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十一、真夜中に来る者




あの後、ザーハさんが叫んだせいで私達は村人達に感謝されまくった。


そして、現在午後5時。村長宅の周囲を使って立食パーティーが開かれている。

何しろ美少女揃いのメンバーだ。十代から四十代はお姉ちゃんと話をしようと必死で、お姉ちゃんもうんざりしている。


私はおばあちゃんやおじいちゃんとのんびり会話している。まあ、時々私を通じてお姉ちゃんに話そうとする輩もいるが、この村はまだ年長者を敬う習慣があるので、老人方、つまり自分の祖父や祖母に睨まれ帰って行く。


ファルサリアさんは同年代や小さい子供好きな方々に絡まれてしまい、しばらく前から人の山の中心だ。




ファルサリアさんが何とか包囲網を突破し、こちらに来た。何だか酷く疲れた表情だ。そして、ポツリと


「……約束……」


と言って来た。


「…もちろん、覚えてますよ」


約束というのは、グリーンウルフを多く倒した方の言うことを負けた方が一つ聞くというものだ。

元々、ファルサリアさんは勝てれば満足だったのだが、お姉ちゃんが余計なことを言い出したのだ。


「それじゃ、面白くないわ。勝者が敗者に言うことを一つ聞かせる、これを罰として追加しましょう!」


「…名案…」


二対一で強引に決まったこととは言え、決まったことはしかたない。


「……と……ち……」


顔を真っ赤にして、「と」と「ち」が付く何かを希望か。


何だ?


「…トローチ?」


首を横に振る。


「…とんかち?」


首を横に振る。


「……………と、友達……………」


顔から火が出そうなくらい赤くしながら、こう言って来た。


………これは…萌え?いや、違う!ちがああう!!


私はそんな趣味などない!!!!


こっちも違う意味で顔が真っ赤だ。


「……な、何言ってるんですか?もう一緒に寝たんですよ?もう昨日から友達にはなってます…」


何か誤解されそうだな。


「………そう……」


うぐっ!満面の笑みがああ!!

わ、私は…………………………ふう、何とか正気に戻る。




秋が近いこの季節、午後6時にもなると暗くなり始めパーティーは解散となった。


魔力灯のないトトカ村では暗くなると村人は寝るのである。



もう帰るには遅いので、村長宅の客間を借りて泊まることになった。


何故か、シャワー室はあったので貸して貰う。

アルバランガ文字順で私、ファルサリアさん、お姉ちゃんの順番だ。


アルバランガ文字は二十六文字あり、アルファベットに酷似している。


シャワー室はビジネスホテル並の広さだが、私の方が小さいので問題はない。


はふぅ………やはり疲れた体にお湯はいい。

残念ながら湯舟はないが。

そんなときガラガラとシャワー室の引き戸が開く音がした。一体……!?


「な…何でいるんですか!?」


そこには、全裸のファルサリアさんがいた。

私は慌てて俯くが、もう脳裏に焼き付いてしまった。


「………友達はお互いに背中洗う……」


それは親子だろ!

ツッコミたいが、私が入って来た時怒鳴ったのが堪えたのか固まっている。


「…あー、そうですね………」


「………洗ってあげる……」


ファルサリアさんが、私の背中をタオルで擦る。


うう……はふぅ………あぁ…何かゾクゾクするぅ。


「……交代……」


う、白い肌だ。あーあれだ、まるで白磁のようだ。

恐る恐るタオルで擦る。

すべすべだ。

わあ、ずっと触っていたい。


「………ひぅ……ん…」


うぐっ、は、反則だあ。

それからは、無心を心がけた。




体は綺麗だが、心は疲労しきった状態でシャワー室を後にする。


客間は一つなので、みんな一つのベッドで寝る。

ベッドは成人男性用なので、子供二人と女性一人は余裕で眠れる。


ふう……。眠っ………………






人の気配で目が覚める。今は……深夜3時。


近い……客間の中か!


目標へ【電撃】を放つ。


ぐう…とうめき声がすると倒れた。


ベッドを抜け出し、倒れた人を確認。

男性。二十代。確か……お姉ちゃんにしつこく話しかけていた人だ。

夜ばいか……


ザーハさんの部屋へ向かう。ドアをノック。ドアが開く。


「ああ…アレシアちゃんか。……その男は?」


「夜ばいです」


「え!?…あー、こいつカリハだ。女癖が悪いんだよ」


「気絶しているだけだから後の処理お願いします」


「え!?ちょっと!…………どうすりゃいいんだ、全く」


どうにでもして下さい。私は眠いんです。




その五分後………


「……アレシアちゃん、その人は……」


「夜ばいです」




その後、十七分後。


「…またかい?」


「……またです」


「………何かこの人の髪焦げて無くなっているんだけど……」


「知りません!!」


あの後、二人来た。

その二人は……………………な感じで外に捨てた。






「あら、アレシアがまだ寝ているなんて珍しいわね」


「………疲労……」


「うう、おのれ……絨毯爆撃……スチールレイン……」


「……ファルサリア、私達は何も聞いてないわ」


「………馬耳東風…」






………う、もう9時か。


「おはようございます」


「あら、起きたわね」


「……寝坊……」


しかたないだろう。あなた方の純潔を守っていたんだから。


「……ん?何か忘れてませんか?」


何か致命的なことを忘れている気が…………


「あら、私は思い当たらないですけど…」


「……今日平日…」


……………は?


「「あーーー!!!」」


「私、四年連続皆勤賞がぱあですわ!」


「私は入学早々可能性が無くなりましたよ」


まさか、入学から僅か数日で無断欠勤するはめになるとは……学園は大学的な癖にこういうところが厳しいのだ。


私達は、せめて午後は出席すべく準備を始める。報酬貰ったり、荷物積め直したり。


「では、私達は行きますわ」


「もし、こんど何かありましたらどうぞよろしくお願いします」

「また来いよ!」

「じゃあね、お姉ちゃん!」

「頑張るんじゃぞ!」


村人からの声援を受けつつ、私達は身体強化魔法を自らにかけ出撃した。


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