箸休め八品目
私はいつも部屋にこもって秘密工作ばかりしているのではない。
ギルドの仕事もちゃんとこなしている。
郵便受けには依頼が入っている。
ギルドからは手紙で依頼が来るのだ。
………今日はこれかな。
〔バークシー郊外:ポイズンワイバーン討伐 ノルマ達成時 銀貨二十枚〕
ノルマは各レベル毎に決まっている。
レベル3は毎月十件をこなさないといけない。ノルマ達成後は好きなだけご自由という感じ。
やりたい依頼があれば、近隣のギルドで申請してから出発だ。
私は黒ローブで体全体をすっぽりと覆い、外出する。そうしないと年相応に見られるからだ。
ロンダン本部二階受付で手続きをする。
「……では、一週間以内に完了して下さい。ご利用いただき、ありがとうございました」
相変わらずとても丁寧だ。
ロンダンウォーターロー駅にて魔車に乗車し、一路バークシーへ。中はコンパートメント毎に分けられている。平日午前10時頃ということもあり、席は空いていた。
窓からは自然豊かなロンダン郊外が見える。ただ、今は冬真っ盛りだから枯れ木ばかりだが。
一時間弱でバークシーに到着する。
バークシーは駅の周りは商店街、後は広大な畑だ。ちなみに何故か小麦。そういえば、グレリアは魔物以外地球と変わった所がないな。
アルバランガには、変な野菜とかあったんだが。
受付から貰った詳細な情報によれば、駅から北東十七キロのどこかにポイズンワイバーンが巣を作り、家畜を掠いに数日に一度来るらしい。
身体強化にてササッと人気のない畑道まで移動し、スカウ………ゴホン、モノクルにて特異魔力反応や生体反応を走査する。
………確認。北東に十六キロ。
さて、殲滅だ。
森の中へと入る。雪は積もっているが、基本的に視界は広い。
隠匿魔法を使いつつポイズンワイバーンににじり寄る。ワイバーンは睡眠中だ。寝ているのを起こすのも忍びない。
私はワイバーンの枕元にC4爆弾を仕掛け、その場を去った。
……いや、倒したか確認しないと。
ポチッとな。
ズガアアンとかドガアアアンだかとにかく爆音が鳴り響く。
……………見なきゃよかった。ワイバーンはどろどろのぐちゃぐちゃ。
まあ、こんな感じ。
そういえば、お姉ちゃんとファルサリアさんとも狼屠りに行ったなあ………
思い出すな……今は魔族殲滅に全力を挙げよう。
そうすれば帰れる。
そう言い聞かせても、涙が止まらない。
………いつから私はこんな生活を送っていたのかな………十月からだ……もう、そんなにか。
早く帰りたい。
私を忘れてないか、怖い。
MQ9やM機械兵OCを付ける事は出来ない。
そんなことすれば帰る衝動が抑え切れなくなる。
今でも、このまま飛行ユニットでマッハ3出して帰りたい。
だが……生きていると知られたら?グレリアだって完璧に安全とは言えないのに?
早く魔王を見つけ出そう。
そして、私の心と異世界に平穏をもたらそう。