消えて行った。
「流石にスーツでも冷えるので戻りました」
今日は有希が自由な感じだった。
地底湖を過ぎるとしばらくは洞窟の道が続いた。誰かが既に来ていたようで帽子や靴の落とし物があった。これ以上は帰りがきつくなると言ったが、私の乳房に捕まってれば、帰るのはすぐですといってどんどん先に進んだ(乳房という直接表現は控えて欲しかった...)
ようやく行き止まりに辿り着いた。特になにもなさそうだったが、いきなり有希がコスモソードで壁に突っ込んだ。すると大きな地下広場に出た。人工物のようでセメントの柱があった。
「これは何だろうね」
遙が四角柱の机のようなものを見ていた。ボタンと古代の紋様がそこにはあった。暴走気味の有希がそのボタンを押すと、更に奥の壁が崩れた。そして地下神殿のようなものが現れた。
「誰かが住んでる気配はないわね。でも人間が作ったように見える」
春香に意見に同感だった。
「今日はここまでにして時間も遅いし帰ろう」
そう言うと皆は変身して俺はまた有希に乗った。
大きな発見と言えるかも知れない。人間がこの魔界で建造物を作っていた。その意味はさっぱりわからないが、俺と俊が最初に魔界に踏み入れた人間ではないことがわかっただけで十分だった。
「遙、石鹸を取ってください」
俺はと言えば三人の全裸の魔法少女とまた風呂に入っていた。何回見たって欲情するので目で三人を追っていた。実妹の春香には背徳感もあって余計に興奮した。
「あのね、非常にもったいないんだけど受験に響くから風呂は別々にしよう」
そういうと有希が信じられないという表情をした。
「お夜食です、明義さん」
感謝の言葉を言っておにぎりを食べながら勉強をした。
「さっきのお言葉ですが、ほぼ婚約していると言える私はショックでした」
おにぎりが喉に詰まったので有希に飲み物をもらった。
「みんなが魅力的過ぎて、脳の中が煩悩でいっぱいになっちゃうの。だから性的なこと避けたくて出て行ったんだよ。静かに勉強させてくれ頼む有希」
「分かりました...、ですがいつか遙のように抱いていただけるんですよね」
それは確約するというとにこっとして有希は出て行った(責任が取れる範囲までだからね、俺はみんなを養うことも今はできないんだよ)
「お兄ちゃん、モテ過ぎて大変だね」
お前が普通に風呂に入って来るのも大変なんだよと言いたかった。
「馬鹿げてる。遙も有希もとんでもなくモテるだろう。当然お前も。三人の未来の責任を取ることができるのか俺に。普通にお前だって他に恋人作った方が幸せな気がする」
すると春香にキスされた。
「夢をみさせてよお兄ちゃん...」
勝手なことを言い過ぎた。春香に頭をさげて謝った。
「限界まで努力はする。三人のために考えていることもあるんだ。近いうちに俺の計画をみんなに発表する。それまで待っててくれ」
「難しく考えなくていいよ。遙がなんとかしてあげるから」
頼もしい言葉にお願いしますと答えた。
有希と一緒に魔界樹に行くと様子がおかしかった。
「なんか苦しんでないか?この樹」
「しっ、たぶん何かが産まれます」
すると魔法少女が魔界樹から出て来た。訳が分からず本人に直接聞くと、かっかっかと笑った。およそ少女の笑い方じゃないので引いた。
「あの時の占い師じゃ。魔女とも言う。一度消滅仕掛けたのでここで成長を待ったのじゃ。婆さんより若い方がいいので早く出て来たのじゃ」
見た目はいいが、喋り方が婆さんだったのでもう一度魔界樹に戻って欲しかった。だが大きな戦力が復活してくれたのは心強かった。
「つまり消滅しなければ、この樹でまた生まれ変われるのか、婆さん」
婆さんと言ったので杖で叩かれた。
「それはお前さんも一緒じゃ、これは命の樹なんじゃよ。頼めば赤ちゃんからやり直せるが、死んだらもう無理じゃ。転生なんて不可能じゃからな」
最近ちょっと情報が多すぎた。
我が家の三人には話したが、啓子と真琴にも話さねばならないので啓子の別荘に呼んだ。目の前で見たので間違いないと。
「死ななきゃいいと言っても、私死に掛けたよね。死んだらどうするの?」
啓子の質問に根性で生きろとしか言えなかった。
「とにかくあのお婆さんが生きていたのは朗報ね。情報がもっと得られそう」
真琴は前向きだった。
真琴には遅いから泊まって行ってもらった。俊に言ったら殺されるので黙っていた。一番交流のない真琴とはもっと話してみたかった。
「いい家ね。魔界じゃなきゃ住んでみたいわね」
「キャパオーバーなんだけどね」
「俊とは上手くいってるのか?って聞くまでもないか」
「彼は私だけ見てくれるところが好き。他の子を見ないわ」
明らかに俺が非難されてる、仕方がないことだが。
「それよりレールガンを習得したり、どこかで修業してるのか?」
企業秘密だからそれは教えないという返事だった。
「あんたがみんなの気持ちに応えようとしたのは格好いいわ。でも障害が多すぎる。何かあったら私に頼りなさい、力になってあげるから」
真琴は頼もしいことを言って出て行き、遙の部屋に向かった。
自分だけでなんとかせず、俊や真琴の意見も聞けば乗り越えられるかも。そんな予感を感じながら俺は勉強机に向かった。
問題があったら相談しなさい。そう言ってくれた真琴に感謝した。一人ですべてを抱え込まないようにしようと明義は考えた




