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29、ギルドと偽造




「…ふわ…」


うむぅ………ん?


何で…サラさんがいるんですかね?


あー、うーんと。

そういえば…昨日は睡魔に負けてついつい寝てしまったんでしたっけ。


ベッドから出たいような出たくないような……寒いんですよね。


出なくていいや。


さて、今日するべき事は…………先ず地図を買い、新たな道筋でカラへ向かわなくては。他には油も欲しいし、ナイフも必要ですね。携帯食糧の補充もしないと。


この宿屋には時計がありませんねぇ………まあ、大体7時辺りですかね。

起きてからもう結構経ちましたし、何とか出ますか。


それからベッドの誘惑に打ち勝ち出たのが数十分後。


自分が借りた部屋へ行き脱ぎっぱなしの服を折り畳み、バックへ詰めてローブを羽織り、買い物へと出掛けます。


ドアに掛けられた錠前を外し、外へと出ます。


「……積もってますねぇ」


昨日猛威を振るった吹雪は大量の積雪を残して去り、澄んだ青空を見せています。


膝上まである雪を掻き分けながら進み出します。

幸い、宿屋の隣が鍛治屋でその隣が雑貨屋なのでそこまで遠くへは行かないで済みそうです。


煙突からもくもくと煙りを上げているので開店しているのでしょう。


重い鉄製の両開きの扉を開け、中に入ります。

中は前の方に棚があり、そこに商品が並び、後ろでは炉があり真っ赤に焼けたドロドロの金属が見えます。


その金属を眺めている厳ついお爺さん。

こちらに気付いてくれました。


「………何の用だ?」


雰囲気通り、一度タメを作ってから話しました。


「えー、肉用包丁、魚用包丁、万能包丁、よく切れるナイフを下さい」


少しそれに圧倒されつつも言い切りました。


私の回答を聞くと無言で棚へ向かって行き、数ある刀剣類からいくつか選んでくれました。


「………銀貨一枚だ」


………え?本当に?何か包丁はともかくナイフは上位が使いそうな感じですよ。


「何かそのナイフの値札にS.L.と書いてますよ?」


Sは銀貨、Lは五十を意味するんですけど………そもそも私はそのナイフで戦う気はないですよ。


「………いらないならいいんだが?」


「いえ、有り難く頂戴します。銀貨一枚です」


安く上物が手に入るんです。文句なんてありません。


「………記憶、戻るといいな」


「あ…ありがとうございます」


何で知っているんでしょうね?疑問は残りますが取り敢えず隣の雑貨屋さんへと向かいます。


雑貨屋さんはカウンター式です。優しげなお婆さんが経営しています。


「おやおや………何か入り用かね?」


「はい、この周辺の地図と油を少しと保存食を二食分下さい」


「油を入れる容器はあるかね?」


「あ…それも下さい」


「保存食には干し肉、携帯食事どちらがいいかね?」


「携帯食事でお願いします」


「はい、全部で銀貨一枚と銅貨三十枚だよ」




これで準備は万全でしょう。


宿屋へと戻ります。するとサラさんが階段から走り降りて来ました。


「イブキちゃん勝手に出ていかないで頂戴、びっくりしちゃうわ」


いきなり抱きしめられてしまいました。書き置きでもしておくべきでしたね。


「すみません、色々補充する物がありまして」


「じゃあ……ご飯にしようか」


「はい」




朝ご飯を食べつつ鍛治屋での謎を問うてみます。


「そういえば鍛治屋に行ったら何故か私の事を知っているお爺さんがいたんですけど、知り合いか何かですか?」


「あ〜それ。おじいちゃん。昨日私を心配して夜遅くに来たから話したのよ。もしかして…秘密だった?」


「そんな事はないですよ。ただ疑問に思っただけです」




朝ご飯を食べ、そろそろ出発です。

地図は周辺百キロしか書いてないですがそのぶん正確です。

その地図によればここはレガシー村でヘイス村から十二キロ離れています。

カラへの道はレガシー村を西へ五キロ行くとカラ直通の街道があるみたいです。カラはこの一帯で一番大きいですからね。

それでその街道を五十キロ程行けば到着です。


「では、さようなら」


「元気でやりなさい。記憶、戻るといいわね」


「はい、ありがとうございます」


今度は間違えませんよ。

道をしっかり確認する決意を固めつつ、サラさんの宿屋から出発しました。






道は最初の五キロは雪に阻まれそれだけでお昼を過ぎてしまいましたが街道は流石に除雪されています。


人通りはそれなりにありますが、それよりも馬車がたくさん行き来しています。

こんなにも馬車が動いているのは戦争が理由らしいです。

歩いている人々からの情報です。


街道は中央に二車線、右側と左側に歩道がそれぞれあります。






レガシー村を発ってから一週間。

カラが見えて来ました。

カラは周囲は壁に囲まれています。何でもカラの辺りまでが魔物の生息域なんだそうです。しかし戦争地帯から逃げ出した魔物が逃げ出した先の魔物を追い出し、その追い出した魔物が………という雪崩現象により今は今まで安全だった地域も魔物が現れるようになってしまったそうです。

だから私はグリーンウルフやらスノウウルフに襲われた訳なのです。迷惑ですね。


後は当初は三日から五日で到着予定だったのですが、雪の影響で遅れた位ですかね。


壁を守る門番にはギルドカードを提示し、簡単に入ります。最初は驚かれましたが、門番には最近魔物が増えているから助かる、なんて喜ばれました。


ついでにギルドの場所を教えて貰いました。


ギルドは煉瓦造りの二階建て。中に入ると、収穫期を過ぎた農家の方々が集まってたり、屈強そうな男性の集団が魔物について話したりしています。


私は奥の受付嬢の元へ行き、ギルドカードを提示します。


「ギルドに記載した個人情報を間違えたかも知れないので確認してくれませんか?」


「かしこまりました。少々お待ち下さい」


受付嬢はカードを何か透明な板にかざします。


するとカウンターの後ろのドアへ入っていってしまいました。


そして………


「ギルドカード偽造の容疑で逮捕する」


甲冑を来た五人の騎士に囲まれました。


………嘘だあ。た、逮捕ってそんな馬鹿な。


「冗談ですか?」


一応聞いてみます。


「ふざけるな!おい、さっさと捕まえろ!」


リーダー格が合図して四人の騎士が前から来ます。


私は両手を上に挙げます。


「抵抗なんてしませんよ。従います」


「いい心掛けだ。着いて来て来て貰おう」


こうして私は前に騎士二人、横に隊長格一人、後ろに騎士二人で捕まりました。

何ででしょうか?というか偽造カードを持っているなんて私は何者?


階段を一つ上がり、とある部屋に入れられます。

そこにはテーブルが一つに丸椅子が二つあります。


「俺は牢屋に入れる手続きをして来る。大体一時間かかるが絶対に逃がすなよ」


「「「「はっ!」」」」


さて、私はどうなっちゃうんでしょうかね?


御意見・御感想を世界の平和並に待ち望んでおります。

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