表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/116

82、イブキ編 怪生命体群




無機質なコンクリートの部屋から出られる唯一の扉。


ただし扉は私が吹っ飛ばしてしまったので跡形もありません。


その扉のあった場所には【絶対零度】を面状に展開する事で、扉向こうの惨状との隔壁としていますが、しかし。


「いつまでもここにいる訳にはいかないですよねぇ……?」


『で、でもここを出るてことは……』


「……そうなんですよね」


ディーウァの言う事ももっともです。あの地球外生命体、ナパームBで果たして焼却しきれているのかどうか……何かああいうのは死んだと見せかけ、裏からいきなり襲ってきそう。


でも、このコンクリートの小部屋にいても状況は一向に変化しないのですよ。


うーん……状況が分からないと、判断のしようがありません。無人兵器に斥候役をしてもらいましょう。


選択兵装、重装機械兵(スター〇ォーズのデスト〇イヤー)。


トライポッド(三脚)状の脚を持ち自律思考する体高二メートル程のドロイド。両碗がビームマシンガンになっていて、いざと言う時や拙速が求められる時は体を丸めて転がる事で時速八十キロで移動が可能な自律思考型兵器。


念のため、私自身もセミオートマチック拳銃P239のスライドを引き、すぐにでも射撃が出来るようにしておき、【絶対零度】を解除します。


『ふへあぁ……は、鼻が…………』


うっ、臭い……。


【絶対零度】の冷却効果を受け続けていたにも関わらず何か色々酷い臭いのする熱風が吹き込んで……通路の光景もぐちゃぐちゃしてて……うえぇ。


急いで重装機械兵を送り出し、【絶対零度】を再度展開。


あの吐き気のするような空気と、部屋を遮断。あぁ、これでまともな呼吸が出来ます。




重装機械兵は赤外線と可視光線を視認可能なカメラを搭載していて、その映像はつねにモノクルから見る事が出来ます。


ついでにマップも作成。脱出路が見つかった時、迷子になったら困りますからね。


さて、モノクルに映し出される映像は……。


通路が映されます。通路はかなり広く幅はニメートル、高さは五メートルほどあり、薄暗いです。


『暗いです』


ディーウァもその小さな頭を割り込ませ、ジッとモノクル画面を眺めています。


「そうですねぇ……」


壁は煤焦げていますね、それなのに破損していないのはおかしいのではないのでしょうか。ナパームBは熱による攻撃が主目的ですから、確かに破壊力は通常火薬に比べて低いですがそれでも爆弾は爆弾。気が付いてみれば、投爆地点に近い出入り口付近すら【絶対零度】を一時解除したあの僅かな隙に見たところ、黒焦げた有機物しか見えなかったです。普通なら投爆地点は瓦礫の山になっても不思議じゃないのに……。


やはりここは何か変。




あれから数十分。


ディーウァは寝てしまい、私だけがモノクルを見ています。


確かにあれからずっと見てますけど、単調な通路の映像しか映ってないですから退屈だったんでしょうね。


でも、この不可解な状況の元何もしゃべらず一人で何があるか分からない部屋で起きているというのは、中々怖いものがあります。しかし起こすのも大人げないし、私自身が寝ようにもこんな場所で寝れないし……。


ちなみに通路もコンクリート製。雰囲気としては基地みたいとでも言えばいいのでしょうか。

そして明かりはないので、赤外線のみが頼りです。重装機械兵に、ライトでも付けてあげればよかったかもしれないですね。


赤外線映像は緑っぽいので、目にはいいのかも分かりませんが……。


ん。今、何か動いたような……! 重装機械兵、射撃体制に移行。


両腕に搭載されたビームマシンガンから赤い光弾が連射され、その光弾の明かりからエイ〇アンの死体が視認されました。


あの化け物の群れ、まだ生きています。いや、別の群れ?


重装機械兵の前面の通路から〇イリアンがひしめき合いながらじりじり近付いてきて……重装機械兵はビームマシンガンを撃ちつつ後退していますが、その勢いを止める事は…………あぁ、破壊されてしまったみたいです。


まずい。


これ、私達の場所を目指しているのでは?


何か対策を打たないと。


重装機械兵ビームマシンガンの連射速度は毎分三百発。それが二基。


ならばとりあえずは、それより速いサイクルの発射速度の兵器を配置しましょうか……。


最終防壁【絶対零度】をまた解除し、改造前のファランクスを設置しましょうかね。


改造後のファランクスとは違い、発射速度は毎分四千五百発。あ……弾倉には千発ちょいか、二十秒くらいしか持たないんじゃちょっと使えないですね。


対してファランクス改は思考起動型。つまり、私が撃て! と考えないと発射されないという事。だから私自身が通路に陣取らなくてはならない訳ですか……。


ど、どうしましょう。


他に何か有効な物はないでしょうか……ん? 機械兵一個小隊〜連隊?


選択兵装画面に映る謎兵装。よく分からないので、詳細説明。


〔機械兵一個小隊。機械兵員三十体、重装機械兵員六体で構成される部隊。機械兵はセミオートマチック(つまり一度引き金を引くと、一発発射)のビームブラスター一丁を、重装機械兵はフルオートマチック(一度引き金を引くと、引いている限り発射し続ける)のビームマシンガン二基で武装している。必要に応じ、機械兵が重装機械兵の移動速度に随伴出来るようストライカー装甲車(武装:12.7ミリ重機関銃×1)四両も創造可能。


機械兵一個中隊。機械兵員百八十体、重装機械兵員三十六体六隊の六個小隊で構成される部隊。


機械兵一個連隊。機械兵員七百二十体、重装機械兵員百四十四体の四個中隊で構成される部隊。


重砲機械兵小隊。重装機械兵の両腕にビームマシンガン、右腕に57ミリビームカノンを搭載した重砲機械兵三十体で構成された部隊。移動速度は時速四十キロ〕



ほう……これはこれは。まだいくつか種類はありますが、この重砲機械兵小隊は使えますね。二基のビームマシンガンと、一門のビームカノンならあのエイリア〇の群れに対抗出来るかも。


さて、ではどうやって戦うかですね。


通路マップを見てみる限り、この部屋から最初の二、三百メートル程は真っすぐでそこから二手に別れ、左手を選びしばらく進むと何か広い部屋があり部屋にある三つの道の内真ん中を選択してさらにまたT字路を右手に曲がりエイリ〇ンの群れに出会った訳ですから……広い部屋に主力二十四体を配置し、選択しなかった道三つに予備各二体計六体を置けば大丈夫でしょう。


急がないとすぐ来ちゃいます。


直ぐさま……おっと、口に空気を貯めてから【絶対零度】を解除し、通路のスペースに一個重砲機械兵小隊を展開。


『ふぎゃあぁ! 臭いですぅ!』


ふん、寝てたのが悪いんですよぅ。


「おおいうあうえいあれああっふいいらあいあいいいういああい。ああ、いおいえ!(総員作成されたマップに従い配置に付きなさい。さあ、急いで!)」


『ラージャー、ラージャー!』


小隊長が機械兵恒例の間延びした返答をし、出撃していきました。


暗闇に呑まれていく重砲機械兵一個小隊。


それを確認し、再度【絶対零度】を面状に展開します。【魔法障壁】にしないのは、【魔法障壁】は通信するための電波まで遮断してしまうからなんですよね。




『【絶対零度】を解除するなら一言言ってくれれば……』


ディーウァが怨みがましく、上目遣いで睨んで来ます。まあ、ただかわいいだけですねぇ。


「そんな場合じゃないですよ。〇イリアンの群れが現れたんです」


『ま、マジです?』


「マジですよ。今、部隊を展開したところです」


『部隊?』


軽く説明します。


『ほぇ……』


「これで大丈夫、かな……」


『何かすごそうです。きっと大丈夫です!』


「そ、そうですよね」


ディーウァに励まされてしまいましたね。


しっかりしないと。


二人(?)でモノクルをじーと見つめ、重砲機械兵小隊の吉報を祈ります。




勝ってくれればいいのですが…………。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ