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半年ぶりの投稿です。


1月27日(土)午前3時に完結します。

 王族に集められた勇者一行。

とある王国の王城に集められた、三人の青年男女。


 神に認められた勇敢な心と、膨大な魔力、魔王を倒すに値する力を持った三人の青年男女。


 一人は美しく気品があり優し気な雰囲気を持つミディアムヘアーの金髪の男。高貴な貴族の生まれで、サファイアの宝石の瞳を持つ目は、歴代の勇者を彷彿させる。

 

 一人は闘志を燃やし、溢れだす自信が顔に出ているオレンジの短髪の男。至る所に傷があり、歴戦の戦いを生き抜いた真っ赤な炎の瞳は、強者の風格がある。

 

 一人は凪のように静かで穏やかで顔色一つ変えないネイビーブルーの長髪の女。高貴な人間が揃う王城で、星の散る夜空の瞳と孤高の美しさを放ちながら、場の空気にのまれず、冷静に周りを観察している。


 

 3人とも、勇者と呼べるに相応しい雰囲気がある。



 彼らをリーダーとし、勇者パーティーを結成するために勇者の仲間として集められた12人の人々が、勇者達の後ろに横一列に並んでいた。


 各職業から集められた有能な1名が選抜されていた。


 戦士、騎士、傭兵、狩人、盗賊、魔法使い、精霊使い、僧侶、神官、

 

 戦士、数種類の片手武器と盾を使う前衛職。

 騎士、剣と盾を手足のように使う前衛職。

 傭兵、多種多様な武器を使う前衛兼中衛職。


 射手、弓の名手。攻撃範囲であれば百発百中腕前を持つ中衛職。

 狩人、狩りや索敵が得意で素早い動きと弓矢で敵を翻弄する中衛職。

 盗賊、索敵、罠の解除、不意打ちを得意とし、使えるものは何でも使う中衛職。


 魔法使い、闇以外の魔法を扱う後衛職。

 精霊使い、精霊に力を借りて魔法を使う後衛職。

 魔女、光以外の魔法を扱う後衛職。

 

 神官、神に仕え声を聞く者、光の回復魔法特化型の回復職。

 聖女、神に愛されし光の回復魔法と浄化の魔法が使える回復職。

 僧侶、光の攻撃魔法と回復魔法、武器を持ち自衛も行える回復職。


 

 未来の勇者3人、そして最高と謳われる12人、加えて侯爵家、公爵家の貴族達を前にして、王は宣言した。


「ここに集まってくれたこと、礼を言う。

早速だが、そなたたちには、魔王を討ち取り、人類を救ってほしい。

……これは、王命である。そなたたちには悪いと思っているが、拒否権はない。


全人類、そして、己の大切な人々を守るために、悪の化身である魔王を討伐せよ!」

「は!!」


 全員が頭を下げ、王命に従う。


 ただし、全員が全員、王命を心良く思っているかと思えば、そうではない。


 旅に必要な大量の金銀の金と、必要であるなら最高級の武器や物資、他国を通るための通行証など、必要な物はすべて揃えてもらった。


 王は、物語に聞くような魔王を倒せる人材が、僅かな路銀と報酬だけで、人が集まらないと知っていたのだ。

物語に出てくる優しくも愚かな人間を迎え入れるつもりもなかった。


 最高級の報酬あってこそ、最大限の力を発揮してもらえる。依頼に対して見合った報酬を与える。それは上に立つ人間にとって当たり前のこと。王ができる最大限の願いを叶えるとも約束した。もちろん、前金もすでに支払済み。


 だが、依頼者が最も欲する願いが叶うのは、絶大な力を誇ると言われている魔王を倒してからだ。

もし、倒せたとしても、五体満足で帰れるかどうかも分からない。


 それでも、自ら足を運び王命を受けた者たちは、戦わねばならない。勇者はその限りではない。未来の勇者、神のご加護を与えられた勇者は、人類を救うという使命を果たさねばならぬ。



 果たせなければ、世界の終わりが待っている。心の強さ、弱さは関係ない。逃げられるように、全国々に勇敢な者たちとして、勇者一行の紙が、全ての国に渡っている。

 

 ある意味では、それは手配書のようなものだ。全ての国に知られているということは、全ての人間に自分たちの顔が知られているということ。


 役目から逃げたら、何を言われ、何をされるか分かったものではない。


 魔王討伐を強制された勇者の一人は思う。極端にいえば、刑を言い渡された犯罪者に近いと、勇者だけではなく、集められた一行の何人かがそう思った。


 それでも、やらなければ、いつかは魔王軍によって、国々が支配される。

やってもやらなくても同じであれば、やって死んだほうがマシかと、諦めに近い者もいた。


 様々な思いが葛藤する中で、王は再び口を開いた。


「未来に勇者と呼ばれる3人の青年男女たちよ。後ろの12人の中から、前衛職、中衛職、後衛職、回復職を、一人ずつ選抜せよ。もし、被った場合は、未来の勇者に選ばれた職業の者が、付いていきたい方を選ぶといい」


 初代勇者は1人で、大勢の軍団を率いて魔王を討伐しに行った。

しかし、魔王の配下である四天王戦で統制殆どの者が死んだ。


 結局、魔王の元にたどり着いたのは、たったの5人。


 勇者と4人の精鋭たちで魔王を討伐した過去がある。


 少数精鋭最強の勇者パーティーによって、四天王や魔王を倒すことができると知られていた。


 それでも、絶対に倒せるという保証はないため、勇者の卵と呼ばれる、神に認められし3人の青年男女が王城に集められる。なぜかは分からないが、3つの勇者パーティの内、必ず一つのパーティーのみが生き残り魔王を討伐して帰ってくる。


 残りの2つの勇者パーティーは……全滅する運命にあると。


 暗い過去を持つ勇者の話を知ってもなお、逃げ出さずに足を運んできた勇敢な3人の青年男女は、まさに勇者に相応しい勇敢な心を持っていた。


 そんな未来の勇者と呼ばれる二人の男が動き出した。


「僕は、君たちが入った時から決めているよ」

「は! 俺についてきたい奴は、勝手についてこい。俺は一人でも魔王を殺しに行くぜ」

「……」


 金髪の男、名をエル。

エルは各職業からすでに候補を決めているらしく、すたすたと彼らの前に歩いていく。


 オレンジ髪の男、名をガイアス。

圧倒的な自信を見せることで、ガイアスのカリスマ性に魅入られた4人が集まっていく。


 ネイビーブルー髪の女、名をマナリア。

何も言わず、無言のまま、マナリアは夜空の瞳で各職業の人々を見つめていた。



 王達も静観している。


 カツカツと、エルの歩く音が王城に響く。


「僕はもちろん、王族近衛騎士副団長クラウス、名射手キリア、大精霊使いエンジェ、そして大聖女レイの4人に付いてきてもらいたい。頼めるかな、君たち」

「は!」


 名を呼ばれた4人が、エルに集う。


 残された8人は、ガイアスに付いていくか、マナリアに声をかけられるまで待つかの二択を迫られる。


「俺はガイアスについていきたい」

「私もガイアス様に」

「僕もガイアスに付いていくよ」

「武神様が申しております、ガイアス様についていくようにと」

 

 戦士、狩人、魔法使い、神官が、自らガイアスの元に向かう。


 残りの4人は、傭兵、盗賊、魔女、僧侶の4人。


 王はここで漸く口を開く。


「未来の勇者マナリアよ、このままでは残りの4人がそなたのパーティーメンバーとなるが、それでよいのか?」

「問題ありません」


 マナリアは顔の美しさに見合う、凛々しくも澄んだ声で、王の問いかけに即座に応える。


 王の目を直接見て、確固たる意志を表すマナリアに、王も頷くしかなかった。


「……そうか。では残りの傭兵、魔女、僧侶、盗賊よ、マナリアの元へ」


 無言のまま、4人はマナリアの元へと向かう。


 傭兵ヴィラ。

傭兵の中で知る人ぞ知る、最強の傭兵。金を払えば、どんな依頼も速やかに終わらせる仕事人。人一人分はあると思われる巨大な剣は、彼の剛腕と巨大な鋼の肉体と合っている。酸化した血の色をした整っていない長髪を縛り付けた髪型によって、猛禽類の黄色い目が更に吊り上がっており、恐ろしい雰囲気を放っている。


 魔女ナーテル。

女性最強の魔法使い。圧倒的な魔力量と、光以外の全ての魔法を操ることのできる唯一無二の魔法使い。誰もが見惚れるスタイルと、滑らかな黒紫色の長髪と、タンザナイトの宝石の瞳を色めかせ、妖艶な雰囲気を放つ彼女は、まさに魔女と呼ばれるに相応しい姿をしている。年齢もこの中では圧倒的に高いが。誰もそのことを知らない。


 僧侶カーン。

我に祈らず己が信じた道を進めという言葉を残した、誰も仕えることのなかった神を信仰し、自らの道を歩き続ける変わり者の僧侶。光の回復魔法、攻撃魔法、防御魔法を扱えることで、僧侶の道を歩む者たちに半ば強引に僧侶にされた男でもある。僧侶の職業はカーンが生きるために選んだ自分が使えるものはすべて使うと、肉体も鍛え上げ、自衛のすべを持つ。黒い艶々の髪型に笑っているようで笑っていない細い茶色い目は、悟りを開いた顔つきだ。顔はかなり整っている。


 そして最後に、盗賊ロブ。

かつて、盗みを生業としていた犯罪者。警備が厳重な国王の元に一枚の犯行予告を置いて、予告通りに貴族や商人から金品を奪い取っていく。ロブが盗んだという証拠を示すために、盗んだ場所に置かれた1枚の絵柄が書かれたカードが置かれているのは有名な話だ。


 どういうわけか、全てのことに飽きたという理由で、自首してきた風変わりな男。なによりも恐ろしいのが、犯行予告をし、金品を奪い続けカードに名を残してもなお、誰も姿を見たことがなく、噂でしか存在が確認されていなかったロブ。


 優れた潜伏力、罠を見極める力、索敵力、逃走力と、どれをとっても最高の実力者である。今も深いフードで顔を隠しているので、どのような姿をしているか分からなかった。


 心のなかで国王は気に食わぬと思っている。犯行予告通りに金目の物を盗まれて王族や貴族の顔に泥を塗られたから。だが、優れた潜伏力と罠の解除、索敵力、逃走力を持つ男がほしいとマナリアは願ったのだ。勇者の必要な人材を集めるのも国王の務め。結果的にロブを牢から出すしかなかった。もちろん、ロブに頼らず王国の暗部を出そうという話も出た。

 

 しかし国王は、配下の言葉を聞いて、ロブを勇者パーティのメンバーにすることに決めた。誰かしら犠牲になるのなら、犯罪者が犠牲になればいいのではないかと考えたのだ。王国の暗部を、安々と貸すわけにもいかなかった。


 それ以外で探すとなると、マナリアの欲する役目を果たせるのが、伝説の盗賊ロブのみだったのだ。


 吐きたいため息をどうにか我慢して、威厳のある声で、旅立ちの言葉を伝える。


「よし、パーティーは決まったな。

それでは、勇者達よ! そなたたちに、栄光あれ!!」


 王の掛け声により、それぞれのパーティーが、旅立った。


 王城を抜けると、勇者パーティーの門出を応援しに来た国民達が集っていた。

国民たちの声に応えるエルパーティーと、気にせず一番前を歩くガイアスパーティー、僧侶カーンと魔女ナーテルのみが微笑みながら手を振り、ヴィラ、マナリアは興味なく、ロブに至ってはフードを深くかぶって姿を見せないようにしている。

 

 開門された道をバラバラに別れていく勇者パーティー。


 かくして、勇者たちの魔王を討伐する旅が始まった。



2話目は、一時間後です。

しばらくおまちください。

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