箸休め十品目
ペロポネアが我が第6軍団を蹴散らしロミリア国境に進攻してから七ヶ月経った十一月。
俺は第一防衛線北端に配置されている第6軍団の残存兵で構成された第516臨時中隊のしがない一般兵だ。
当時はまさかペロポネアが本気だとは誰も思わなかった。
確かに大統領の娘さんが拉致されかけたそうだし、元老院でも先制攻撃を議論していたらしい。
だが、俺達ロミリア軍とペロポネア軍が戦争してまで得る利益があるか?
もしこの二国が争えば小規模でも数年規模は戦わなくてはならない。
それなのに要求はたったの金貨千五百枚。
これじゃあ戦費さえ賄えない。
ペロポネアが攻めて来たと二十キロ離れた国境警備線から伝令が来た時、基地にいた兵士はぶったまげた。
その敵を軍団長サマは精々威嚇程度だと思ったらしい。
伝令が敵は一万以上と叫んでたが
「キミ、そんな事はありえんよ」
とほざいて一個騎兵小隊百人を向かわせた。
そもそも敵さんは一万どころじゃなくて十万はいたがな。ま、これは今だから分かる話だから言ってもしょうがない。
それから二時間しても国境警備線から何の連絡もなかった。実はもう警備線は突破され、投入した騎兵小隊は散り散りになっていたんだそうだ。
三時間後、その生き残りが一人帰って来た。
これで軍団長サマはビックリなされたみたいだ。
今度は全力を持って、つまり第6軍団六千を投入して阻止に当たるコトになった。
でも、もう手贈れ。
せめて警備線、つまり高さ五メートルの石壁と数十メートル置きに配置されている監視塔にある連射式弓があれば十万を六千で足止め、そのうちに味方を呼んでなんとかなったかも知れない。
だが、第6軍団は出発した。しかしそこでも軍団長サマはやらかしてくれた。
偵察部隊を出さなかったのだ。理由は兵力の各個撃破を避けるため。
馬鹿か!?状況も分からずに戦えってか!?と思った下士官達は反論を述べた。しかしこの軍団長サマは色々賄賂やら何やらしていたらしく高級士官が下士官に大反対。
結局、偵察もなしにいきなり戦場に放り込まれた我が第6軍団は十万という数の暴力に圧倒され壊滅。
現在軍団長サマ及び高級士官御一行は仲良く牢屋の中らしい。
俺に言わせれば死刑にして欲しい。何しろ仲間が死んだんでね。
ともかく壊滅した第6軍団。
だが軍団としては壊滅しても俺達は最強を謳われるロミリア軍の兵士。
俺の所属する第620魔法中隊定数六百人中残存兵一般兵百十人、弓兵七十一人人、魔法師百二十二人の計三百三人で蛮族戦法を用い徹底抗戦した。
時には食糧不足で、時には魔法火力不足で、時には敵に包囲され、とにかく俺達は戦い続けた。
そのうち他の残存兵も加わり出し、小さいながらも陰険な嫌がらせをペロポネア軍にしまくり成果を挙げた。時にはかなりの成果を挙げたこともある。
俺達がしたことを何個か記せば……例えば夜営中の敵部隊に数人で魔法攻撃をしては逃げ、しては逃げ、敵が呆れて俺達を追い掛けなくなったら一気に攻め、たった三百三人で千人に打ち勝ったり、渓谷に入った敵部隊に上から魔法や矢を降らせたり、敵部隊が飲料水としている川をとある排泄物で汚染し中毒を起こしたりしていた。
そうしてやっと増援部隊が来たのが俺達が蛮族戦法を取り三ヶ月経った七月のことだった。
その後はヌミデアの竜騎兵と共闘したり、ペロポネアの飛竜部隊が魔法の雨を降らせて来るので逃げまどったり。
現在は第5軍団に配属され防衛線でいつ敵が来るか待っている。
ああ、クリスマスまでに帰れるだろうか。
現在これからの展開で悩んでおります。
具体的には
アレシアの家族、学園の仲間が出るか
です。
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