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46、Code・red




彼女は、いきなり彼を弾き飛ばした。


彼には彼女に何が起きたのか分からなかった。


しかし、彼にも一つ分かる事があった。


(……今のアレシアは、ただの殺戮兵器だ)


彼はそれが分かったが、どうする事も出来なかった。彼女の圧倒的な魔力に、体が動かさなかった。いや、動けなかった。




「Select the order of priority・・・Top priority target、 a small unknown・・・Second priority target、 a large unknown・・・Third priority target、there are life around me(優先順位選択……殲滅対象第一位、小型未確認飛行物体……殲滅対象第二位、大型未確認飛行物体……殲滅対象第三位、周辺の全生命体)」


小型未確認飛行物体と呼称されたソレは、球体に三角翼を付けたような変わった形をしていた。


ソレは何らかの手段を用いて自らに最も脅威になる存在を確認。


下部に取り付けられた7.62ミリ機関銃を彼女に向けるべく旋回。彼女へ銃口を向けようとしている。


「Weapon select・・・Flying units、eye mounted display(兵装選択……飛行ユニット、多目的片眼鏡型ディスプレイ)」


彼女は左目に近未来的なフォルムのモノクルを、更に背中に六枚の水晶にも似た質感の翼を創造する。


彼女は飛んだ。


普段の彼女が翼を持ち飛べば周りは天使と持て囃すだろう。


彼らは、今の彼女を見たら何と感想を漏らすのだろうか。




ソレと彼女の機動性は、遥かに彼女が上だった。


瞬く間に、背後を取る。


「Target lock on・・・Air to air missile launch(対象、捕捉……空対空誘導弾発射)」


彼女の真横から、AIM9−Xサイドワインダーミサイルが発射される。


ミサイルはソレに吸い込まれる様に近付いて行き、直撃。


殲滅。




彼女の殲滅対象は第一位から第二位へ移行する。


果たして、何が存在するのだと言うのか。


彼女は上空を眺める。

……微かに何かが浮いているように見えなくもない。


「Target lock on.Anti ship missle launch(対象、捕捉。空対艦誘導弾発射)」


今度はAGM−84Lハープーンミサイルが天へと放たれた。


空に爆音が鳴り響き、海へと何かが落下する。


それは、飛行戦艦とでも言うべき物の成れの果て。


一体、これは何なのだろう。どうやってこれだけの大質量体が浮いていたのだろうか。しかし彼女には関係ない。




彼女の殲滅対象は第二位から第三位へと移行した。


彼女は彼を殲滅対象として見る。

その目は感情を宿してなどいない。


彼女は無言でローブの内ポケットからリボルバーを引き抜く。撃鉄を起こす。


そして、引き金を引いた。










『させない!!』










彼は死を感じた。

自分はここで死ぬ、それを肌で、目で、耳で感じた。


殺戮兵器へと成り下がった彼女は、彼に銃口を向ける。


彼女が躊躇しない事が分かる。


引き金が、引かれた。




「はあ……はあ……条項2が非成立。よってコード・レッド、解除。ま……間に合いました…………」


私は何とかかんとかコード・レッド、イブキに干渉する事で最悪の事態は避けられました。


私が才人を守る為、また不安定なイブキを守る為創造したのはEDA(Excessively Deeply Attacker)、超深部攻撃機と名付けた戦闘機です。


個人名をディーウァと名付けられたEDAは、魔力銃の射線上に割り込み才人を死から救いました。


「ディーウァ、大丈夫ですか?」


『大丈夫なのです。拳銃弾程度で傷つくような柔な体ではないのです』


EDAには高度な人工知能を搭載したのですが、性格までは設定出来なかったのです。


「ディーウァ、私はもうすぐ消えイブキ‐アレシアという人格になりますが言う事を聞くように」


『はいです。任せるのです!』


何を間違えたらこんな性格になるのやら……まあ、イブキ頑張って下さい。


「才人……でしたね。あの時は助かりました。感謝します。それと……イブキをよろしくお願いしま……く……あぁ……」


「お前は……アレシアか?」


私は僅かに肯定の意味を込めて、首を縦に振ります。


「アレシア?」


もう……だ…………メ。




アレシア、いやイブキは飛行ユニットとモノクルを消失させ、海に落ちた。


「アレシア! 大丈夫か!?」


すかさずサイトが泳ぎ着き、抱き抱える。


どうやら無事のようだ。ただ気絶しているだけ。


「……さて…………どうすっかな」


今は真夜中。周りには何もない。


辺り一面暗い海。


……いや、未だディーウァは存在していた。


「お前は消えないのか?」


『ワタシはイブキの護衛なのです。消えたりしないのです』


「なら……陸地まで飛べるか?」


サイトにこの冷たい海から抜け出せるという期待を浴びたディーウァは、


『任せるです!!』


自信満々に応えた。


ディーウァは海を漂っていたのでエンジンを起動し、サイトの真上に上昇。コックピットを開く。ディーウァのコックピットは下へ開くのである。


『さあ、乗るのです!』


サイトはイブキを抱き抱えながらも、軽々とコックピットへと搭乗する。

すると、コックピットが閉じ、即座に暖房が効き始める。そうは言っても、かなりの時間冷たい海に浸かっていた体は暖まりはしないが。


『行くですよ!!』


ディーウァは垂直に急速上昇。

ある程度の高度に到達したらしく、一気に加速する。サイトとイブキには結構な重力がかかる。


『速い! 速いです!!』


その言葉に違和感を覚えるサイト。


「? おい、まさか飛ぶのは初めてか?」


『その通りなのです! 飛ぶのは気持ちいいです!!』


サイトに不安が芽生えた。


何事もなく数十分が過ぎる。


『あ……まずいかもです』


しかしと言うかやはりと言うか、とんでもない事になる。


「何だ?」


『燃料……切れちゃいましたです』


「は?」


ディーウァは今は飛んでいるが、徐々に速度は落ち、機体は墜ちるだろう。


『あわわわわ……どうしましょうなのです』


ディーウァはうろたえるが、サイトは冷静に思考する。ディーウァは一度消えてもまた創造出来るが、サイトはこの高さなら死ぬ。普通、逆だと思われるのだが。


「近くに陸地はないのか?」


『え〜と……あ、ありましたです! 着陸するのです!!』


暗闇の為サイトには見えないが、陸地があるらしい。


しばらくすると、サイトの目にも見えて来る。どうやら砂浜に着陸するようだ。


『あ』


ディーウァの間抜けな声がサイトの耳に届くと同時に、サイトは暗闇に投げ出された。




「真冬の嵐」作戦。


それは、人口増加著しいレークティスシムスが新たなる領土を手にする為に必要な作戦だった。


これによりこの世界の二大国家の一方は崩壊し、一方は大きく力を落とす。


そのためには支援も惜しまない。


支援艦として選ばれたのはACD208−1−01ブレイブ級無人航空駆逐艦一番艦ブレイブ。


搭載兵器は下部に105ミリ連装魔力砲五門。

横に30ミリ機関砲二十基及び57ミリ魔力砲六門。アルゴスレーダーシステム。

更に試作中の無人艦載機APF−4ファントム一機。搭載兵器は7.62ミリ機関銃。




ロミリア船隊の上空に滞空し、近寄る船を残らず砲撃した。




しかし、ブレイブは墜ちた。


一発のミサイルによって。


ブレイブは常に本部にデータを送信していた。


最後に捉えた画像には黒髪の青年と白銀髪の少女が映っていた。


「……?を出せ」


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