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七十9、何故あなたはそうなの?




触手の檻から抜け出す。


改めて巨大怪獣的魔物を見る。どうやらあの魔物の下に入っていたようだ。


しかし出た以上は自由に攻撃させて貰おう。


んー、これだけ大きいならゴ〇ラなみの耐久力があってもおかしくはない。


ならば先ずはこれだ。


「AGM84−Lハープーンミサイルによる飽和攻撃を開始」


飽和攻撃……艦船や基地の防空能力を遥かに越える攻撃の事を指す。


最初は五十発。


概念創造は同一区分ならば幾つだろうが創造可能。


私の周囲を漂うハープーンミサイルにモノクルで標的をロックオンし攻撃目標を指示、さらに発射命令を出しロケットブースターを点火する。


発射。




対艦ミサイルであるハープーンは八十ミリから百ミリ装甲を貫く能力を保有する、らしい。


何だか微妙だが、近年の艦船はあまり装甲が厚くないそうだからこの威力で大丈夫、らしい。


しかし私が今相手としているのは、巨大怪獣。

派手な爆音とおびただしい黒煙を上げるのみで、たいしたダメージはないようだ。まあ、体表は酷い有様にはなっているかな?


あー、キレたみたいだな。目が何か鋭くなった。


ギャォオォオオオオオオオオオオ!!


咆哮。


確かに五月蝿い。だが、先の戦闘での過ちを繰り返す気はない。というか、ハープーンの爆音で耳が大きな音に慣れた。


急接近する魔物を普通に避ける。


しかし……こいつ巨体のくせにかなり素早い。サイトとか言う少年を追い掛けた途端、後ろからグサリとなりかねない。


つまり、倒さないと。


まあ、素早いは素早いが小回りは効かないようだ。多分、そこら辺は触手の機動性で補っているんだろう。


仕方ない、あまり使いたくはなかったんだがN2航空爆雷を使用するか。




む………素早いな。


N2航空爆雷は戦術核兵器なみの破壊力があるから巻き込まれないよう、魔物と距離を取りたいのだがしつこく食いついてくる。


そして近付くタイムリミット。


この体の支配権はイブキ‐アレシアが持っている為、長くは戦えない。記憶が戻りつつある中だった為、かなり長く表層に出ているがそれでも後何分持つか……。


距離を何とかして取らないといけない。


いつもの音響閃光手榴弾をばらまいてみる。


後方に迫る魔物の顔面に数十の音響閃光手榴弾が、キィィィンと耳障りな音を立てながら炸裂。


どうだ?


ちっ、鈍い奴だ。全く効果がない。


ただ単に怒らせただけ。唯一よかった点は、冷静さを失いまともな判断が出来なくなっている事か。


ん? ス……モノクルに反応有り。


まずいな……魔族達め、私を脅威と判断したな。こっちに大艦隊を差し向けている。


この魔物と挟み撃ち、若しくは弱った所を集中攻撃。


なおさら急いで殲滅しなくてはならなくなってしまった。




こうなれば単純明快にやろう。


いけるか? 物質創造、イージス艦。


あぁ……魔力がごっそり無くなった。


だが、その成果はある。


私の真下の海には、イージス艦に分類されるあらゆる艦がそろっている。


アメリカ海軍タイコンデロガ級巡洋艦、アーレイバーク級駆逐艦、海上自衛隊こんごう型護衛艦、あたご型護衛艦、スペイン海軍アル、あー……何?


と、とにもかくにも、百近い数のイージス艦。ある種壮観な風景。


そして、私の命令。


「えー、では。全艦攻撃開始」


ものすごい轟音を響かせながら、VLS(垂直発射システム)や発射筒からミサイルが放たれ魔物目掛けて飛翔する。


魔物は火炎と黒煙に呑まれる。


圧倒的な力。




しかし、そんなあなたたちに目くらましを頼む。


私が考えたのは作戦とも言えない稚拙な事。


圧倒的な連続攻撃により、魔物の動きを封じる。


単純で、作戦の質は低くとも物量があればとんでもない。


一艦につき一秒一発、つまり一秒間に百発のミサイルが魔物に被弾。


この弾幕には魔物も動けまい。


あー……何だかこれだけでも倒せる気がする。


しかし侮るべきではない。油断と驕りは敗北する原因の一つ。


「これが本命だ」


N2航空爆雷。


通常兵器の威力を隔絶に上回る一撃。


キノコ雲。ただし核兵器ではないから環境汚染はない。まあ、地軸をずらす可能性はあるが……。


後は最後を見届けよう。可視光線ではキノコ雲のせいで見えなくとも、こっちにはX線やらマイクロ波やらで見えるのだ。




「まさか……」


魔物は生きていた。体中から体液を垂らし、触手は大型二本を除き失い、顔の半分が融解しながら。


N2兵器の威力で不十分だとは……恐ろしい奴。


だが魔力には余裕がある。同じ手を続けさえすればいつかは殲滅可能。


イージス艦隊第二波を……!?


くっ!! 拒否反応か!?


こんな……くそっ! 魔物が近付いて来る!


駄目だ。


使うしかない。


大艦隊及び魔物を一撃で殲滅可能なトンデモ兵器。


私もその射程内にいるが……あの艦隊はおそらく魔族の全兵力。アレを潰せば、魔族のアルバランガ征服は十年単位で遅れる事になるだろう。


さらにN2兵器でも倒せない魔物。これを野放しにする訳にはいかない。


イブキ‐アレシア。すまないが、サイトの事は救えそうにない。


アルバランガの人々、十年の時間で何とか魔族に気付き、打ち倒してくれ。


「さて……これを使うのは気が進まないのだが」











『私は反対します。これは使ってはいけない!!』


『……だから、あの時自分と別れたんだろうな。自分とアレシアでは考え方が違う。記憶を取り戻すにつれ一つになりかけていたが、今また別れた。そして、今は自分が表層にいる』


『駄目!!』











空の上に創造された直径二百キロメートルの超質量体。


創造した瞬間、太陽は陰り闇が生まれる。


時間はもうない。


放て。


惑星間移動要塞死星主砲10000ミリ8連装光子集束砲、発射。




あぁ、空が朱い。










っ!? 何だ? いきなり表層から引きずり落とされた!?


「ふざけないで下さい!! 私にもね、守りたい人はいるんですよ!!」


【魔法障壁】!!


『田口伊吹!! あなたはどんだけ死にたがりなんですか!?』


【魔法障壁】。


『お前達は……イブキ‐アレシアにアレシア‐J‐バルカ…………』






「『あぁあああああぁああぁああぁああああぁあぁあ!!!!!』」


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