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箸休め十七品目




ロミリア軍は帝都レンサンドリアを占拠に成功したが、その後の展開は芳しいものではなかった。


ロミリア軍は、帝都を陥落させた事で有利な条件で講話を結ぶ事を考えていた。


大統領は皇帝の首を求めてはいたが、軍部は帝国民の信頼篤い皇帝を殺害した場合、ペロポネア帝国が崩壊し自国の東側に群雄割拠で不安定な地帯が生まれるのを嫌い、帝都占拠で頃合いだと考え講話を大統領に勧めていた。


しかし、首都ロミリア空襲がそれを台なしにした。


この空襲による人的、物質的被害は戦争の前線に比べれば微々たるものであった。だが、首都を、ロミリアの誇りとも言える首都の一部を、焼け野原にされて講話を結ぼうと考える程共和国民は寛大ではなかった。


またそれは軍部も同じである。なまじ帝都を占拠し優越感に浸っていたために怒りは激しく、各地の軍事行動は苛烈になっていった。


そこも魔族の狙いだったのだろうか。


ある時、帝都周辺の地帯を平定する任務に当たっていた部隊が、とある村で村人達が反抗的だったとして虐殺を行う。生存者は、運よく村を離れていた数人。


これまで、ロミリア軍は帝都周辺区域を平定する際、虐殺はおろか乱暴な態度すら取らなかった。それはこの戦争がロミリア側が正しいと帝国民に見せ付ける為であり、占領地内での反乱を抑止する為であり、何よりロミリア共和国軍人の誇りによるものであった。


もちろん、虐殺関係者には厳罰が降され、それを宣伝もしたが、ある意味この対応は間違いとも言えた。軍が正式に虐殺を認めたからだ。


これを機に、帝国民とのゲリラ戦が始まる。






同時期、魔族の国レークティスシムスは苛立っていた。


アルバランガ軍人が優秀なのか、レークティスシムスの分析担当が楽観的だったのか、予定より遥かに死亡者が少ない。


レークティスシムスの繁栄は、今まで自国内を発展させるだけで何とか保てていた。しかしもはや土地は開発し尽くし、技術力も十八年前の大出力エンジンの発明以降大幅な向上が見られず、自給率もそろそろ百十パーセントを切り、鉱山資源も減り、息詰まり始めている。


レークティスシムスが生き残るには、アルバランガ民から搾取しなくてはならない。少なくとも、今の体制で国家運営をする限り。


しかしながら、土地を分取るだけなら至極簡単である。航空艦船を何隻か送ればいい。だが、レークティスシムスの長は絶滅を求めている。紋章ある限り、この方針は揺るがない。


アルバランガの民は知っているだろうか。


魔物の四割はレークティスシムスの生物実験の産物だと言う事を。そして、だからこそ魔物は魔族の隷下にある事を。


この日から魔物は食物連鎖の枠から離れ、対人生物兵器の一面を見せ始める。






さらにレークティスシムスは第二段階に移行する事を決定する。


アルバランガ大陸の上空から、近年生物兵器として開発された最凶の魔物がばらまかれる。


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