⑫別れ
有希を助けるために恋人にした明義。だが三人目だったので生活はめちゃくちゃになる。そして有希は遙同様性的なことに積極的だった。実妹の春香は頭を抱えた。そして狭くなり過ぎたアパートから魔界村の家を探し引っ越す計画を立てた。
食器の後片づけをしていると、有希からメッセージが来た。
『放課後お部屋にお邪魔してもいい?受験勉強のお邪魔はしませんから 有希』そのメッセージに待ってると返信した。二人の彼女には申し訳なく思ったがこれが俺の生き方なんだ。
「有希が放課後来るけど普通に迎えてやって欲しい。思い付きで許可もなく彼女にしたことには謝っても謝り切れない。だからごめん」
「有希ちゃんを救うにはあれしかなかった。明義さんは正しいよ」遙はその正当性を認めてくれた。そのことに感謝した。
「ブルー・オリオンの姿で嬉しそうにお兄ちゃんに手を伸ばす有希ちゃんを見たの。人としての意識を失いながらあれだけ一途な片思いはすごく尊かった」
春香は自分も片思い時代が長かったせいか、その思いを有希に重ねていた。
「そういえば春香っていつから俺のこと好きだったの?気になってたんだよ」
「五才の時から...」
両想いになったのは最近だから丸九年、ありがとうと感謝した。
待ち合わせ場所の公園につくと制服姿の有希がいた。二人のハルカと同じだから見慣れてはいたが、お転婆な二人とは違うと感じた。
「無理矢理彼女にしてもらって迷惑ですよねやっぱり」俺は首を振った。
「覚えているかわからないけど愛してると言ったよ、嘘は付かない」
二人で話しているうちにアパートに着いたので階段を昇って行った、「あの、お邪魔でしょうが来ちゃいました」
丁寧に二人のハルカに挨拶を有希はした。けれどその必要はない。うちのハルカたちの受け皿はものすごく大きい。それに何度も救われている。
「有希ちゃん、ソファに座ってて。今ココア作るから」遙がまずもてなした。
「クッキーもうすぐ出来るから待ってて有希」春香はお菓子を作っていた。
「俺の意思で告白を受けたんだよ。堂々としていて欲しい。だけど三人目になるけど本当にいいの?二人のハルカを手放すことは地球の自転が逆になってもないから」
全部わかった上で告白したのでわかっていますと彼女は答えた。
「お兄ちゃんと遙はとてもえっちだけど有希付いて来れるかな」春香が呟いた。
「そうだね、彼女なんだからちゃんと奉仕しないと」みんなの前で大胆に制服を脱ぎ始めた有希を見て、春香の心配は杞憂に終わった。下着が見える寸前で春香が止めたので、猛抗議したらバットで叩かれた。
肋骨にヒビが入ったかも知れないが話を続けた、「ご存じの通りあと受験まで一年半で、外で会う時間はあまり取れないんだ。だからここまで会いに来てもらえると助かる」そう言うと有希は突然親に電話を掛けた。
「うんママ、お付き合いしているの。T大ほぼ受かるほどの人だよ。絶対に早めに抑えて置いた方がいいと思う。うんうん、そう引っ越し。じゃ帰ってすぐ荷物纏めるから」
それじゃあ急ぐからと言って有希は風のように去ってしまった。滅多なことでは驚かない遙すら唖然としていた。
「馬鹿かお前は。そんなことしたら落ちるぞ」俊に容赦なく罵倒された。
「あっという間の出来事で居合わせた三人とも止める暇がなかったんだ」弁明したが自己責任だと言って聞いてもらえなかった。
「ただ有希を救ったのは大したものだ。やり方は馬鹿だが」
冷静に考えて中学二年生を親同意の上で同棲させたらもう逃げ場はない。有希の性格から考えると一途で絶対に自分から振ってはくれない。二人のハルカとの未来のためにはもうT大落ちるしか手はないじゃないか...
「ただいま」早速その日から有希はうちの住民になった。既に布団は確保していたが、独り暮らし用に借りた部屋に四人は流石に多い。
「思いついたんだけど、当面はここで暮す。だけど引っ越せそうな場所があるかも知れないんだよね。どこかと言うとあの魔界の中で住めそうなを住居探してみたい」そう言うとみんな驚いていた。
深夜三時に勉強を終えてベッドに入ろうとすると有希がまだ起きて正座していた。なので二人で静かにキッチンに行った。
「起きちゃったのか有希、それとも居心地でも悪いか」
「いえ、明義さんが起きてるから寝ちゃ悪いと思って」
古風で奥ゆかしくて感激ではあるが、有希の身体が持たない。二人と同じ時刻に就寝してくれないとそわそわして勉強に集中できないと言った。
「そっか、ではせめて同衾させてね」それは許可した。
眠れる訳がない。腕を絡めて来るので柔らかいものが当たっていた。嬉し過ぎてこまるんだよ有希、それに他の二人の目がもの凄く気になる。
どうせ寝れないならともう一度出て行き朝まで勉強した。
「このまま学校行っても寝るだけなので今日は休み」そうみんなに告げた。
三人は一緒に登校し、しばらく寝ようとしたら有希だけ戻ってきた。忘れ物かと聞いたら、どうも熱があるみたいだと彼女は言った。
「学校に連絡して休みます」有希は学校に電話していた。
「それじゃ二人とも寝よう。健康が第一だ」有希は頷いてベッドに入った。
三時間寝たらわりとすっきりしたのでベッドから出た。有希はまだベッドで寝ていた。静かに出て行こうとしたら有希に呼ばれた。
「旦那さま、起きたんだね。おはようございます」呼び方が気になるがおはようと返した。ちょっと有希は世間とずれてるなと思った。
有希はずっとこっちを見ていた、「あの、ちょっとお願いしてもいいかな」
「できることならやるよ、何?」そういうと汗をかいてしまったので身体を拭いて欲しいと彼女は言った。言われるがままにタオルとお湯を用意した。
有希は超速でパジャマとブラを脱いでしまい、上半身は裸になった。胸を手で隠すように伝え背中を拭いてあげた、「前は自分でやれるな、見ちゃ悪いから部屋を出るよ」
「えと、腕が痺れているから前もお願いします」いきなりピンチだった。
「お付き合してるから問題はないよ、お願い」覚悟を決めて前を拭いた。柔らかい胸を拭いていると気が変になってきた。
「これで終わりだな、まだ休んでいるといいよ」そういうと有希はパジャマの下を脱いで足も拭いてくれと言った。なんとかパンツは穿いていてくれて助かった。柔らかい太腿を拭けて幸せだった。パンツが見えるので引き続き頭はくらくらしていた。
「終ったぞ、後はいいな。俺は勉強してくる」そういうとまだ終わってないところがあると言われ、嬉しさと混乱が襲った。
「下着の下も拭いてね。気にしないから」欲望に負け、有希の怒涛の攻めに抗うことはできなかった。パンツを脱がせて大事なところを丁寧に拭いてあげた。局部を拭いてあげていると性欲的にもう抑えきれなかった。
「有希、もう無理、最後までしよう」そう言って裸のままの有希を押し倒した。タオルケット一枚掛けてあげて俺も脱いだ。
「いいよ、はい」そう言う有希の声が震えていた。ここでやっと一連の流れが計算だったことに気が付いた。計算違いだったのは覚悟がまだだった事だった。
下着入れの場所を聞き新しい下着をやさしく着せてあげた、「焦る気持ちはわかるが無茶をするな。恋愛は競争じゃない。自分のペースでやってくれ」
「明義さんに二人も先に恋人がいるから怖いんです。捨てられるのが」一途さで暴走しちゃうんだな、いつも有希は。
「いい加減な気持ちで助けたんじゃない。それに一途に想ってくれていた有希が大好きになったから恋人にしたんだよ。信じてくれ」
幸せだったが恐ろしく疲れたのでもう一度俺は寝た。有希のすべてを見てしまい煩悩で勉強できる状態じゃなかった。
学校から二人のハルカが帰ってきた。
「有希大丈夫?えっちなことたくさんされなかった?」実妹から信用は無かった。
「有希ちゃん歩ける?痛かったら明日も休みなよ」遙の言が真実に近かった。
「春香、今夜一緒に寝よう。恋人らしいことをそろそろしような」そう言うとバットで脛を殴られた。春香は俺が嫌いなんだろうか…
その週末に四人で魔界村に来ていた。魔女婆さんの森を抜けた村だ。
「前に武器の買い出しに来た場所なんだけど、空き家をけっこう見つけたんだよね。住めそうな家を探そう」そう三人に言った。
数時間探した後で遙の声がした、「ここいいんじゃないかな。部屋が人数分あって眺めもいいよ。有希ちゃんどうかな」
有希は俺との情事に向いているかだけを基準に入念にチェックした。昼でも明かりが入らず薄暗い部屋を見つけこれならと賛成した。
「私はこの明かりが多く入る部屋がいいな」春香も気に入ったようだ。
木を繰り抜いた家で、その小さな窓から顔を出す遙が可愛かった。俺に取っては遙の意見が最優先だから文句はなかった。
各部屋にベッドがありキッチン用品も揃っていたので、荷物の搬送は後回しにして今日はここに泊まることにした。
キッチンとリビングとお風呂。一階はこんな感じで、二階に二部屋があり春香と有希はここを選んだ。三階の小窓がある部屋を遙は選んだ。俺も三階になった。
「魔女の婆さんの花に触れ有希はおかしくなった。他にも危険な植物があるかもしれないので、慎重に外出をすること」これには三人とも同意してくれた。
街で夕飯の食材の買い出しに来ていた。不思議なことに魔法少女にはただだった。俺には法外な額を要求するので三人に買ってもらった。
買い出しをしているとピンク・プレアデスがいた。聞いてみるとよくここに来ているという。そう言えば最初にここに来たのは啓子と有希とだった。
「なんでもただだからね。ここに来ない理由がないでしょ」それはそうだ。現実世界で買えないもの以外はここで買い揃えたほうが経済的だ。
「有希よかったね!明義さんに大事にしてもらいなよ」啓子がそう言ったが、預かるからには大切にするつもりだ。早くもエロイベントがあったが。
「明義さんは全身をやさしく拭いてくれたよ。愛されていると感じて嬉しかった」啓子の俺を見る目がゴミを見る目に変わった。春香は微笑していた。
「春香も身体拭きイベントやる?」そういうとバットを頭に打ち付ける構えになった。妹はけっこう身持ちが堅かった。
兄のえっちさが酷いので遙に相談したら、「身体拭き?気持ち良さそうだから今度してもらおうかな。お風呂でやってるのと変わんない気もするけど」
相談相手を間違えたと春香は溜め息を付いた。有希はもっと酷そうなので何の相談もできないと思い溜め息を付いた。
「行きます!」ブルー・オリオンが最速で魔女の森に向かった。
他のメンバーもあっという間に駆け付けたが、ピンク・プレアデスは既におかしくなっていた。有希がそうなってから見張っていたのだが何もこれまでは起こらなかったので、みんな油断をしてしまっていた。
「うああああああ!」
赤い炎に包まれ完全に正気を失っていた。ブルーの時の反省を踏まえ様子を見ることにした、「光る花を封じるアイテムがあるんじゃないかな」
経験者のブルーは冷静にそう言ったが、「今から探していたんじゃ間に合わない。とにかくピンクを傷付けずに捉えることが一番だよ」
遙がそう主張した。パープル・スターとイエロー・ポルックスは攻撃ではなく防御魔法に徹した準備をした。
みんなが何もできずにいるとブルーがピンクに特攻した。二人の徒手格闘使いが対峙し戦闘が始まった。最初は劣勢に見えたブルーだったが冷静に戦っていただけで互角だった。一度無くしたと思った強化パワーはそのまま残っていた。
「イエローの電撃は危ないから、パープルと私の光をぶつけるよ」遙と春香はタイミングを見てパープルに光の攻撃を行うと、隙ができた彼女にブルーがハイキックを叩き込んで気絶させた。
城に啓子を運び込んだがまだ正気にはならない。
「また明義さんがキスする?啓子は大好きだったから」その提案を俊は否定した。
「治まるかも知れないが明義の人生がめちゃくちゃになる。もうなってるが」
「この世界は日常の世界と繋がっていない。そして魔女によれば魔法少女が産まれる場所だという。なんで彼女たちを暴走させるアイテムがここにあるのか、それが問題なんだ。」俺は問題だけ提起してみた。
「啓子ちゃんごめんね、明義さんを取っちゃった。それが苦しいなら私を責めていいよ。別れろと言われたらそうするよ」そう言って遙は啓子に口付けした。
「そこまで舐められたらもう惨めな気持ちしか残らないよ、遙。でも正気に戻してくれてありがとう。私は私の人生を歩むからみんなとはここでお別れね」
正気に戻った啓子は最後の変身をしてそのまま去って行った。
「いいのかなこれで」有希が疑問の声を上げた。
「魔法少女をやることもやめることも本人の意思だよ。だからこれからの啓子ちゃんを応援するよ」遙はいつも割と冷静だ。
渦中にまたしても俺がいるから何も言えなかった。仲の良い友達と言う感じで接していたことで、啓子をどんなに傷付けただろうと思うと自分を殴りたかった。
有希同様自我を失った啓子。救い出すために同じ方法はもう使えない。遙はありったけの思いやりで啓子にキスをして救った。だが彼女はプライドから魔法少女を辞めてしまった。




