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75、レギオル襲来




「……逃げろ…………逃ゲ……」


片手で頭を抱え、苦しげな表情を浮かべるサイト。


「サイト? どうしたんですか?」


何か様子が今までと比較にならない程おかしいです。


モノクルで分析するべきでしょう………………なっ!? 


精神汚染!? 


一体いつから? いや、それよりもサイトを止めなくては。


既にサイトはショットガンを兵の一人に向けています。


ぐ……体の不調なんか気にしている場合じゃない!



拳銃では威力不足で撃ち落とせないし、この体調では撃ち落とす事が出来る自信は……ならば、選択兵装緊急展開。


CIWS(近接防御火器システム)起動。




CIWSの一つ、ファランクスは20ミリガトリング砲M61バルカンを艦防空用に改造した、マッハ二以上で飛来する対艦ミサイルを撃墜するための兵器です。


そのファランクスのレーダーなどを直径三十センチメートルの金属球に全て詰め込み砲身の後方に取り付け、私が飛行時には随伴出来るよう宙に浮くようになっている二門一対のファランクス改。


長さ一.六メートル程の砲身とその付け根に付いている白く塗装された金属球で構成されているファランクス改を私の左右に創造。ガトリング砲の六砲身が回転を始め、ショットガンから発射されたスラグ弾を狙い撃つ。一秒間に七十五発、一分間に四千五百発が改造前。ファランクス改はその一.六倍の一秒間に百二十発、一分間に七千二百発。それが二門。弾丸は流れるようにスラグ弾へ吸い込まれていき……。




……撃墜に成功。兵達に直撃は回避出来ました。改装前のファランクスが可哀相な位性能が向上しています。


ですが、榴弾という弾を爆裂させて攻撃する弾種だったらしく、爆発で幾人か負傷者が出てしまいました。しかし……そちらに気を取られてる暇はありません。


サイトは既に次弾を装填済み。何とかしてあのショットガンを奪わないといけないです。接近戦は好きじゃないんですが、やらないと。


【絶対零度】でショットガンの発射機構を凍け……ち、発動前に展開位置を読まれて避けられました。


ショットガンから発光を確認。 


……っ、【魔法障壁】。


着弾、さらに爆発。……よし、耐え……く、二発目……三発目……四発目……魔力をもっと込めないと破ら……五発目……。




このままじゃまずいです。


強引に飛行ユニットを展開、及び【身体強化】をしてあの黒服が開けた穴から隣の部屋へ抜け出します。


そして音響閃光手榴弾を投擲。壁に開いた穴から光が漏れたのを見計らい、セミオートマチック拳銃を両手で構え突入。


兵達の倒れている姿が視界に映る中……サイトの姿は見当たらない、です。どこに消えたのでしょうか?


登録済みのサイトの生体・魔力反応を走査。


魔力が変質したのか……誤差が酷いです。ともかく建物の外にいます。




建物前に出ると何かと交戦している兵達と、サイト。


何かは、ドラゴンのような頭の下から触手が十二本持ち、内二本は先端が槍のような形状で体色が焦げ茶色の魔物です。体長は……約三メートル。


それが、何十、何百と空から飛来して来ています。


何これ…………?


ギャオォオォ!!


「くそ!! 何なんだこいつら!?」

「魔法師はいないか!? 一掃してくれないともう持たん!!」

「駄目だ!! 魔力蓄積機がもうない!!」


兵達は懸命に何かを倒そうとしていますが……サイトはただ、暴走しているだけです。辺り構わず射撃をしています。運よく兵達にはかすりもしていないようですが……。


サイトを何とかしないと……でも、この化け物が邪魔です。


P239で何匹かを射撃。


しかし威力が足りないようです。この魔物の体表にかすり傷を作るだけ。


私のその弱小な攻撃に一匹が気付き、地面を滑るように飛びながら接近してきます。


何なのこいつら?


軽く【電子砲】で吹き飛ばします。毎時八十キロ程度しか出していないんですから、百発百中に決まってます。


今は、サイトが優先なのです。


しかし仲間を殺された怒りやらで、私を集中的に狙って来ます。


邪魔!!


ファランクス改を創造し自動攻撃をさせ、ガトリング砲特有の射撃音を耳に入れながら私はサイトの下へ。




サイトはショットガンを撃たず、頭を抱えもがき苦しんでいます。どうしてこうなった……。


「サイト!!」


「あぁあア……クルナ…………にゲ、ろ…………」


精神汚染か……頼みの綱は医療用カプセル。あの中に入れれば治る可能性もあります。


ですがあの状態だとカプセルの中に入れた途端、暴走して内部からカプセルが破壊されてしまいそうです。


つまり、サイトを精神的にしろ肉体的にしろ行動不能な状態に追い込まなくてはなりません。出来るでしょうか……そうじゃない、やらないとなりません。


「…………」


襲って来ましたか……。想定はしていましたが、あまり嬉しいとは言えないですね。


真っ正面から突貫しながらショットガンを撃ち放つサイト。


発射弾を【電子砲】で撃墜したいのですが、サイトにも当たったりしたらと考えると出来ません。


【魔法障壁】で直撃に耐え、その威力を利用して後方へ退きながらセミオートマチック拳銃P239からゴムスタン弾をサイトへ射撃。


く、サイトはとんでもない機動力で全弾を回避。


そのまま私に急速接近。


まずい、二十メートルより近くに来られてはいけない。


飛行ユニットで上空へ退避。


一気に高度百メートルまで上昇。サイトも跳躍して追って来ますが、空を飛び交う謎の魔物を盾にして振り切り……なっ、魔物を踏み台にして近付いてる!?


足場となる魔物を駆逐しないと接近戦に持ち込まれてしまいます。


ファランクス改二門を呼び寄せ、魔物達に20ミリAPDS(装弾筒付徹甲)弾を的確に浴びせ一門につき一秒で三匹は潰し、私自身も【絶対零度】で数匹ずつまとめて凍らせて着実に殲滅していきます。


しかしサイトは八十メートル後方に。もう一足飛びで来れそうな距離。


さらに仲間を殺されたのに怒り、魔物達は地上にいたの個体まで私に向かって来ます。もはや私の視界は魔物達で埋め尽くされ、サイトはモノクル越しに合成開口レーダーで確認出来るのみ。まあ、逆にその多さでサイトも近付き難くはなっているようではありますが。


いや……逆にこれはまとめて全滅させる事が出来る好機。




【絶対零度】。




周囲三百六十度、半径四十メートルに群がる魔物達を一気に分子レベルにまで凍結。


その後、サラサラと崩れてなくなり……残るは十数匹。


サイトは空中に孤立しました。


……これからどうしましょう。


何とかして無抵抗の状態で医療用カプセルへ搬入しないと……。




事態は、膠着状態を迎えます。


レギオル襲来……この題から亀を思い浮かべてはいけません。


あと、ついでに意見や感想をいただけるとかなり嬉しいです。


では、よければこれからも見ていただけると幸いです。

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