表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/116

67、東領郊外にて交戦




私は方角北へ高速で飛翔しつつ、生体反応を走査。




対象、捕捉。


黒いローブに全身を包み、冬の広葉樹林を常人にはありえない速さで移動中。魔力反応、魔法で高速移動を可能にしていると推測。




上空から、音響閃光手榴弾を半径数十メートルにかけて隙間無く投下。


私は【魔法障壁】で、音と光の暴力を避ける。


……やりましたかね?




!! 緊急回避、いや障壁強化!


あ、危ないですね。火炎球が数百打ち出され、それを【魔法障壁】にて防御。


という事は、まだ戦闘可能な訳ですか……。音響閃光手榴弾は確実にくらった筈。つまり、負傷により戦闘不能にしなくてはならない、か。


選択兵装をざっと眺めてみますが、破壊力がやばすぎです。厚さ一センチの鉄板程度なら軽々と貫けそうなのばかり。


モノクル越しに見た所、黒尽くめの周りに巨大なマナの塊が三つ漂っており、黒尽くめの体内魔力に魔力で構成された糸で繋がっています。あれが精霊なのでしょうか。


精霊の魔力を削りまくれば大丈夫ですかね?


とにかく、色々試してみますか。


私が火炎球をあえて受けまくったおかげで、爆煙により視界が悪くなっています。しかし私はモノクルで視界は確保しているのです。


爆煙の中を移動しながらセミオートマチック拳銃P239の銃口にホルスターに内蔵されていたサプレッサーを取り付け、黒尽くめの背後へこっそり降り立ち引き金を二度引きます。


はあ、予想通り何らかの障壁で体を防護してました。衝撃弾は弾かれ攻撃は失敗、位置がばれ火炎の嵐が降り注いできます。急速上昇。


一旦体制を立て直しましょう。


先ず、防御力を調べます。障壁は……今は展開していません。つまり接近を感づき、展開したのでしょうか? いや、わざわざ敵から攻撃を受けるまで迎撃行動を取らなかったという事は、気付いていなかったと考えていいと思います。ならどうやって……む、そろそろ煙が晴れてきます。


視界を確保した途端、火炎球を毎秒十数発発射してきます。私は高度百メートル辺りで火炎球を避けながら、音響閃光手榴弾を投下していきます。


どちらも決め手がないのでしょうか。


まあこのまま増援を待っても私は勝ちますし、良しとしましょう。




どちらも攻めあぐね続け、数分。あちらさんは焦っているみたいです。火炎球の精度がほんの僅かですが落ちてます。ふふふ……忍耐力がないですね。


いや……火炎球は囮。後ろに隠匿された何かがあります。結構な大技を使うつもりですね。ぐ……モノクルで常に解析しておくべきでした。ですが、発動は阻止させて貰いますよ。




一気に降下し地面と平行に黒尽くめへと突貫。赤光剣を右手に持ち、黒尽くめの正面に突きを放つ。


あと百メートル。


火炎球が魔法障壁に数十、数百着弾。


あと四十二メートル。


それでも止まらない。私の魔力を一気に魔法障壁へと投入。黒尽くめとの距離を詰めて行く。


あと二十八メートル。


「あ……」


黒尽くめの大技封じを狙いましたが……溶岩弾の洗礼が待ち受けているようです。ちっ、焦って判断を誤りました。


このままじゃ直撃、か。


音速に近い速度で接近する直径十数メートルの溶岩弾八発。当たれば、ドラゴンでも一思いに逝く一撃が八つ。




なめるな。モノクルで全ての弾道を計測。【身体強化】で反射速度を上げる。


避けれる。


軌道を読み取り、避けた先から十二メートルにいる黒尽くめのローブから見える驚愕の表情。


そこへ【絶対零度】を展開し叩きつける。しかし、黒尽くめには届かない。


でも、読めた。障壁は精霊が展開してる。黒尽くめの意思じゃない。


【絶対零度】を防御し、一時動きを止めた隙に接近。赤光剣を上段から振り下ろす。障壁を切り刻まんとするも、振り下ろしのモーションで私の動きが鈍った隙に火炎球が【魔法障壁】に着弾し、後方へ押し戻される。


あと百二メートル。


だけど赤光剣は黒尽くめの精霊の障壁にたやすく傷を付けた。破れる。しかも障壁を展開しているのは精霊だから、黒尽くめは依然自分には鉄壁の守りがあると思っている……筈。


地面から土の槍が飛び出し、前からは火炎球が放たれ続ける。あちらさん、攻勢に出るつもりみたいですね。


ですが……私は切り札を投入してはいませんよ。


【電子砲】。


土の槍、火炎球をまとめて消し飛ばす白い光線。


黒尽くめはさすがに恐怖感を抱いたらしく、回避しようとしますがさせるはずないでしょう。


【絶対零度】で即座に作られた氷の檻に牢閉。【絶対零度】は任意の場所に展開出来るのです。


急いで破壊を試みますが、それこそ手遅れ。


【電子砲】が直撃。精霊の障壁が悲鳴をギシギシと上げる。




何とか【電子砲】に耐えた障壁。黒尽くめはまた攻勢に出る積もりみたいです。形勢逆転したとでも思ったのでしょうか。


でも残念でしたね。それ、囮です。


【電子砲】に意識を持ってかれている間に上空へ私は移動。


零距離。


直上から赤光剣の一閃。


障壁は破壊した。


黒尽くめの唖然とした顔。


「私の勝ちです」


P239の引き金を引く。


乾いた音が響いた。






黒尽くめを気絶させると、障壁はなくなりました。どうやら精霊達は黒尽くめがいないと何も出来ないようです。それとも対価を払わないと、何もしないのでしょうか。

ともかく、黒尽くめを確保。


しかし、拘束具がありません。

うーん、この黒いローブでいっか。


黒ローブを剥ぎ取り。びりびり。


素顔はやはり綺麗なエルフさん。エルフに共通して中性的な顔立ち。


何で……私を狙ったのでしょうか。


モノクル解析……ちっ、最近入浴したか。情報少ないです。東領に数日前からいたみたいです。


ローブに付着した物達は? むぅ、新品かー…………。そして、唯一分かったのは東領にいたという手掛かりだけ。


ふむ、とりあえずあの屋敷へと戻りましょう。人質になった妹さんの容態が気になります。




私が黒尽くめだった犯人をずりずり引きずりながら地面スレスレを飛んで屋敷に戻ると、兵士達が来ていました。


数十人が集まっているらしく、馬車がたくさん並んでます。




…………それをディーウァが、ガトリング砲にて威嚇射撃してます。


「わーっ! わーっ! な、何してんですかぁ!?」


『だ、誰も近づかないようしてたです……』


な、何でディーウァが戸惑うんですか!? 私の方がびっくりですよ……あぁもう! うわあ! どうしましょう!?


「とととにかく! 攻撃禁止! 通しなさい!」


『は、はい、です……』


ど、どう釈明しましょう…………。

皆さんの視線が刺さります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ