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そっくりさんで大ピンチ!


最悪だ。どうしよう?これ以上何もできないなんて…。


「益井さん。とりあえず会話だけはできるみたいだから、今の状況の説明をお願いできるかしら?」


私はとりあえず話すことに決めた。


「まず、私が来たらすでにここで皆がそっくりさんで盛り上がってたのね。

そしたら、動きがおかしくなってしまったんで、コインを触っていた三人のうち二人が指を離してしまって今こんな状況になっているんだけどどうすればいい?」


それを聞いたとたん、神子さんも動揺が隠せなかった。


少し考えたのちに


「そのまだコインに触れている人にとりあえずそっくりさんに代表で謝ってもらうか、他の質問をしてみたらどう?」



「え?」



「この間先生がいない次週の時間、近松グループの男子たちもそっくりさんで手を離してしまったの見たこと思い出したよ。あのとき近松ですらそっくりさんに必死で謝っていたよ。」



「木田さん。聞いてる?」


「なんで?なんでよー??なんで私だけか??」


ああ、よりにもよって最後に残ってしまったのがプライドばかりが高い奴だとホントに厄介だ。


「仕方ないじゃない!背に腹は代えられないよ!」


普段は全く相手にしてない私からこんなことを言われてムカついているのかもしれない。


でも…



「私もさっきこの部屋を出ていこうとしても、この部屋を出ることすらできなかったんだよ。

もし仮にここであなたがつまらない意地を張って解決しなかったとしても、あなたも含めここにいるメンツはここから出られないかもしれない言うのにまだそんな意地はるつもり?」



私は必死で木田を説得した。



「え?なにほんとにそうなの??ねぇ?」


「ちょそれマジで困るんだけど?」



まだ一応、この場では比較的気持ちに余裕がある香寿美と映理奈さすがにそれは困るな状態だった。

そもそも論でせめて映理奈だけでも指を離さなかったら、まだ望みはあったのに…。


と思ったが



「てか?謝るって何?えりなわかーんなーい。」


その時点での望みすらダメだったいう事に気づいた。


ああこれだから一人称が自分の名前の奴は、はなっからの常識がない。

11人兄弟の私ですら、それぐらいの常識力はあるというのにこれまた一人っ子で甘やかされてきたお前はーと思う。

ホント絶望でしかない。



その時だ。



「ごめんなさい。」



と謝る者がいた。


未だに号泣している築里奈だった。


「そっくりさんごめんなさい。」


その途端、コインはいったん止まった。

一応、指を離してしまったものが謝っても有効だったらしい。

まだコインに触れている木田も半泣き状態だったが、少しは落ち着いたようだ。


てか、木田!お前も謝れよ!


ホントこのメンツは疲れる。

無駄にプライドが高いか、常識ないかしかいない。

そんな中まだ一応、根は普通な子が一人でもいて助かった。



「あの、一つ聞いていい?」


ここで口を開いたのはやっぱり神子さんだった。


「いったい誰のそっくりさん呼び出したらこうなったの?」


「結構いろんな人を呼んでいたみたいだけど、最後に呼び出したのは香理だったよ。」


「奥宮さんか…。」


香理の名前を出した途端、神子さんは難しい表情をしていた。


「木田さん、落ち着いて聞いてほしい。」


「…」


木田は今、体制を維持しているだけでやっとな状態で返事もできない様子だった。



「そっくりさんに、どうしたらお帰り下さいますか?と聞いてみてほしい。」



「…ど…う…した…ら…、おか…えり…下さい…ま…すか?」


普段は威勢がいいあの木田が信じられないほど、しおらしい声だ。



コインが動いたが…



「ゆ る せ な い」




そのことばは、近くにいない私まで聞こえてきたが…




「なんていってるの?」




外にいる神子さんには聞こえてないらしい。



「い、今…、こんなに離れている私にまで「許せない」という声が聞こえてきたんだけど、神子さんは聞こえなかったの?」



「え?そうだったんの?私は聞こえなかった。」



うわ、すでにこれって私までも呪われてるいう事では?とさえ思えてしまって絶望的だった。


「でも…やっぱり思ったとおりだった。」


この時、神子さんはボソッとつぶやいた。


「ごめん、これもう最終手段だけど、木田さん落ち着いてやってくれるかな?」


木田に神子さんは外から呼びかけるが、木田には神子さんの声はすでに届いてないらしい。

さっきまでは木田にも神子さんの声は届いていたようだが、今はもう木田には神子さんの声すら届いてないらしい。

でも私には神子さんの声は聞こえる。


てことはもうそろそろ外の声を聞く事すら限界いう事?


「なにをすればいいの?私が木田さんに伝えるから、教えてほしい。」


「明日もう一度、お話を聞きますから、今日のところはお引き取り願えませんか?って…。

たの…で…て…。」



やばい、私まで神子さんの声が聞き取りにくくなっている。


でもまぁそれを香理のそっくりさんに頼んでみてと言ってると思って。






「木田さん。そっくりさんに「明日またお話を聞きますから、今日のところはお引き取り下さい」と言ってみて。」



私もこれは最後の賭けだと思って木田に頼んだ。


「…」




そして最後の頼みの綱である木田は、すでに完全に喋れなくなっていた…。


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