箸休め十一品目
イブキさんが出発したのは午前中でしたね。
しかし、早くも寂寥感に苛ませます。彼女は記憶を失いながらも気丈に振る舞い、そしてどこか大人びていて、子供らしかった。
ヒューイでは物足りないとかそういう事ではないんです。ヒューイは私の可愛い自慢の息子ですよ。
しかし彼女はあたかもこの世に舞い降りた女神のようでしたからね。比較するのがおこがましいのですよ。
彼女は客間に銀貨を十枚も置いて、尚且つ書き置きも置いてありました。
〔私があなた方にしていただいた事はとても金額に変換出来るような行いではありません。
ですからこれは心置きなく貰って頂きたいです。
書面になりますがもう一度ありがとうと記します。
ありがとう。親愛の感情を篭めて イブキ‐アレシア〕
つくづく、彼女には愛らしいさを感じます。
これは、恋人達が抱くようなものでも家族に対して感じるものでもないです。
例えるならば小動物を愛でるような、そんな感情でしょうか。
そしてその小動物が背伸びをして大人びた行動を取るて思わず微笑ましいではないですか。
彼女は元気でやっているでしょうか。願わくば、記憶を取り戻して欲しいものです。
イブキさんの魅力を具体化してみようとして失敗。
今一どうすれば可愛いと思われるかが分からないな。
それも含めて御意見・御感想を募集しております。